指定地域移行支援の業務継続計画(BCP)義務をわかりやすく解説
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障害福祉サービスの現場では、大地震や感染症の流行などの緊急事態が起きても支援を止めない工夫が必要です。そのために近年注目されているのが業務継続計画(BCP)と呼ばれる計画です。BCPとは、大きな災害や新型感染症が発生した場合でも、利用者の安全を守りながら事業を可能な限り継続・早期再開するための計画を意味します。
特に指定地域移行支援事業(障害のある方が施設や病院から地域生活へ移るのを支援するサービス)においても、BCPの策定は非常に重要です。本記事では、指定地域移行支援事業に関する基準第28条の2に定められたBCP義務のうち、①と②のポイントについてやさしくシンプルに解説します。
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基準第28条の2が定めるBCPのポイント(①・②)
① 業務継続計画の策定と研修の義務
基準第28条の2第1項では、指定地域移行支援事業者に対し「感染症や災害が発生した場合でも利用者が継続して支援を受けられるよう、業務継続計画(BCP)を策定し、従業者に必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならない」ことが定められています。つまり、平時から非常時に備えて計画を立てておき、いざという時に職員が迅速かつ適切に対応できるよう訓練しておくことが義務付けられているのです。
業務継続計画(BCP)とは、感染症や地震などの非常事態が起きてもサービス提供をできる限り途切れさせないための行動計画です。例えば、「もし事業所で新型感染症の感染者が出たらどう動くか」「大地震で建物が使えなくなったらどこで利用者支援を続けるか」など、様々なケースを想定して手順を決めておきます。さらに、その計画に基づいて職員への研修や模擬訓練を行い、全員に周知徹底することも求められます。こうした準備により、非常時でも利用者の安全と生活を守り、サービスを継続・早期再開できる体制を築くのが目的です。
② 感染症対応・災害対策ごとのBCP項目
基準第28条の2第2項では、BCPには感染症発生時と災害発生時のそれぞれに備えた項目を盛り込む必要があるとされています。言い換えれば、「感染症が流行した場合にどう対応するか」と「地震や台風などの災害時にどう対応するか」の両方について計画を立てておかなければなりません。なお、感染症版と災害版のBCPを別々に用意せず、一つの計画書にまとめて一体的に策定する形でも差し支えありません。
では、それぞれ具体的にどんな内容を計画しておく必要があるのでしょうか。厚生労働省のガイドライン等によれば、感染症向けと災害向けのBCPにはおおむね以下のような項目が含まれます。感染症の場合はウイルスのまん延を防ぎながら事業継続するための措置、災害の場合は被害を最小限に抑えて事業を続けるための措置が中心です。
以上のように、BCPでは感染症と自然災害それぞれの場面で「平常時に何を準備しておくか」「緊急時に誰が何をするか」といったことを決めておく必要があります。地域や事業所によって想定されるリスクは異なるため、自事業所ではどんな災害・感染症が起こり得るかを洗い出し、計画の項目や内容を実情に応じて具体的に定めることが大切です。(※厚生労働省からは「障害福祉サービス事業所等における感染症発生時の業務継続ガイドライン」および「同・自然災害発生時の業務継続ガイドライン」が公表されており、BCP策定の参考になります。)
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- BCP策定は事業者の義務: 令和6年(2024年)4月以降、全ての障害福祉サービス事業者でBCP(業務継続計画)の策定が義務化されています。感染症版・災害版のどちらか一方でもBCPを作成していない場合、業務継続計画未策定減算として基本報酬が減額されるので注意が必要です(サービス種別により1~3%の減算が適用)。
- BCPは感染症対応と災害対策の両面を網羅: BCPには感染症と自然災害の両方に備えた内容を盛り込む必要があります。前述のように、それぞれ平時の備えから緊急時の対応までの項目を計画し、文章で明文化しておきましょう。地域特有のリスク(例:大雪地域なら雪害、沿岸部なら津波など)も考慮し、自事業所に必要な対策を洗い出して計画に反映することが大切です。
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