福祉型障害児入所施設における非常災害対策(基準第37条)をわかりやすく解説
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福祉型障害児入所施設(障害のある子どもが入所する施設)では、火災や地震などの非常時に備えた非常災害対策が法律で義務付けられています。これは児童福祉法に基づく設備及び運営の基準第37条で定められており、施設の安全管理においてとても重要なポイントです。この記事では、基準第37条「非常災害対策」の内容について、やさしくシンプルに解説します。非常災害対策として求められる設備の設置や計画策定、連絡体制、避難訓練のポイントを整理し、押さえておくべき重要事項をまとめます。
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非常災害対策とは何か?
非常災害対策とは、火災や地震・台風などの災害から子どもたちの命を守るために、施設が講じなければならない一連の安全対策のことです。具体的には、必要な防災設備の設置、緊急時対応の具体的な計画策定、関係機関への通報・連絡体制の整備、そして避難訓練の実施の4つが柱となります。基準第37条では、施設に対しこれらの対策を万全に期す(=しっかり準備する)ことを求めています。つまり、「もしもの非常時」に備えて、ハード面(設備)とソフト面(計画・体制・訓練)の両方で準備を整えておく必要があるのです。
福祉型障害児入所施設では、まず消火器などの防災設備を法令に従って正しく設置しなければなりません。「消火設備その他非常災害に際して必要な設備」とは、消防法などで設置が義務付けられている設備のことです。例えば、消火器、火災報知機(火災警報器)、スプリンクラー、防火扉、非常灯、緊急通報装置(非常ベル)などが該当します。こうした設備は法律の規定に沿って確実に備え付け、定期的に点検して常に使える状態にしておくことが重要です。万一火災が発生した場合、消火器や火災報知機が適切に作動すれば初期消火や迅速な避難誘導が可能となり、被害を最小限に抑えることにつながります。
次に、非常災害に関する具体的な計画の策定も義務付けられています。非常災害時の具体的計画とは、平時から準備しておく災害対応マニュアルのようなものです。これは二つの側面があります。一つ目は消防計画です。消防計画とは消防法施行規則で定められたもので、施設内で火災が起きた場合に備える計画です。具体的には、火災発生時の避難経路や消火活動の手順、非常ベルを鳴らすタイミング、職員の役割分担などを定めます。消防計画の作成およびその計画に基づく消防上の業務の遂行は、消防法第8条に基づいて選任される防火管理者(施設の防火責任者)が行うことになっています。二つ目は自然災害への対処計画です。台風や豪雨による風水害、地震・津波など、火災以外の災害に備えた計画も立てておきます。例えば、大地震時の避難場所や避難方法、非常持出品の確認、近隣の避難所との連携方法などを決めておきます。これら具体的な計画を文書化し、職員全員に周知徹底しておくことで、非常時にも落ち着いて対応できるようになります。
関係機関への通報および連絡体制の整備も欠かせません。これは、災害が起きたときに速やかに関係先へ連絡できる仕組みを日頃から整えておくという意味です。特に火災時には、すぐに119番通報して消防署へ連絡する体制を取るように、職員に周知しておく必要があります。非常電話の使い方や通報時に伝えるべき内容(住所、状況など)を職員が理解していることが大切です。また、地域の消防機関(消防署や消防団)や警察、医療機関との緊急連絡先リストを用意し、いざという時に迅速に連絡できるよう準備します。さらに、地域住民との協力体制も日頃から築いておきましょう。近隣の方々や自治会と防災について話し合い、災害時には消火や避難の協力をお願いできる関係を作っておくことが求められています。平常時から顔の見える関係を作っておけば、非常時に助け合う体制がスムーズに機能します。
最後に、避難・救出訓練の定期的な実施についてです。基準第37条では、施設に対し定期的に避難訓練や救出訓練など必要な訓練を行うことを義務付けています。避難訓練とは、火災や地震などの発生を想定し、子どもたちと職員が安全に避難する練習をすることです。重要なのは、その訓練にできるだけ地域住民も参加してもらうよう努めることとされています。日頃から近隣の住民や学校・事業所などに声をかけ、訓練に参加してもらえるよう働きかけましょう。地域ぐるみで訓練を行えば、実際の災害時にもスムーズに協力し合えるメリットがあります。また、消防関係者(消防署員や消防団員など)にも訓練に参加してもらい、具体的な指導やアドバイスを受けることが推奨されています。プロの指導を仰ぐことで、訓練内容がより実践的で効果の高いものになります。例えば、消火器の正しい使い方を直接教えてもらったり、避難誘導の改善点を指摘してもらえたりします。このようにして訓練の実効性(実際に役立つ効果)を高めておくことが、子どもたちの安全確保につながります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 防災設備と計画の整備: 消火器や火災報知機など必要な設備を設置し、火災・風水害・地震に備えた具体的な計画(消防計画等)を策定しておくこと。
- 緊急時の連絡体制: 火災発生時に速やかに119番通報できるよう職員に周知し、消防機関や地域住民と日頃から連携しておくこと。
- 避難訓練と地域連携: 定期的に避難・救出訓練を実施し、可能な限り地域住民や消防関係者にも参加を呼びかけて実践的な訓練にすること。
【免責事項】
