就 労継続支援B型における工賃支払いの基本原則と健全な運営実務を整理する 記事の概要 : 就労継続支援B型事業所において、利用者の作業成果に対して支払われる「工賃」の法的基準を整理します。雇用契約を伴わないB型事業特有の報酬体系について、 利用者へ支払う工賃の原資を生産活動による収益から捻出する原則 や、厚生労働省が定める「月額3,000円以上の平均額維持」といった重要ルールを体系的に紐解きます。 ▶︎ 就労継続支援B型 関連記事まとめページは こちら 工賃とは?就労継続支援B型における「お給料」の位置づけ 就労継続支援B型(以下、B型事業所)では、利用者と雇用契約を結びません。そのため利用者に支払われるお金は、一般の労働者に支払われる「賃金」ではなく「工賃」と呼ばれます。工賃とは、利用者が事業所内の作業(生産活動)に参加した成果として受け取る報酬のことです。B型事業所で働く利用者は最低賃金法の対象外となりますが、その代わりに事業所ごとの平均工賃が月額3,000円以上という基準が法律で定められています。 工賃は事業収入から支払う(基準第201条第1項) B型事業所では、利用者に支払う工賃の財源は事業所の生産活動による収入で賄うことが原則です。つまり、事業所で利用者が作業して得た売上から材料費など生産活動に必要な経費を引いた残りを、利用者に工賃として配分しなければなりません。なお、工賃の原資として国や自治体からの給付金(自立支援給付)を用いることは原則禁止されています。これは事業所の自主事業による利益を利用者に還元するというB型の趣旨によるものです(※大規模災害等で事業収入が激減した場合など、行政が必要と認めたときは例外的に給付金の一部を工賃補填に充てることも可能とされています)。 工賃の平均額は月3,000円以上(基準第201条第2項) B型事業所では、「利用者一人あたりの工賃の平均額(月額)」が3,000円を下回ってはならないと定められています。事業所がある月に支払った工賃総額をその月の利用者数で割った平均額が3,000円以上になるようにしなければなりません。例えば、利用者10人に計30,000円の工賃を支払えば平均3,000円(基準クリア)、20,000円なら平均2,000円(未達)となります。 重要なのは、この3,000円という基準は事業所全体での平均...