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独習 地域相談支援 指定基準 | 第二 指定地域移行支援に関する基準 2  運営に関する基準 (26)

域移行支援事業の掲示義務(基準第31条)をやさしく解説


記事の概要:
地域移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つで、施設や病院から地域生活へ移行したい障害者を支援する事業です。その基準の中で、第31条「掲示等」に関するルールが示されています。これは事業所内で利用者にとって重要な情報を掲示(または備え付け)し、公表することを義務付けたものです。本記事では、基準第31条の内容を逐条解説し、押さえるべきポイントをやさしくシンプルに解説します。

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掲示義務の目的と背景

基準第31条「掲示等」は、サービス利用開始時に行う重要事項の説明・同意取得(基準第5条)に加えて、サービス提供中も利用者が継続して重要情報を確認できるようにするために定められました。サービス提供前には運営規程や苦情対応などの重要事項を利用申込者に重要事項説明として説明し同意を得ますが、その後も利用者保護の観点から、これらの情報を事業所内に掲示して常に見られる状態にしておく必要があるのです。こうした掲示によって、利用者や家族が事業所のサービス内容や体制を正しく把握し、安心してサービスを利用できる環境を整えることが掲示義務の目的です。

掲示すべき重要事項の内容

第31条第1項では、指定地域移行支援事業所の見やすい場所に掲示すべき事項が具体的に列挙されています。掲示対象となる主な重要事項は次のとおりです:

  • 運営規程の概要 – 事業所の運営方針やサービス提供内容の要点(例:営業時間、サービス提供地域、利用料金、緊急時の対応方法等)。利用契約の基礎となる運営規程の大事なポイントをまとめたものです。
  • 基本相談支援および地域移行支援の実施状況 – 当事業所でどのような相談支援や地域移行支援を提供しているか、その実績や体制の概略です。例えば現在受け入れている利用者数や、支援プログラムの内容など、サービスの具体的な状況を示します。
  • 従事者(スタッフ)の資格・経験年数および勤務の体制 – 地域移行支援に従事する職員の有資格状況(例:社会福祉士、精神保健福祉士などの資格)と経験年数、さらに配置体制(常勤・非常勤の別や人数配置)です。なお個々の職員名までは掲示不要で、職種ごとの人数を示す形で構いません。例えば「常勤相談支援専門員:2名(経験5年・3年)」などと掲示し、職員の氏名は含めない運用で問題ありません。
  • その他サービス選択に資する重要事項 – 上記以外で利用申込者や利用者がサービスを選ぶうえで参考になる情報です。具体例として、事故発生時の対応方法(緊急時の連絡先・医療機関との連携方法等)や苦情解決の体制(苦情受付窓口や手順)などが挙げられます。これらは事業所ごとに定められた重要事項説明書にも記載されており、利用者にとって非常に重要な情報です。必要に応じて個人情報保護の取り組みや、地域生活支援拠点との連携状況なども含め、利用者の理解と安心につながる事項は漏れなく掲示するとよいでしょう。

以上のような重要事項を事業所内の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。「見やすい場所」とは、利用者やその家族が普段目にする受付や待合スペース、相談室などを指し、利用者側から確認しやすい位置で掲示する必要があります。掲示物は大きめの文字やわかりやすい表現で作成し、誰でも読みやすい工夫をすることも大切です。

掲示方法と代替措置

第31条第2項では、上記の掲示義務を果たす代替手段について定められています。具体的には、掲示物として壁に貼り出す代わりに、重要事項を記載した書面(ファイル等)を事業所内に備え付けておき、いつでも自由に閲覧できるようにする方法でも差し支えないとされています。この場合、利用者や来所者が希望すればすぐに閲覧できるよう、受付や共有スペースにファイルを設置したり、「重要事項ファイル設置しています。お気軽にお申し出ください」等の案内表示を出すなどの配慮をしましょう。実際に体験利用に訪れた方や家族には「こちらのファイルで事業所の重要な情報をご覧いただけます」と積極的に案内すると親切です。いずれの方法でも、最新の情報に更新して常に正確な内容を保つことが重要です。スタッフの異動や運営規程の変更があった場合は、掲示物や備え付けファイルの内容も忘れずアップデートし、情報の整合性を保ってください(運営規程を変更した際は管轄行政へ変更届の提出も必要です)。

情報公開の努め(第3項)

第31条第3項では、事業所内での掲示に加えて、重要事項の公表に努めることが定められています。これは義務ではなく努力義務ですが、基本相談支援や地域移行支援の実施状況などを広く公表することで、利用希望者がサービス内容を比較検討しやすくなり、サービス選択の支援につながるという趣旨です。具体的には、事業所のホームページやパンフレット等に重要事項を掲載することが推奨されています。例えばウェブサイトにスタッフの資格・人数、サービス提供状況、苦情相談窓口や支援方針などを公開すれば、事業所を訪れる前から利用検討者に情報提供ができます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 重要事項の掲示内容を網羅する: 運営規程の概要、提供サービスの状況、スタッフ体制、事故時対応策、苦情対応策など、利用者のサービス選択に必要な情報はすべて掲示または備え付けファイルに収録しましょう。漏れがないよう重要事項説明書の内容をチェックし、最新情報に更新します。
  • 利用者から見やすい場所に掲示: 掲示物は利用者や家族が常に目にできる場所に配置します。受付や相談室の壁、入口付近の掲示板などが適しています。掲示しない場合でも閲覧用ファイルを設置し、来訪者へ「自由にご覧いただけます」と案内するようにします。
  • 公表の取り組み: 法定義務ではありませんが、事業所ホームページや案内パンフレットへの情報公開を積極的に行いましょう。サービス内容やスタッフ体制を事前に知ってもらうことで、利用希望者の不安を和らげ、信頼につながります。公開情報は常に正確で最新に保ち、虚偽や誇張がないよう注意します。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。