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独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (11) (12) 

害者支援施設におけるサービス提供の記録義務と費用徴収についてポイント解説


記事の概要:
本記事では、厚生労働省の省令解釈通知(基準第17条・第18条に関する部分)をもとに、これらのルールをわかりやすく解説します。記録の取り方や利用者から徴収できる費用の範囲など、現場で押さえておくべきポイントを、やさしくシンプルに解説します。

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サービス提供記録の義務とは

まず、サービス提供記録の義務について解説します。運営基準第17条では、サービス提供のたびに記録を残し、利用者にも内容を確認してもらうことが義務付けられています。具体的には、サービスを提供した日付、提供した具体的なサービス内容、利用者負担額などの「利用者に伝達すべき事項」を、後からまとめてではなくサービス提供の都度記録しなければなりません。

そして、記録した内容については、利用者またはその保護者から確認(押印・署名など)を受ける必要があります。例えば月末にまとめて署名をもらうような方法は認められず、サービス提供ごとにその場で確認してもらうことが求められます。このルールは、利用者と事業者双方がその時点でのサービス利用状況を正しく把握できるようにするためのものです。記録と本人確認を徹底すれば、提供漏れや記録ミスの防止につながり、利用者との信頼関係構築にも寄与します。

なお、入所施設サービスの場合(施設入所支援を利用する障害者の場合)は、適切に記録管理ができるなら後日まとめて記録することも認められています。しかし通所サービス(デイサービス等)では毎回の記録とその場での確認が原則となりますので注意しましょう。

利用者から徴収できる費用のルール

次に、費用徴収のルールです。運営基準第18条では、事業者が利用者に金銭の支払いを求められる範囲が定められています。原則として、利用者に請求できるのは制度で決められた利用者負担額(例:サービス費用の1割負担など)等の項目に限られ、それ以外の不適切な費用を曖昧な名目で徴収することはできません。つまり、契約時に説明していない謎の追加料金を後から請求したり、法律に根拠のない名目でお金を取ることは許されないということです。

しかし、利用者のためになるものであって、通常のサービス提供の範囲外のものについては、条件を満たせば別途費用を求めることが認められています。その条件とは次の2点です。

  1. それが施設サービスの提供の一環ではないオプションのサービスにかかる費用であること。
  2. 利用者に求める金額、その使途および請求の理由を記載した書面を交付して説明し、利用者の同意を得ていること。

例えば、通常のサービスとは別に希望者向けのレクリエーション活動を企画し、その実費(材料費や外出時の交通費等)を利用者に負担してもらうケースが挙げられます。この場合、事前に内容と費用を説明し、同意を得れば費用を徴収しても問題ありません。一方で、根拠のない「事務管理費」などの名目で利用者に追加料金を課すのは不適切です。

要するに、利用者負担に関するルールは利用者が予期しない出費を防ぎ、公平性を守るためのものです。事業者としては、これらの決まりを正しく理解し、透明性のある説明と手続きを徹底することが求められます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • サービス提供記録の作成と確認:サービス提供記録はサービス提供の都度作成し、利用者または保護者の署名・押印による確認を受ける(施設入所支援を受けない利用者さんの場合)。
  • 追加費用請求の条件:利用者に追加で費用を請求できるのは原則として法定の利用者負担額まで。サービス提供外のオプションについて費用を求める場合は、内容・金額・理由を事前に説明し、同意を取得することが必要。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。