スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害児相談支援 指定基準 | 第二 指定障害児相談支援に関する基準 1 人員に関する基準 (1) ②

害児相談支援における相談支援専門員の兼務の注意点と標準担当件数を解説


記事の概要:
障害児相談支援(※障害のある子どもとその家族を支援する計画相談サービス)の現場では、相談支援専門員という専門スタッフが重要な役割を果たします。本記事では、相談支援専門員の兼務に関する中立性確保のポイントと、一人あたり標準で何件の利用者を担当するのが望ましいかという配置基準について、最新のガイドラインに基づきやさしく解説します。

▶︎ 障害児相談支援 関連記事まとめページはこちら

相談支援専門員の兼務と中立性の確保

障害児相談支援においては、相談支援専門員がサービス利用者に対して中立公正な立場で計画作成や支援を行うことが求められます。そのため、相談支援専門員が支援対象となる障害児が利用しているデイサービスや放課後等デイサービスなどの障害児通所支援事業所や、障害者向けのグループホーム等の障害福祉サービス事業所と兼務している場合には注意が必要です。特定の事業所の職員が相談支援を担当すると、どうしても自事業所に有利なサービス選択をしてしまうリスクや、異なる視点からの検討が不足するおそれがあります。

原則として、相談支援専門員は利用児童が通っている事業所の業務と兼務しないスタッフが継続支援を担当することが望ましいとされています。例えば、ある児童がA事業所のデイサービスを利用している場合、そのA事業所に勤務する相談支援専門員ではなく、第三者的な立場の別の相談支援専門員が継続的な支援を行うのが基本方針です。

ただし、以下のような例外条件に該当する場合には、同じ事業所の職員である相談支援専門員が継続支援を担当することが認められています。

  • 身近な地域に相談支援事業者が他に存在しない場合:地方部などで代わりの相談支援専門員がいないときは、やむを得ず兼務が容認されます。
  • サービス利用計画の決定・変更後おおむね3か月以内の場合:通所支援の給付決定(支給量やサービス内容の大きな変更)があった直後で、概ね3ヶ月以内の期間については、引き続き同じ事業所の相談支援専門員が担当できます。これは、初回の計画作成(障害児支援利用援助)とその後のモニタリング(継続障害児支援利用援助)は一連の業務であり、すぐに相談支援事業者を変更すると保護者が新たに契約を結び直す手間が発生するため、一定の猶予期間を設けているためです。
  • その他市町村がやむを得ないと認める場合:上記以外でも、市町村が事情を考慮して「このケースは仕方がない」と判断した場合には例外が適用されます。

以上の例外を除き、基本的には相談支援専門員の利益相反を避け、中立な立場で支援を提供できる体制を整えることが大切です。

相談支援専門員の標準担当件数と人員配置の目安

障害児相談支援事業所を運営するにあたり、相談支援専門員が何名必要か(担当件数の目安)も重要なポイントです。基準では、1か月あたり平均35件の利用者に対して相談支援専門員1人を配置することが標準とされています。これは、延べ利用者数が35人を超えるごとに、相談支援専門員を1人追加配置することが望ましいという考え方です。

ここでいう「1か月平均○件」とは、直近6か月間の利用者数を合計し6で割った値です。また「利用者数」とは、その事業所で支援計画の作成や継続モニタリングを提供した障害児の保護者の人数を指します。さらに、もし該当の事業所が障害児相談支援とあわせて障害者の計画相談支援(指定特定相談支援事業)も行っている場合には、そこでサービス等利用支援や継続サービス利用支援を提供した障害者の人数も合算してカウントします。つまり、子どもの支援だけでなく大人の計画相談も一緒に運営している事業所であれば、両方の利用者を合わせて「月平均利用者数」を算出する形です。

では、具体的にどの程度の人員配置が望ましいのでしょうか。上記の基準に沿って、一例を示します。

月平均の利用者数(目安)必要とされる相談支援専門員の人数
〜35件程度1人
36〜70件程度2人
71〜105件程度3人
106件以上3人以上(状況に応じ増員)

例えば、毎月平均して40件程度の支援業務がある場合、相談支援専門員は2名配置することが望ましいというイメージです。適切な人数のスタッフを配置することで、一人ひとりの利用者に対して余裕を持った計画作成・見直し(モニタリング)を行い、サービスの質を維持できるようになります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 中立性の確保:相談支援専門員は、利用者が通うサービス事業所と兼務しないスタッフが担当するのが原則です(公平・客観的な支援のため)。
  • 兼務の例外条件:地域に他の事業所がない場合や、サービス支給決定の変更後約3か月以内などでは、同じ事業所の専門員が続けて担当することも認められます。必要に応じて市町村に確認しましょう。
  • 適正なスタッフ配置:相談支援専門員は1人あたり月平均35件程度の利用者を担当するのが目安です。利用者数がそれ以上になる場合は、サービスの質を確保するために相談支援専門員を増員することが望ましいとされています。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。