スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (22)

害者支援施設における介護基準(第26条)とは?


記事の概要:
厚生労働省が定める施設障害福祉サービスの介護基準(第26条)は、障害者支援施設などで行われる入所支援サービスにおける介護の最低基準を示したものです。本記事では、この基準の内容をやさしくシンプルに解説します。入浴や排せつ介助、職員配置などの重要ポイントを押さえることができます。

▶︎ 障害者支援施設等 関連記事まとめページはこちら

障害者支援施設での「介護」

基準第26条では、以下のような介護のルールが定められています。その内容を順に見ていきましょう。

  1. 利用者の状態に応じた適切な介護: 介護は利用者一人ひとりの心身の状態に合わせ、適切な技術で行わなければなりません。これは、利用者の自立を支援し、その人らしい充実した日常生活を送れるように手助けすることが目的です。ただマニュアル通りに画一的な介助をするのではなく、利用者の体調や能力に応じて臨機応変に対応しましょう。
  2. 入浴または清拭(せいしき)の実施: 施設入所支援では、利用者をお風呂に入れるか、からだを拭いて清潔に保つケア(清拭)を行う義務があります。入浴は体を清潔にするだけでなく、血行を促進してリラックス効果もあります。利用者の体調によって入浴が難しい場合は、温かいタオルで全身を拭く清拭を行い、清潔を保ちます。いずれの場合も、適切な方法で衛生管理に配慮した介護を提供しましょう。
  3. 排せつの自立を促す支援: 生活介護や施設入所支援では、利用者の排せつ(トイレ)について必要な介助を行います。この際、単に排せつの介助をするだけでなく、可能な限り利用者がトイレ動作を自分でできるよう支援することが求められています。例えば、トイレに誘導したり見守ったりして、利用者の排せつの自立を促す取り組みを行いましょう。
  4. おむつの適切な提供と交換: やむを得ずおむつを使用する利用者には、その人の状態に適したおむつを用意し、排せつのタイミングに合わせて適切に交換する必要があります。単に「頻繁に替えれば良い」というものではなく、利用者の排せつのペースや皮膚の状態に配慮して交換します。常に利用者が快適に過ごせるよう、おむつが濡れたまま長時間放置しないことはもちろん、必要以上に不必要な交換で利用者の睡眠や生活リズムを乱さないよう注意しましょう。
  5. 日常生活上の世話(離床・着替え等): 生活介護や施設入所支援において、朝起きる手助け(離床)、衣服の着替え、身だしなみを整える(整容)など、日常生活に必要な介助も適切に行います。障害者支援施設は利用者にとって生活の場です。家庭での生活と同じように、通常の一日の生活リズムに沿ってこれらの支援を提供し、利用者の快適な暮らしを支えます。
  6. 介護職員の常時配置: 施設では24時間体制で利用者に対応できるよう、常に介護職員(生活支援員など)を1名以上配置しておかなければなりません。夜間であっても無人にならないように夜勤スタッフを置き、適切な介護が提供できる体制を組みます。
  7. 外部の介護サービス利用の禁止: 利用者が自分で費用を負担して、施設の職員以外の人(外部の介護者)から介護を受けることはできません。施設は提供するサービスの一環として利用者の介護ニーズをすべて満たす必要があり、利用者に追加負担をさせて他の事業者等から人手を呼ぶことは禁止されています。もし介護の手が足りない場合は人員配置を見直す必要があり、利用者や家族に外部ヘルパーを手配させることは違反となります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 基準順守は事業運営の大前提: 上記の介護基準は法律で定められた最低基準であり、満たせない事業者は指定(許可)を受けられません。また運営中に基準違反が明らかになれば行政から是正勧告や公表、命令といった処分が行われ、最終的には指定取消しの可能性もあります。事業を始める段階から基準順守の体制を整えましょう
  • 24時間の人員体制と人件費: 常時1名以上の介護職員配置という基準は、夜間帯の人員配置も求められることを意味します。起業希望者は人件費やシフト計画を立てる際に、この夜勤体制を含めて検討する必要があります。例えば定員○名規模の障害者支援施設を運営する場合、夜勤シフト要員を含め複数名の生活支援員を確保しなければなりません。人員配置基準を満たしつつ、職員が無理なく働ける計画を立てることが重要です。
  • 利用者の生活を第一に考えるサービス提供: 基準第26条は、利用者の尊厳と自立支援を重視した内容になっています。入浴や排せつ介助、日常の身の回りの世話など、利用者の生活の質に直結するケアをおろそかにしないようにしましょう。施設は利用者にとって「暮らしの場」です。画一的な介護ではなく、一人ひとりのペースや希望に寄り添った支援を心がけることで、サービスの質が上がり信頼も得られます。
  • 外部リソースに頼らない体制づくり: 介護基準では利用者の自費による外部サービス利用を禁じています。この趣旨は、施設が責任をもって必要な介護を提供するということです。家族から「ヘルパーを雇いたい」と申し出があっても、まずは施設内で対応できる方法を検討しましょう。十分なスタッフを配置し、職員の研修を充実させることで、外部に頼らずとも質の高いケアを提供できる体制づくりが求められます。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。