地域移行支援の人員基準をわかりやすく解説 – 相談支援専門員や管理者の配置要件
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地域移行支援は、障害者が施設や病院から地域で自立した生活へ移行するのを支援するサービスです。例えば住む場所(住居)の確保や、地域生活に向けた相談・同行支援など、地域で暮らすために必要なサポートを行います。本記事では、厚生労働省の定める地域移行支援の人員基準(スタッフ配置のルール)について、やさしくシンプルに解説します。
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地域移行支援とは何か
まず地域移行支援の概要を押さえましょう。地域移行支援は障害者総合支援法に基づく「一般相談支援事業」の一つで、障害者支援施設や精神科病院などに入所・入院している障害者が地域で生活できるようサポートする相談支援サービスです。支援対象者に対し、地域生活への移行に必要な活動(住まい探し、体験利用、外出時の付き添い等)について相談に乗ったり援助したりします。簡単に言うと、「施設から地域へ引っ越して暮らすためのお手伝いをするサービス」です。
人員基準:専任スタッフと相談支援専門員の配置
地域移行支援を行う事業所には、法律で定められた人員配置の基準(人員基準)があります。ポイントは大きく2つあります。
- 専任のスタッフ(地域移行支援従事者)の配置 – 事業所ごとに最低1名以上の専任スタッフを配置しなければなりません。専任スタッフとは、この地域移行支援業務を主に担当する職員のことです。原則として、そのスタッフは自分の勤務時間中は地域移行支援の仕事以外はしないで、サービス提供に専念します。例えばフルタイムで勤務するなら、その勤務中は他の業務を掛け持ちしないイメージです。これは利用者への支援を手薄にしないための配慮です。
- 相談支援専門員の配置 – 上記の専任スタッフのうち少なくとも1名は「相談支援専門員」である必要があります。相談支援専門員とは、一定の実務経験を積んだうえで都道府県等が実施する所定の研修(相談支援従事者研修)を修了し、相談支援のプロとして認定された人のことです。簡単にいえば、「相談支援の資格を持った専門スタッフ」を最低1名は配置する決まりです。相談支援専門員は障害者やその家族の相談に乗り、支援計画を作成するエキスパートで、この資格を持つ人がいないと事業所の指定は受けられません。
なお、専任スタッフについては例外も認められています。業務に支障がない場合には、専任スタッフが他の業務を兼務することも可能です。たとえば、地域移行支援の利用者対応に差し支えない時間であれば、そのスタッフが同じ事業所内で管理者の業務を手伝ったり、併設する他の事業所の業務を兼ねたりすることもできます。また、地域移行支援のスタッフが他の相談支援事業の業務を兼務するケースも、「支障がない場合」として認められます。つまり、事業規模が小さい場合などは一人のスタッフが複数の役割を掛け持ちしても良いという柔軟な運用が許されています。ただし、あくまでも利用者支援に問題が生じないことが前提です。
管理者の配置と兼務要件
次に管理者についてです。地域移行支援事業所ごとに1名の管理者を置くことが義務づけられています。管理者はその事業所の運営管理全般を担う責任者です。原則として管理業務に専任(管理者の主な仕事に専念)することが求められます。つまり、管理者は事業所の運営管理に集中し、利用者支援の現場業務とは分けて考えるのが基本です。
しかしこちらも例外があり、管理者も条件付きで他の業務を兼務可能です。具体的には、管理業務に支障が出ないのであれば、同じ事業所のスタッフ業務を兼ねたり、他の事業所で管理者やスタッフを兼務したりすることもできます。例えば、利用者対応が落ち着いている間に、管理者が自ら相談支援業務を担当したり、別の相談支援事業所の管理者を兼任したり、といった形です。重要なのは、どの役割を兼ねていても自分の事業所のサービス提供状況を適切に把握し、職員をまとめ指示できること、そして緊急時には速やかに駆けつけられる体制を整えておくことです。この条件を満たせるなら、小規模事業所では管理者=専任スタッフ(相談支援専門員)という一人二役も可能です。実際、管理者と相談支援専門員を一人で兼ねることで、人員配置上は最小1名で事業を始めることも理論上は可能です。起業当初、人材確保が難しい場合には助かるポイントですね。
もう一つ知っておきたいのは、管理者自身は相談支援専門員である必要はないという点です。法律上、「管理者は地域移行支援の従業者(スタッフ)である必要はない」と規定されています。つまり管理者には特別な資格要件(例えば社会福祉士や相談支援専門員の資格など)は課されていません。極端に言えば、事務的なマネジメント役としての管理者を別途置き、相談支援専門員は他のスタッフが担当するといった形でも構わないのです。ただし、多くの事業所では管理者自身が相談支援専門員の資格を持ち、現場の相談支援にも関与しているケースが一般的でしょう。資格上は必須ではないとはいえ、運営上は管理者も相談支援の知識・経験を備えていることが望ましいのは言うまでもありません。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 最低スタッフ数と資格要件:地域移行支援事業所には、専任の地域移行支援従事者を事業所ごとに最低1名配置し、そのうち1名以上は相談支援専門員である必要があります。この相談支援専門員は所定の研修修了と実務経験を備えた相談支援のプロです。
- 管理者の配置:事業所ごとに1名の管理者を置きます。管理者は基本的に管理業務に専念しますが、条件を満たせばスタッフ業務との兼任も可能です。小規模運営では管理者と相談支援専門員を一人で兼ねることも認められています。
- 兼務のルール:スタッフ・管理者ともに、利用者支援に支障がなければ他職務を兼務可能という柔軟な規定があります。特に計画相談支援や障害児相談支援など他の相談支援事業との兼務は明確に容認されているため、複数サービスを一体的に展開する場合に活用できます。
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