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独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (4) (5) (6)

害者支援施設における協力対応・受給資格・サービス提供困難時の対応


記事の概要:
本記事では、障害者支援施設における「(4) 連絡調整に対する協力」、「(5) サービス提供困難時の対応」、「(6) 受給資格の確認」という3つの重要な規定について取り上げます。それぞれの規定が何を求めているのかを、やさしくシンプルに解説します。

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(4) 連絡調整に対する協力

ポイント:施設は地域の関係機関との連携に最大限協力することが求められます。厚生労働省の定める指定基準第10条では、「市町村や相談支援事業者(※利用計画の相談支援を行う機関)から利用者さんの紹介やサービス担当者会議への出席依頼などがあった場合、施設はできる限り協力しなければならない」と規定されています。

つまり、障害者支援施設を運営する側は、自治体職員や相談支援専門員(ケースワーカー)から連絡が来たときには積極的に応じる姿勢が必要です。例えば、ある利用希望者の情報提供を求められたり、地域のサービス担当者会議(※利用者の支援内容を話し合う関係者会議)に出席してほしいと依頼されたりした場合には、可能な限り協力しましょう。こうした連絡調整への協力は、施設の円滑な利用の観点から大切であり、結果的に利用者さんにより良い障害福祉サービスを提供することにつながります。普段から市町村や相談支援事業者との連携関係を築いておくことが、スムーズな対応のポイントです。

(5) サービス提供困難時の対応

ポイント:利用申込者にサービスを提供できないときは、速やかに他の受け皿を紹介する義務があります。指定基準第11条では、施設が利用申込者からの依頼を受けた際に、自分の施設で適切なサービス提供が困難であると認めた場合の対応が定められています。具体的には、「正当な理由」によりサービスを提供できないときは、速やかに適当な他の指定障害者支援施設等を紹介するなど必要な措置を講じなければならないとされています。

ここでいう「正当な理由」とは、例えば定員がいっぱいで空きがない場合や、利用希望者の障害特性に対して施設の設備・支援体制では対応が難しい場合などが考えられます。重要なのは、理由もなく利用を拒んではならないということです。不当に断ることは差別や権利侵害につながるため禁じられており、どうしても受け入れが難しい正当な事情がある場合に限って認められます。そしてその場合でも、単にお断りするだけでなく、代わりの受け入れ先を探すお手伝いをする義務があります。例えば、「当施設では対応が難しいので、代わりに◯◯市にある別の障害者支援施設をあたってみましょう。連絡先をご紹介しますね。」といった具合に、他の施設やサービスを速やかに紹介します。この対応により、利用申込者が必要な支援を途切れず受けられるよう配慮することが、事業者として求められているのです。

(6) 受給資格の確認

ポイント:サービス開始時に利用者の受給資格(支給決定)を必ずチェックします。指定基準第12条では、障害者支援施設を利用する方が本当にサービスを受ける資格を持っているか確認することが義務づけられています。具体的には、施設サービスの提供を始める際に利用者から「受給者証」を提示してもらい、その人が市町村から障害福祉サービスの支給決定を受けているかを確かめなければなりません。

受給者証には、その利用者がどのサービスをどれくらい利用できるか(支給決定の有効期間や支給量など)が記載されています。施設側はその情報を見て、サービス提供に必要な事項をチェックします。なぜこの確認が必要かというと、障害福祉サービスの費用は自治体などからの給付(金銭的な支援)によって賄われる部分があり、サービスを受けられるのは正式に支給決定を受けた人だけだからです。例えば、支給決定を受けていない人(受給資格のない人)を誤って受け入れてしまうと、施設は公的給付費を受け取れないばかりか、制度上も認められない利用となってしまいます。そうしたトラブルを防ぐためにも、利用開始時には必ず受給者証を確認しましょう。受給者証の内容(有効期限や支給量など)は、利用契約書類と一緒にコピーを保管するなどして、スタッフ全員が把握できるようにしておくと安心です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 地域との連携を日頃から強化する: 市町村障害福祉課や相談支援専門員との関係づくりは重要です。連絡があった際にスムーズに対応できるよう、担当者の連絡先を共有したり、地域のサービス担当者会議に積極的に参加したりしておきましょう。
  • 利用申込の受け入れ可否の基準を明確に: 定員や設備の状況など、自施設で対応できる範囲をあらかじめ整理しておきます。正当な理由で受け入れ困難なケースが発生したら、すぐに代替案を考えられるよう、他の施設の情報リストを用意するなどしておくとよいでしょう。また、断る際は利用者さん本人や家族に丁寧に説明し、相談支援事業者とも連携してフォローすることが大切です。
  • 受給者証のチェック体制を徹底する: 新規に利用を開始する前に受給者証を確認する手順を、スタッフ全員に周知しておきます。チェックリストを作成したり、利用契約時の必須項目として組み込んだりして、確認漏れがないようにしましょう。受給者証の写しは利用者台帳に保管し、支給決定の更新時期が近づいたら利用者や家族に知らせるなどの配慮も行います。 

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。