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独習 障害児相談支援 指定基準 | 第二 指定障害児相談支援に関する基準 2  運営に関する基準 (11) ⑬

定障害児相談支援におけるサービス担当者会議の意義と実務対応


記事の概要:
指定障害児相談支援におけるサービス担当者会議とは、障害のあるお子さんの支援計画(障害児支援利用計画)を作成するときに開かれる関係者の会議です。相談支援専門員(いわゆる計画相談担当の専門職)が中心となり、障害児本人や保護者、サービス提供事業者などが集まって計画案を共有し、専門的な意見を出し合います。この会議を通じて、障害児の意見や最善の利益を尊重した質の高い計画を作り上げることが目的です。本記事では、そのサービス担当者会議の趣旨や参加メンバー、押さえておくべきポイントについて、やさしくシンプルに解説します。

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サービス担当者会議の目的とは

サービス担当者会議は、障害児相談支援における計画づくりの重要なステップです。市町村から障害児通所支援の通所給付決定(支給決定)を受けた後、相談支援専門員はそれを踏まえて障害児支援利用計画(サービス等利用計画)の案を作成・調整します。この際に開かれるのがサービス担当者会議です。複数のサービス提供事業者(福祉サービス事業者や教育・医療関係者など)や支援者を招集し、共通の目標を確認しながら計画案の内容を説明します。そして各担当者から専門的な見地で意見を求め、支援内容をさらに検討・改善します。こうした意見交換により、障害児とその家族の意向に沿った実現可能で質の高い支援計画を練り上げることができるのです。

会議の参加者と子どもの意見の尊重

サービス担当者会議には、計画に関わる担当者(サービス提供機関のスタッフ)だけでなく、障害児本人や保護者も可能な限り参加することが望ましいとされています。障害児の年齢や発達の程度に応じて直接会議に同席してもらい、その場で本人や家族の意向を確認します。特に令和6年度(2024年)の制度改正以降、利用者本人の会議参加が原則として重視されています。もちろん、小さなお子さんや意思表明が難しいお子さんもいますが、その場合でも周囲の大人が子どもの気持ちや希望をくみ取る工夫をすることが必要です。例えば言葉で表現できなくても、以下のようなサインから子どもの意思を尊重します。

  • 身体の動きやしぐさ
  • 表情の変化
  • 声や発声の様子

このように、言葉以外のコミュニケーションも注意深く観察し、障害児の意見を計画に反映させることが重要です。また、障害児の生活に関係する人(学校の先生や医療機関の担当者など)にも協力を依頼し、幅広い視点から意見をもらえるよう連絡調整に努めます。多職種の専門家の知見を取り入れることで、支援計画の質は一層高まります。

さらに、相談支援専門員のもとで相談支援員(補助スタッフ)が計画案作成に関わった場合は、そのスタッフも会議に同席するのが望ましいです。担当の相談支援専門員や主任相談支援専門員の指導の下、同席させることで支援の継続性や利用者との信頼関係を高める効果が期待できます。

事業者の協力義務と記録の保管

サービス担当者会議を円滑に行うには、関係事業者の協力が欠かせません。指定障害児通所支援(例:児童発達支援や放課後等デイサービス)の事業者は、市町村や障害児相談支援事業者からの連絡調整に協力する法的義務があります。つまり、相談支援専門員からサービス担当者会議への参加依頼や情報提供の要請があった場合、事業者は真摯に応じなければなりません。これは児童福祉法に基づく運営基準で定められたルールであり、利用者本位の支援を実現するための仕組みです。

また、サービス担当者会議の内容は記録として残し、適切に保管することも重要です。運営基準では、この会議録等を5年間保存することが義務付けられています。誰が参加しどんな意見や検討が行われたかを記録しておくことで、後から支援内容を振り返ったり改善に活かしたりできます。行政の監査等でも記録の保存状況が確認されるため、日頃から記録の整備と保管を徹底し、法令遵守を図りましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • サービス担当者会議は必須のプロセス:障害児の支給決定(通所給付決定)後、相談支援専門員が関係者を集めて会議を開き、計画案を説明・意見聴取することが求められます。質の高い支援計画づくりに欠かせないステップです。
  • 障害児本人・保護者の意見を重視:お子さん本人や保護者も、可能な限り会議に参加しましょう。直接参加が難しくても、表情やしぐさなどから気持ちを汲み取り、計画に反映させることが重要です。常に障害児の最善の利益を考慮します。
  • 事業者の連携と記録義務:サービス提供事業者は相談支援専門員の連絡調整に協力する義務があります。また、会議の内容は記録に残し、5年間保存しなければなりません。いずれも法令で定められているため、確実に遵守しましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。