スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第一 基準の性格 ①

準の性格とは?障害福祉サービス運営基準をわかりやすく解説


記事の概要: 
厚生労働省の通知「第一 基準の性格」は、障害者総合支援法に基づき障害福祉サービス事業における基準の役割や、基準を守れなかった場合の対応を定めたものです。本記事では、これらの点についてやさしくシンプルに解説します。基準はサービス提供者が最低限守るべきルールであり、違反すると最終的には事業停止(指定取消)につながるおそれがあること、また地域独自の基準の存在にも触れます。


基準は最低限のルール:
障害福祉サービス事業の「基準」とは、サービス提供事業者が必ず守らなければならない最低限のルールです。サービスの質を確保するために国が定めた基準であり、事業者はこの基準を守るのはもちろん、常に運営の質を向上させる努力をすることが求められています。


基準を満たさないとどうなる?
もし事業を始めるときや更新時に基準を満たしていなければ、指定(許可)を受けることができません。また、事業開始後に基準違反が明らかになった場合、行政は段階的に次の対応をとります。

違反の状況行政からの措置(対応)
基準違反が確認される改善勧告(○○日以内など期限を決めて改善を指示)
勧告に従わず改善されない公表(事業者名や違反内容を公表)
それでも改善されない改善命令(期限を定めて改善を命令)
命令にも従わない指定取消・効力停止(事業の指定を取り消し、サービス提供ができなくなる※)
!悪質・重大な違反の場合上記の勧告等を経ず直ちに指定取消等の処分が行われる

※「効力停止」とは、指定の一部または全部を一定期間無効にすることです(不適正なサービスに対する給付費の支払い停止なども含みます)。


悪質なケースは即時処分:
特に悪質な違反行為がある場合、上記の勧告→公表→命令といった手順を踏まずに、いきなり指定取消などの処分が行われます。通知では以下のような例が挙げられています。

  • 利用者が負担すべき利用料を正しく受け取らない(本来利用者が支払うべき自己負担分を免除するなど不正なサービス提供)
  • 利用者を特定の事業所に紹介・誘導する見返りに、他事業者との間で金銭や物品のやり取り(キックバック)を行う
  • 利用者の生命や安全に直接かかわる重大な危害を及ぼす行為を行う
  • その他上記に準じる重大かつ明白な基準違反行為

指定取消後の再指定は慎重に
基準違反により指定取消となった事業者は、法律で定められた一定期間(※)は新たに指定を受けることができません。その期間経過後に再び指定申請をしても、行政は「本当に基準を守れるか」を通常以上に厳しく審査します。一度基準違反で処分を受けた事業者は、信頼回復のハードルが高くなることを覚えておきましょう。

※障害者総合支援法に基づき指定取消を受けた事業者等は、原則として5年間は指定を受けられない規定があります(法第50条の19など)。


地域独自の基準
なお、障害福祉サービスの基準は厚生労働省令で全国一律に定められていますが、平成23年の法律改正で一部の基準は都道府県が条例で定めることも可能になりました。地域の実情に応じて基準を上乗せ・独自設定できる仕組みです。そのため、事業を行う地域によっては国の基準に加え、自治体ごとの条例も確認する必要があります。


事業者・起業希望者が押さえるべきポイント


  • 運営基準は障害福祉サービス事業者が最低限守るべきルール。これを守らなければ事業の継続はできません。
  • 基準違反をすると行政から改善勧告→公表→命令→取消のステップで是正を求められ、最終的には指定取消(事業停止)となる可能性があります。
  • 悪質な違反(利用者への危害、金銭の不正授受など)の場合、勧告を待たずに直ちに指定取消などの厳しい処分が下されます。
  • 一度指定取消になると一定期間は再指定を受けられず、期間経過後の再申請時も慎重に審査されます。違反による信用低下の影響は大きいです。
  • 基準は全国一律の厚労省令ですが、一部については地域ごとに条例で独自基準が設けられています。必ず事業実施地域のルールも確認しましょう。
  • 基準の理解や遵守、指定申請手続きに不安がある場合は、当事務所をはじめ行政書士など専門家に相談してサポートを受けることを検討してください。



【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。