生活介護の「単位」とは?複数単位運営の条件と人員配置基準をやさしく解説
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障害者支援施設の提供するサービスのひとつに生活介護がありますが、その中でも「生活介護の単位」の考え方が特に重要です。この「単位」とは1日のサービス提供をひとまとまりのグループとして扱う仕組みで、特に利用定員が20人を超える規模では複数単位に分ける条件や単位ごとの職員配置基準が定められています。本記事では、省令解釈通知に沿って「生活介護の単位」の意味や背景、複数単位運営の条件、そして単位ごとの常勤職員配置などをやさしくシンプルに解説します。
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生活介護の「単位」とは?
まず「生活介護の単位」とは何かを整理しましょう。厚生労働省の通知では「生活介護の単位とは、1日を通じて、同時に、一体的に提供される生活介護をいう」と定義されています。つまり、一日の中で利用者に対してまとめて行われる一連のサービス活動が1つの「単位」です。利用者が1人でも複数人でも、一緒に提供されているならそれは一体的な1単位の生活介護とみなします。
複数の単位を設置できる条件
では、事業所の規模が大きく利用定員が多い場合に、サービスを複数の単位に分けることはできるのでしょうか。省令解釈通知によれば、複数の生活介護の単位を設置できるのは次の3つの条件をすべて満たす場合に限られます。
- サービス提供場所が分かれていること:フロアや部屋が別々で、同じ時間帯に2か所以上でサービスが行われており、それぞれ独立した活動になっている場合です。同じ空間で30人が一緒に活動しているなら1単位ですが、建物の階を分けて離れていれば別単位にできます。
- 各単位の定員が20名以上であること:ひとつの単位(グループ)あたりの利用定員が20人以上必要です。定員が20人未満の小さなグループに分けて単位を増やすことはできません。
- 単位ごとに必要な職員が確保されていること:後述する人員配置基準を各単位ごとに満たせるだけの職員を配置できていることが条件です。各単位に専属の生活支援員などスタッフを用意できなければ、単位を分けることは認められません。
単位ごとの人員配置ルール
複数の単位で運営する場合、人員配置についても押さえておきたいポイントがあります。原則として各単位にはその単位のサービス提供に専任のスタッフを配置しなければなりません。例えば2単位を同時運営するなら、各単位を別の職員が担当し、1人の職員が同時に2単位を掛け持つことはできません。国の通知でも「同一施設で複数の生活介護の単位を設置する場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者(サービス管理責任者及び医師を除く。)が必要となる」とされています。つまり単位ごとに最低1名の常勤スタッフを置く必要があるということです(非常勤スタッフの場合も合計でフルタイム1人分以上を配置)。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 定員と単位編成の計画:事業所の利用定員が20名を超える場合、自施設が単位を分ける条件を満たすか確認しましょう。
- 人員配置基準の遵守:各単位ごとに必要な人員を確保することが前提です。特に常勤職員の配置は見落としがちなので注意しましょう。複数単位を運営するなら単位数と同じ人数の常勤スタッフ(生活支援員等)が必要です。人員基準を満たしていないと運営指導で指摘されたり、報酬減算のリスクがあります。
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