昼間サービス職員は夜間支援員も兼務できる?厚労省通知の意図と実務対応
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厚生労働省から出された障害福祉サービスに関する通知の一部に、「昼間実施サービスの従業者と施設入所支援の生活支援員との兼務について」という項目があります。この通知は、障害者支援施設などで昼間のサービス提供を行うスタッフが、夜間の生活支援員も兼ねるケースについて触れています。この記事では、この通知の意図と内容をやさしくシンプルに解説します。
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昼間実施サービスと施設入所支援とは?
まず用語の確認です。昼間実施サービスとは、その名のとおり昼間に提供される障害福祉サービスのことです。例えば障害者支援施設で提供される「生活介護」などの日中活動サービスがこれに当たります。一方、施設入所支援とは、障害者支援施設に入所している障害者に対し、主に夜間や早朝など日中以外の時間帯に生活上の支援(食事や排せつの介助、見守りなど)を提供するサービスです。施設入所支援において支援業務を行うスタッフを生活支援員と呼びます。
障害者支援施設では通常、日中は生活介護などのサービスを行い、夜間は施設入所支援として入所者のケアを行います。このとき問題になるのが、昼間のサービス担当職員(従業者)と夜間の生活支援員をそれぞれ何人配置しなければならないかということです。「昼と夜で別々にスタッフを確保しないといけないの?」と不安に思うでしょう。
厚労省通知「兼務」のポイント
厚生労働省の通知では、昼間サービスの従業者(職員)が夜間の生活支援員を兼務する場合の扱いについて、次のように示されています。
- 昼間サービス職員が夜勤も担当OK: 昼間実施サービスの職員が、夜間の施設入所支援における生活支援員として働くケースでも、問題なく認められています。通知には「昼間サービスのスタッフが夜間シフトに入った場合、その夜間に働いた時間も昼間サービスの勤務時間として含めて差し支えない」と明記されています。
一見、一人のスタッフが昼も夜も連続して働くような場面を述べているような印象を受けますが、そうではなく、この通知のポイントは、昼間と夜間でスタッフを完全に分けて個別に雇用しなくても良いという点にあります。あるスタッフさんが、日によって夜勤または日勤のシフトにはいっても良いということです。つまり、昼間のみ、夜間のみ、といったスタッフさんだけでなく、昼も夜も対応できる方も雇用して柔軟に運用することも差し支えない、ということになります。
具体例で見る人員計算
では、具体的にどのくらい人員を用意すればいいのか、数字の例で見てみましょう。
例えば、ある障害者支援施設で生活介護(昼間サービス)を利用者50人に提供しているケースを考えます(平均的な障害区分4で配置基準は5:1)。この場合、昼間サービスに必要な職員は50人÷5=10人、1人8時間勤務として10人×8時間=80時間分の労働時間が必要です。
一方、夜間(午後5時〜翌朝9時の16時間)には最低1人の生活支援員が必要で、単純計算では16時間分の労働時間が追加で要りそうです。
しかし通知の考え方では、これらを合算した96時間すべてを別々に用意する必要はありません。夜勤の時間も含めて合計80時間の人員体制が確保できていれば基準を満たすとされています。つまり、夜勤は日中の職員の交替でカバー可能ということです。その結果、約10人の職員のやりくりで昼夜双方のケアを提供できる計算になります。もっと単純に言うと、一日24時間の枠を、(夜間は必ず一人以上の生活支援員の方を配置したうえで)10人で支えれば良く、11人以上投入する必要はないということです。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 通知の意図を正しく理解する: 厚労省のこの通知は、障害福祉サービス事業者の人員配置に柔軟性を持たせ、現場の負担を減らすことが目的です。昼間と夜間でスタッフを二重に計算しなくても良いと明示したことで、人件費や採用面のハードルが下がるメリットがあります。
- 最低基準の遵守: 昼夜兼務が認められるとはいえ、最低人員配置基準は必ず守らなければなりません。利用者の安全確保のため、夜間も含め必要な見守りは徹底しましょう。
- シフト計画と労務管理: 兼務を活用する場合、職員のシフト計画が鍵となります。ローテーションで夜勤を回す際は、翌日の休息や週の労働時間に配慮し、無理のない勤務体制にすることが大切です。
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