スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (23)

練と指定障害者支援施設における就労移行支援のポイント


記事の概要:
基準第27条「訓練」は、障害福祉サービスの指定障害者支援施設が利用者に提供する「訓練」の基準です。簡単に言えば、利用者の人格を尊重し、その人に合わせた訓練を行って、将来地域で自立した生活が送れるように支援するためのルールです。本記事では、基準第27条「訓練」のポイントをやさしくシンプルに解説します。

▶︎ 障害者支援施設等 関連記事まとめページはこちら

基準第27条「訓練」とは?

基準第27条は、指定障害者支援施設における訓練の提供方法や体制に関するルールです。障害者支援施設では、利用者に対して日常生活や社会生活に必要な様々な訓練(生活訓練や技能訓練)を提供します。例えば、身の回りの動作の練習、料理や掃除など家事の練習、体力づくりの運動、対人コミュニケーションの練習などがあります。基準第27条では、こうした訓練を提供する際の基本的な考え方や、確保すべき職員体制などが定められています。

訓練提供の基本方針:利用者の人格尊重と適切な支援

基準第27条第2項では、訓練の提供にあたって「利用者の人格に十分配慮」し、「サービス計画の目標を念頭に置いて行う」ことが基本とされています。つまり、訓練を行うときは利用者一人ひとりの人格や考え方を尊重し、その人ごとに定められた支援計画(サービス計画)の目標に沿って進める必要があります。また、利用者の心身の状態に合わせて適切な技術や方法で訓練や支援を行うことも求められています。

包括的な訓練:身体機能だけでなく生活全般の支援

次に、訓練の内容についても重要なポイントが示されています。基準第27条では、訓練は単に身体機能の維持・向上を図るだけでなく、利用者が将来施設を出て地域で生活するときに困らないよう、生活全般にわたる課題の解決を目指す訓練も含めて提供すべきだと定めています。言い換えれば、リハビリのような体の機能訓練だけでは不十分で、料理・掃除などの家事動作の習得や、金銭管理の練習、対人スキルの向上など、日常生活全般の能力を高めるための支援を総合的に行う必要があるということです。利用者が施設を退所したあと、一人でも地域で生活できるように、幅広い訓練を提供することが求められています。

就労移行支援の場合:通勤訓練の義務

さらに、就労移行支援を提供する場合の特例規定もあります。就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す人に、生産活動や職場体験などを通じて働くための知識や能力を身につけてもらう支援サービスです。基準第27条では、指定障害者支援施設等が就労移行支援を提供する際、一般就労(企業就職)後に利用者が自力で職場に通えるように「通勤のための訓練」を必ず実施しなければならないと定めています。例えば、実際に公共交通機関を使って通勤する練習をしたり、家から職場までの経路を一緒に確認したりする訓練です。この通勤訓練は、就職後にスムーズに職場通いができるようにするための大切なステップです。

訓練に従事する職員の配置基準

基準第27条第3項にある「常時1人以上の従業者を訓練に従事させる」という規定は、単に訓練担当の職員が一人いればいいという意味ではありません。訓練を実施する時間帯ごとに、必ず一人以上の職員が訓練に従事する体制を整えることが求められます。また、二人以上の生活支援員で勤務体制を組む場合には、それぞれの勤務帯、たとえば日勤や夜勤など、どの時間帯にも常勤の生活支援員が最低一人は配置されていなければなりません。非常勤のみで訓練を担当させたり、常勤者が不在となる勤務帯があるようなシフトを組むことは基準違反となるため、シフト作成の際には十分注意が必要です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 利用者本位の訓練: 利用者の人格を尊重し、一人ひとりの支援計画(サービス計画)の目標に沿った訓練を提供する。画一的ではなく、その人のニーズに合わせた柔軟な支援が重要。
  • 包括的な生活訓練: 訓練内容は身体機能の維持・向上だけにとどめず、生活全般のスキル向上を目指す。退所後の自立生活を見据え、家事能力や社会技能など幅広い訓練を行う。
  • 就労移行支援では通勤訓練: 施設で就労移行支援(一般就労への移行支援)を提供する場合、利用者が就職後に自力通勤できるよう「通勤のための訓練」を実施することが義務付けられている。
  • 訓練担当職員の配置: 訓練に当たる職員を常に1名以上確保する体制を整える(各シフトに最低1名の配置)。特に常勤の生活支援員を配置し、継続的な訓練支援が行えるようにする。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。