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独習 障害児入所施設 指定基準 | 第三 指定福祉型障害児入所施設 3 運営に関する基準 (34) 後半

定福祉型障害児入所施設の衛生管理と感染症対策のポイント解説|後半


記事の概要:
福祉型障害児入所施設(障害のあるお子さんが生活する施設)では、感染症や食中毒の予防と対策がとても重要です。本記事は、衛生管理等に関する基準第38条について、やさしくシンプルに解説します。前回の記事では感染症対策委員会の設置等を説明しましたが、今回は感染症及び食中毒予防の指針、職員研修、シミュレーション訓練、そして入浴時の清潔保持について取り上げます。

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感染症・食中毒予防のための指針とは?

まず、施設では「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針」というガイドラインを作成し、職員に周知しておく必要があります。この指針には、平常時の感染予防策と感染症や食中毒が発生したときの対応策の両方を定めます。平常時の対策とは日頃から施設内で感染を防ぐ取り組み、発生時の対応とは万が一感染症や食中毒が起きた場合に被害を最小限にする手順です。

指針の主な内容をまとめると、以下のようになります。

平常時の感染予防策感染発生時の対応策
衛生管理の徹底: 環境整備・消毒、排泄物や血液・体液の処理等で清潔を保つ状況把握: 発生時は誰にどんな症状があるか速やかに確認
日常支援での予防: 標準予防策のルール設定(例: 体液や傷に触れるとき手袋着用等)、正しい手洗い、健康観察による早期発見感染拡大の防止: 患者の隔離、共有部分の消毒、他利用者への感染防止策
関係機関との連携: 医師に相談し必要なら受診。保健所や市町村担当部署へ速やかに連絡
医療処置と報告: 必要な医療ケアを行い、行政への報告義務も果たす
連絡体制: 施設内と外部への緊急連絡手順を事前に定めておく

このように平時・有事それぞれの対応を網羅した指針を用意することで、職員全員が何をすべきか事前に理解できます。指針を作成する際には、厚生労働省の「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」なども参考にしましょう。

職員研修は何をどのくらい行う?

感染症の予防や蔓延防止のためには、職員に対する定期的な研修が欠かせません。研修の目的は、スタッフ全員に感染対策の基礎知識を身につけさせ、施設の指針に沿った衛生管理を徹底することです。そのため各施設で研修プログラムを策定し、年2回以上の頻度で研修を実施します。また、新人職員を採用したときは必ず初期に感染対策研修を受けさせるようにしましょう。

研修内容は、感染症の基礎知識(ウイルス・細菌の特徴や感染経路)、標準予防策の具体的方法、嘔吐物の処理手順、手洗いや消毒の正しい方法、感染者が出た場合の初動対応など実践的な項目を盛り込みます。研修は施設内で行って問題ありません。厚労省のマニュアル等を教材に用い、自施設の状況に合わせて工夫しましょう。研修の実施内容は記録(実施日・参加者・研修項目など)として残しておきます。

さらに、調理や清掃を外部委託している場合は、委託スタッフにも施設の感染予防指針を共有する工夫が必要です。説明会を開いたりマニュアルを配布したりして、外部スタッフも含めた衛生管理体制を整えましょう。

感染症発生を想定した訓練も必要

机上の知識だけでなく、実際の動きを練習しておくことも重要です。感染症発生を想定した訓練(シミュレーション)を平常時から年2回以上行い、職員が迅速に対応できるように備えましょう。訓練では、あらかじめ定めた指針や研修内容に基づき、誰が報告・連絡・対応するかといった役割分担を確認します。さらに、防護具(マスク・手袋等)を着用しての介助練習や嘔吐物処理の実演など、実践的な演習も取り入れます。

訓練の方法は机上シミュレーションでも実地訓練でも構いません。両方を組み合わせて定期的に実施し、訓練で見つかった課題は指針や手順を見直すことで常に実効性の高い対策を維持しましょう。

障害児の入浴時の健康確認と清潔保持

衛生管理のルールには、入浴時の対応に関する決まりも含まれています。入浴介助をする際は、児童の心身の状態や自立支援の観点に配慮しましょう。入浴前に健康チェックを行い、その日に入浴できる体調か確認します。もし体調面で入浴が難しい場合は、無理にお風呂に入れず清拭(せいしき)といって体を拭くケアで清潔を保ちます。清拭とは濡らしたタオルで身体を拭き清潔を維持する方法です。入浴できなくても児童の清潔保持に努めなければなりません。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 感染症予防ガイドラインの整備: 平常時と有事双方の感染対策を網羅した指針を作成し、職員に周知しましょう。緊急時の連絡体制や対応手順も明文化しておきます。
  • 定期研修の実施と記録: 全職員を対象に感染症予防の研修を年2回以上行いましょう(新人職員には初期研修を必ず実施)。研修内容は記録し、外部委託スタッフにも指針を共有して施設全体で対策を徹底しましょう。
  • シミュレーション訓練の励行: 感染症発生を想定した訓練を年2回以上行い、職員が迅速に対応できるよう準備しましょう。訓練で出た課題は指針に反映し常に対策をアップデートしましょう。また、入浴前の健康確認や清拭による清潔保持にも留意しましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。