指定障害者支援施設の設備基準(訓練室・廊下幅・追加設備)
記事の概要:
本記事では、厚生労働省通知の「設備に関する基準」をもとに、特に訓練・作業室の広さ、廊下幅(中廊下・アルコーブ)、追加設備の考え方をやさしくシンプルに解説します。
▶︎ 障害者支援施設等 関連記事まとめページはこちら
訓練・作業室の広さと数
指定障害者支援施設で用いる訓練・作業室には、法律上「広さや部屋数に具体的な決まりはない」ことになっています。しかし実際には、利用者の障害の状態や行う訓練・作業の内容に応じて十分な広さを確保しなければなりません。簡単に言えば、予定している利用定員全員が同時に快適に訓練・作業できる広さが必要です。例えば、機能訓練で体を動かす人が多いなら広めの部屋にする、細かい作業が多いなら作業台まわりのスペースを確保する、といった配慮が求められます。訓練・作業が円滑に進む環境づくりを第一に考えましょう。
廊下幅と中廊下・アルコーブ
廊下の幅については「以前より規制が緩和された」ものの、利用者の障害特性に応じた適切な幅員を確保し、非常災害時には利用者が迅速に避難できる配慮が必要です。つまり、廊下を単に狭くしすぎず、車椅子や手押し具などを使う人がスムーズに通れる幅を確保します。なお、「中廊下(内廊下とも)」とは両側に居室など生活設備が並ぶ廊下のことです。中廊下では、人や車椅子がすれ違えるよう一部幅を広げたアルコーブ(幅の拡張部)を設置する工夫が想定されています。アルコーブがあれば対向通行がしやすくなり、狭い廊下でも円滑な往来が可能です。設計時にはこのような工夫も検討しましょう。
追加設備の考え方
指定障害者支援施設は利用者の生活全般を支援する役割があるため、通知で規定される基本設備以外にも、利用者のニーズに応じた追加設備を整えることが求められています。例えば、高齢者や車椅子利用者が多い施設では、手すり付きのトイレや段差の少ない浴室など、快適で安全な生活に必要な設備を検討します。基準に書かれていない設備でも、利用者にとって必要なら積極的に導入する姿勢が大切です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 訓練・作業室の広さ:面積・部屋数に決まりはないが、利用者全員が同時に訓練・作業できる十分な広さを確保すること。
- 廊下幅と通行:障害者に配慮した適切な幅員を確保し、避難ルートを確保すること。中廊下ではアルコーブの設置などですれ違いスペースを検討する。
- 追加設備の検討:基準で定められた設備のほか、利用者の要望や特性に応じた設備も積極的に整備する。
【免責事項】
