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独習 地域相談支援 指定基準 | 第二 指定地域移行支援に関する基準 2  運営に関する基準 (21) 後半

域移行支援の運営規程(対象障害の種類・虐待防止策・その他重要事項)をやさしく解説


記事の概要:
指定地域移行支援事業者が作成する運営規程には、厚生労働省の定める基準第27条によりさまざまな事項を盛り込む必要があります。本記事ではその中から「事業の主たる対象とする障害の種類」「虐待を防ぐための対策(虐待防止策)」「その他運営に関する重要事項」の3つのポイントについて、やさしくシンプルに解説します。

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事業の主たる対象とする障害の種類

「事業の主たる対象とする障害の種類」とは、その事業所が主に支援の対象として想定している障害者の種類を意味します。地域移行支援は本来、身体・知的・精神など障害の種別にかかわらず利用できます。しかし、事業者の専門性やサービスの性質によっては「うちの事業所は特に◯◯障害の方を中心に支援します」と対象を特定することも可能です。

運営規程では、もし特定の障害種別を主な対象として定める場合は、その種類を明記します。例えば「主たる対象を精神障害者とする」「特に発達障害のある障害者を対象とする」等と記載します。

では、対象を特定すると何が変わるのでしょうか?重要なのはサービス提供の義務です。厚労省の方針によれば、対象として定めた障害種別の方から利用申込みがあった場合、正当な理由がない限り受け入れなければならない(応諾義務)とされています。そのため、対象を絞るかどうかは事業戦略と責任を踏まえて慎重に決める必要があります。

虐待を防ぐための対策(虐待防止策)

運営規程には「虐待の防止のための措置に関する事項」を定めることが求められています。これは、事業所で障害者への虐待が起きないようにするための具体的な取り組みを示す項目です。障害者虐待防止法や関連法令の趣旨に沿って、利用者の人権を守るためのルールや体制を明文化します。

具体的に運営規程にどのような虐待防止策を書くか、代表的な例を挙げます。

  • 虐待防止責任者の選任:事業所内で虐待防止に責任を持つ担当者(責任者)を決めます。万一問題が起きたときの窓口にもなる重要な役割です。
  • 虐待防止委員会の設置:定期的に職員で話し合う場を設け、虐待を防ぐための対策を検討します。例えば年に1回以上は委員会を開き、職員間で課題や改善策を共有します。
  • 職員研修の実施:すべてのスタッフに対し、利用者の人権尊重や虐待防止に関する研修(トレーニング)を定期的に行います。新しい知識の共有や意識啓発が目的です。
  • マニュアル整備:虐待の兆候に気づいた場合の対処方法や通報体制についての手順書(マニュアル)を用意します。職員が迷わず適切に対応できるようにするためです。
  • 成年後見制度の利用支援:必要に応じて、判断能力が不十分な利用者の権利を守るために成年後見制度等の活用を支援します(例えば金銭管理での不当な搾取を防ぐ等)。

上記は一例ですが、要は「虐待を起こさないために事業所として何をするか」を誰にでもわかるように示すことが大切です。難しい表現を避け、「定期研修を行う」「責任者を置く」といった具体的でシンプルな記述にすると、職員や利用者にも伝わりやすくなります。また、運営規程に書くだけでなく実際にその対策を確実に行うことが重要なのは言うまでもありません。

その他運営に関する重要事項

多くの事業所では、この部分に包括的な一文を入れることが一般的です。例えば「この規程に定める事項のほか、運営に関する重要な事項は事業者と事業所管理者の協議に基づき定めるものとする」といった文章です。これは「規程に書いていない運営上の取り決めが出てきた場合は、経営者と管理者で相談して決めます」という意味になります。要するに、将来生じるかもしれない細かなルールに柔軟に対応できるようにするための一文です。

なお、指定地域移行支援事業所が市町村から「地域生活支援拠点等」として正式に位置付けられている場合に、そのことを運営規程に明記する義務があることを示しています。「地域生活支援拠点等」とは、障害者が地域で安心して暮らせるように様々な支援を一体的に行う拠点で、法第77条第4項に規定された公的な役割を担います。これに指定されると、事業所としての責務や役割も広がり、地域の相談窓口としての重要性が増します。

したがって、もし自事業所が市町村の指定によって地域生活支援拠点等に位置付けられている場合は、必ずその旨を運営規程に書き加えなければなりません。これは利用者や関係機関に対し、自事業所の役割を明確に示すためです。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 対象障害の種類は無理に絞らなくてもOK:運営規程で主たる対象者を特定するかどうかは任意です。特定すれば専門性をアピールできますが、その障害の方からの申込みは基本受け入れる責任(応諾義務)が生じます。自社の対応力に照らして決めましょう。
  • 虐待防止策は具体的に:単に「虐待防止に努める」だけでなく、責任者の配置や職員研修の計画、委員会の開催など具体策を明記します。規程に書いた対策は実際に実行し、職員全員に周知徹底しましょう。
  • その他重要事項で抜け漏れ防止:運営規程に盛り込んだ以外のルールが必要になったときに備え、「その他運営に関する重要事項」で包括的に定めておくと安心です。苦情対応や緊急時対応など、事業運営上欠かせない事項も必要に応じて追記し、規程の更新も適宜行いましょう。


【免責事項】

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