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独習 障害児入所施設 指定基準 | 第三 指定福祉型障害児入所施設 3 運営に関する基準 (16) 

祉型障害児入所施設における入所支援計画の作成とポイント


記事の概要:
福祉型障害児入所施設(障害のある子どものための生活施設)を運営・開業するには、「入所支援計画」の適切な作成と運用が欠かせません。入所支援計画とは、その施設に入所する障害児一人ひとりのための個別の支援プランです。この計画には、お子さんや保護者の希望、支援の目標、具体的なサービス内容などが盛り込まれます。本記事では、基準第21条で定められた入所支援計画の重要ポイントを、やさしくシンプルに解説します。

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入所支援計画の内容と目的

入所支援計画とは、福祉型障害児入所施設で暮らす障害児一人ひとりに対して、どのような支援を行うかをまとめた計画書です。計画の作成は児童発達支援管理責任者(施設で支援計画の作成を担当する専門職)が行います。この計画には以下のような内容を記載します。

  • 保護者および障害児の意向:入所して生活する上で、保護者やお子さん本人が望んでいること(どんな暮らしをしたいか)を反映します。例えば、「できるだけ家庭的な生活リズムを維持したい」「学校行事には参加させたい」などの希望です。
  • 総合的な支援目標と達成時期:お子さんの発達や生活能力を伸ばすための大きな目標を設定し、その目標をどの時期までに達成するかを明記します。目標は障害児の能力に応じ、「半年後に身の回りのことを自分でできるようになる」など具体的に決めます。
  • 生活全般の質を向上させる課題:現在の生活で改善すべき課題を書き出します。例えば、「集団生活に慣れる」「食事の際に落ち着いて座れるようにする」など、生活の質を上げるための課題です。
  • 支援の具体的内容(日課・行事等):上記の目標や課題を踏まえて、施設で提供する具体的なサービス内容を記載します。日々の生活支援(食事や入浴の介助、学習支援など)、リハビリや活動プログラム、季節の行事への参加など、日課や年間行事も含めて書きます。
  • 提供上の留意事項:支援する際に特に気を付けることや工夫すべきこともまとめます。医療的ケアが必要な子の場合の注意点、コミュニケーションの取り方(例えば視線やジェスチャーで意思表示する子にはそれを汲み取る工夫をする等)など、個別の配慮事項です。

こうした項目を網羅した入所支援計画を立てる目的は、障害児の生活全般の質を向上させつつ、その子の発達を促す適切な支援を計画的に提供することにあります。ただ単に日々のお世話をするのではなく、計画に基づいて目標達成に向けた支援を行うことで、お子さんの成長や自立を効果的にサポートできます。計画の様式(フォーマット)は決まったものがあるわけではなく、各施設で使いやすい形で作成して問題ありません。

子どもの意見の尊重と「最善の利益」の優先

入所支援計画を作成する際には、障害児の評価・アセスメントを丁寧に行います。児童発達支援管理責任者は、お子さんの現在の能力や置かれた環境、日常生活全般の様子を把握した上で、保護者およびお子さん本人が「どんな生活を望んでいるか」「解決すべき課題は何か」をしっかり把握します。この事前評価(アセスメント)によって、その子に本当に必要な支援内容を検討し、計画の骨子を作っていきます。

その過程で特に大切なのが、お子さん本人の意見の尊重と最善の利益の優先という考え方です。これは令和の現在、子どもの権利擁護の観点から非常に重視されています。具体的には、お子さんの年齢や発達の程度に応じて意見を聞き取り、できる限りその意思を計画に反映させるよう努めます。同時に、お子さんの「最善の利益」(その子にとって一番良いこと)を第一に考えることが求められます。

「最善の利益が優先して考慮される」とは?

端的に言えば、「お子さんにとって何が最も良いかを最優先で考える」という意味です。たとえお子さんの意見が尊重すべきものだと判断される場合でも、他の要素も含めて総合的・合理的に考えた結果、「その意見通りにするのはこの子のためにならないのではないか」と判断されることもありえます。その際は、お子さん本人の希望とは異なる結論(支援内容)になる可能性もあります。つまり、子どもの意思をできる限り取り入れつつも、本当にその子のためになる支援は何かを大人が責任を持って考え、最善と思われる計画を作る必要があるのです。

入所支援計画作成・実施の手順

児童発達支援管理責任者は入所支援計画の原案(下書き)を作成し、以下のような手順で最終的な計画の合意・実施・見直しを行います。これは施設運営基準で定められた公式なプロセスであり、確実に実施しなければなりません。

手順内容・ポイント
① 個別支援会議の開催
(計画原案の検討)
まず、作成した計画の原案について話し合う個別支援会議を開きます。この会議には、施設でお子さんの支援に直接かかわるスタッフや担当者が集まります(必要に応じてオンライン会議も可能です)。
会議では、お子さんの意見が十分尊重され、最善の利益が守られるよう配慮した体制を整えます。そのため、会議の場にお子さん本人や保護者にも参加してもらったり、事前にスタッフがお子さん・保護者から直接話を聞いて意向を把握したりします。また、年齢や障害の特性上、言葉で意見を伝えることが難しいお子さんもいます。その場合は、身振り・表情・発声などから気持ちを汲み取り、お子さんの意思を尊重する姿勢が大切です。スタッフ間で原案への意見を出し合い、必要があれば修正します。
② 計画の説明と同意取得
(保護者・本人への説明)
個別支援会議で練り上げた入所支援計画案について、保護者及びお子さん本人に説明します。計画の内容(目標や支援内容、今後の方針)をわかりやすく伝え、保護者から文書による同意を得ます。書面で同意をもらうことで、双方で計画内容を確認し合い、理解を深めます。もし計画に納得できない点があれば、この段階で調整し、合意の上で最終決定します。
③ 計画書の交付
(計画書の共有)
同意を得て確定した入所支援計画書を保護者に交付(お渡し)します。保護者は手元に計画書があることで、施設がどのような方針でお子さんを支援していくのかをいつでも確認できます。また、今後の支援について家庭と施設で情報を共有するツールにもなります。計画書は施設側でも大切に保管し、スタッフ全員で共有しましょう。
④ モニタリングと定期見直し
(支援状況の評価と計画修正)
計画に基づく支援がスタートしたら、モニタリング(継続的な見守り・評価)を行います。日々の支援状況を確認し、お子さんの様子や達成状況を把握します。そして、お子さんに新たに生じた課題や、逆に目標が達成できた事項などを洗い出し、計画の見直しが必要かどうかを検討します。少なくとも6か月に1回以上は定期的に見直しの機会を設け、必要に応じて計画の変更・更新を行います。見直しの際には再びスタッフ間で会議を開き、支援内容の変更点を議論します。変更を加える場合は、その変更内容について再度保護者等の同意を得ることも忘れずに行います。計画は作りっぱなしにせず、常にお子さんの成長や状況の変化に合わせてアップデートしていくことが重要です。

上記のように、入所支援計画は作成から実施、そして定期的な評価・見直しまで一連のサイクルで管理されます。計画作成時にはチームで話し合い、保護者・お子さんと合意形成を図り、実施後もPDCAサイクルのようにチェックと改善を繰り返すことで、質の高い支援を提供できるのです。このプロセスをきちんと踏むことで、運営基準の遵守はもちろん、施設と利用者家族との信頼関係構築にもつながります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 入所支援計画の作成は必須業務:福祉型障害児入所施設では、児童発達支援管理責任者が各児童ごとに入所支援計画を作成しなければなりません。計画には保護者・児童の意向、目標、支援内容など必要事項を漏れなく記載し、施設全体で共有します。
  • 子どもの意見を尊重しつつ最善の利益を優先:計画策定にあたっては、お子さんの年齢や発達に応じて本人の意思を聞き取り、できる限り反映します。ただし最終的には「その子にとって何が一番良いか」を第一に考え、専門的見地から最適な支援内容を判断することが大切です。
  • 計画の説明・合意と定期的な見直しを徹底:作成した計画は必ず保護者(必要に応じて本人)に説明し、文書で同意を得ます。計画書を交付して情報共有し、支援開始後は半年に1回以上のペースでモニタリングと見直しを実施しましょう。変更が必要な際はスタッフ間で検討会議を開き、保護者の同意のもと計画を更新します。継続的なPDCAサイクルで支援の質を向上させることが、事業運営の信頼性アップにもつながります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。