障害者支援施設で就労移行支援を行う場合の人員配置基準(基準第4条第1項第4号)の解説
記事の概要:
就労移行支援は、障害のある方が一般の職場で働くための準備を支援する福祉サービスです。職業訓練や就職活動のサポートなど、就職に向けた幅広い支援が行われます。障害者支援施設で就労移行支援を提供するには、法律で定められた人員配置基準を満たすことが求められます。適切な人員配置はサービスの質を守り、利用者が安心して就職準備に臨むために不可欠です。この記事では、省令で定められた「④就労移行支援を行う場合」の人員配置基準について、やさしくシンプルに解説します。
それでは、就労移行支援に必要な職員の種類と配置基準を順番に見ていきましょう。
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職業指導員・生活支援員
- 役割: 職業指導員は、障害のある利用者が就職に必要な知識や技術を身につけられるよう支援するスタッフです。仕事の練習や就職に向けた指導などを行います。生活支援員は、利用者の日常生活をサポートするスタッフで、健康管理の助言や生活面の相談対応などを行います。
- 配置基準:
- 必要人数: 職業指導員と生活支援員の合計人数は、常勤換算で利用者数÷6以上必要です。例えば、利用者が7人なら7÷6≈1.17人となり、端数は切り上げて2人配置しなければなりません。
- 最低配置数と常勤要件: 職業指導員・生活支援員をそれぞれ1人以上配置し、そのうちいずれか1人以上は常勤(フルタイム)とすることが義務付けられています。
就労支援員
- 役割: 就労支援員は、利用者の就職活動から就職後の職場定着まで支援するスタッフです。企業やハローワークとの調整、面接練習の補助、就職後のフォローなどを一貫して行います。
- 配置基準: 就労支援員は最低1人を配置する必要があります。また、その人数は常勤換算で利用者数÷15以上と定められています。
サービス管理責任者
- 役割: サービス管理責任者は、就労移行支援サービス全体の計画と運営を管理する責任者です。個別支援計画の作成、職員への技術指導、他事業所や関係機関との連絡調整など、支援内容を統括します。
- 配置基準: サービス管理責任者は利用者60人以下で1人以上配置し、61人以上では以後40人ごとに+1人を追加します(例:利用者80人で2人)。また、配置するサービス管理責任者のうち少なくとも1人は常勤でなければなりません。
認定指定障害者支援施設における特則
- 役割: 認定指定障害者支援施設が既存の施設サービスの一部として就労移行支援を提供する際に適用される特例ルールです。通常の就労移行支援事業所とは異なり、施設内サービスを始めやすくするための緩和措置や兼務規定が設けられています。
- 配置基準:
- 必要人数: 職業指導員と生活支援員の合計人数は、常勤換算で利用者数÷10以上必要です。
- 最低配置数と常勤要件: 職業指導員・生活支援員をそれぞれ1人以上配置し、そのうちいずれか1人以上は常勤(フルタイム)としなければなりません。
- 兼務可能: あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師に係る学校または養成施設の教員は、職業指導員・生活支援員と兼務することが可能です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 人員基準の遵守は必須: 指定障害者支援施設として就労移行支援の指定を受けるには、人員配置基準を満たした職員の確保が前提条件です。基準を満たさない申請は認められず、運営中に人員が不足すると行政から是正指導を受けたり報酬が減額(減算)されるなどのペナルティにつながります。
- 施設内サービスとしての注意点: 既に他の障害福祉サービスを提供している施設が新たに就労移行支援を開始する場合、就労移行支援専用の職員配置を別途満たす必要があります。他の業務と兼務させる場合でも、前述の利用者数に応じた配置数を確保できるよう計画しましょう。特にサービス管理責任者や就労支援員は人材の確保に時間がかかるため、早めに準備を進めることが重要です。
