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独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 2 設備に関する基準 (4) 経過措置

害者支援施設の設備基準に関する経過措置とは?


記事の概要:
経過措置とは、新しい基準やルールが導入されたときに、既存の施設がすぐにその基準を満たせない場合に一時的に認められる特別なルールのことです。簡単に言えば、古くからある障害者支援施設が急に新しい設備基準を満たせなくても、しばらくの間は従来の基準のままで運営できるようにするための特例です。

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経過措置のポイント解説

障害者支援施設の設備基準は、利用者の安全・快適のために定められています。しかし、施設の建物はすぐに建て替えたり改修したりできないため、古い施設が新しい基準に対応できるように経過措置(移行期間の特例)が用意されています。主な経過措置は以下のとおりです。

  • 多目的室の設置:現在の基準では、レクリエーションやイベントなどに使える多目的室を施設内に設けることが求められます。しかし、2006年に制度が大きく変わった時点ですでに存在していた古い施設については、当面の間、多目的室を設けなくてもよいとされています。つまり、昔から運営している施設は、すぐに多目的室を増設しなくても運営が認められます。
  • 居室の定員:障害者支援施設の居室(利用者が生活する部屋)は、プライバシーや生活環境を考慮し、少人数での利用が望ましいとされています。新しい基準では1部屋あたりの定員をより少なくする方向ですが、経過措置により古くから運営している知的障害者の入所施設などでは、1部屋につき最大4人まで居住することが認められています。これは、昔ながらの大部屋をすぐに個室や二人部屋に変更できない場合への配慮です。
  • 居室の面積:居室の広さ(床面積)についても、新しい基準ではゆとりのあるスペースが求められます。ですが、既存の施設に対しては段階的な適用となっています。経過措置では、従来からある施設の場合、利用者1人あたり6.6㎡以上(およそ4畳程度)の居室スペースがあれば当面は基準を満たすとみなされます。また、精神障害者の施設など一部の旧来施設では1人あたり4.4㎡以上(約2.7畳)でも認められます。これは新しい基準に比べると狭いスペースですが、古い建物でも運営が続けられるよう特例が設けられているわけです。
  • 呼び出しブザー(ナースコール):利用者が緊急時に職員を呼ぶための呼び出しブザー(ナースコール等)の設置は、安全確保のため現在の設備基準で求められています。しかし、既に存在していた古い施設については経過措置として、当面の間はこのブザー設備を設置しなくても運営可能とされています。つまり、昔から運営している施設では、各居室にナースコールがなくても認められる状況です(もちろん、安全のため可能であれば設置が望ましいでしょう)。
  • 廊下の幅:車いすがすれ違ったり、避難時に安全に通行したりできるように、廊下の幅にも基準があります。新しい基準ではより広い廊下幅が求められていますが、古い施設では構造上すぐに広げられない場合もあります。そのため経過措置で、既存の知的障害者施設等では廊下幅を1.35メートル以上確保していれば当面は良いとされています。また、その他の既存施設についても、新基準の廊下幅要件はしばらく適用されない特例があります。要するに、昔からの建物では多少廊下が狭くてもすぐに違反とはならないよう配慮されているのです。

以上のように、障害者支援施設の設備基準には、古い施設に配慮した様々な経過措置が設けられています。これらの措置のおかげで、長年地域で運営されてきた施設も急に基準違反になることなく、利用者へのサービス提供を続けることができます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 経過措置は永久ではない:経過措置は「当面の間」とされていますが、将来基準の見直しや改修計画の進展によって終了する可能性があります。古い施設を運営している事業者は、いずれ設備を新基準に合わせる必要が出てくることを念頭に置き、長期的な施設整備計画を立てておきましょう。
  • 新規開設には適用されない:これから障害福祉サービス事業に参入・起業する場合、経過措置は基本的に既存施設向けの特例であり、新しく施設を建設する場合は最新の設備基準を満たす必要があります。物件選びの際に、古い建物を活用する場合でも、経過措置に頼らず安全性・快適性を優先した環境づくりを心がけましょう。
  • 利用者目線で安全・快適性を確保:経過措置により法的には古い基準でも運営できますが、利用者にとっては広い居室や少人数の環境、緊急時のブザーなどがある方が安心です。事業者としては、可能な範囲で最新の基準を取り入れ、利用者が安心して過ごせる施設づくりを目指すことが大切です。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。