障害児相談支援における支援利用計画の作成とアセスメントのポイント解説
記事の概要:
障害児相談支援の現場では、障害のあるお子さん一人ひとりに合わせた「障害児支援利用計画」の作成と、事前の「アセスメント」(課題把握)の実施がとても重要です。本記事では、令和6年4月の制度改正で強調されたインクルージョン(地域共生)の視点を踏まえた総合的な計画づくりと、適切なアセスメントのポイントを、やさしくシンプルに解説します。
▶︎ 障害児相談支援 関連記事まとめページはこちら
総合的な障害児支援利用計画の作成
「障害児支援利用計画」とは、障害のある子どものためにどんなサービスや支援をどのように利用していくかをまとめた計画です。計画を立てる際には、お子さんの日常生活全体を支える視点とインクルージョンの視点(障害児が地域社会で共に生活できるようにする考え方)が欠かせません。つまり、その子の生活全般を見渡し、福祉サービスだけでなく地域での暮らしも含めた包括的な支援を考えることが大切です。
具体的には、計画の作成・変更にあたって、お子さん本人やご家族の希望とアセスメント(後述)の結果を踏まえ、福祉サービス以外の支援も計画に組み込むよう努めます。例えば、医療サービス(健康管理やリハビリ等)、自治体の地域生活支援事業(自治体が提供する障害児向けの地域サービス)、地域住民のボランティア活動、保育園・幼稚園などへの移行支援、そして地域交流の機会づくりなどです。こうした幅広い取り組みも計画に位置付けることで、支援計画が特定のサービスだけに偏らない総合的な計画になります。事業者(相談支援専門員)は、このような包括的な計画作りに努めることが求められています。
アセスメントの実施
良い支援計画を作るためには、計画を立てる前にお子さんの状況をしっかり把握する必要があります。そこで相談支援専門員は、計画作成に先立ち必ずアセスメント(ニーズや課題の評価)を行います。アセスメントでは、お子さんを取り巻く環境や現在利用しているサービス、心身の状態などを詳しく調べ、生活の質(QOL)を高める上で障害になっている問題点を洗い出します。そして、お子さんがより自立した生活を送れるように支援するために解決すべき課題を明らかにします。つまり、お子さんの生活全般を見渡して現状を評価し、何が課題かを整理する作業がアセスメントなのです。
このアセスメントは、相談支援専門員の主観や自己流の方法だけで行ってはいけません。客観性の高い適切な手法(例えば標準化された評価ツールの活用など)を用いて、公平な視点で課題を把握することが重要です。また必要に応じて、自分の行ったアセスメントに加え、医療機関や発達支援の専門機関が実施した検査・評価の結果を、ご本人やご家族の同意を得て参考にすることも有効です。得られたアセスメント結果はきちんと記録し、少なくとも5年間は保管する義務があります(法令で定められています)。こうした適切なアセスメントを経てこそ、真にその子に合った質の高い支援利用計画を作成することができるのです。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 計画は「日常生活全般+インクルージョン」の視点で作成する – 支援計画には、事業所のサービスだけでなく医療・教育・地域活動なども取り入れ、子どもの生活全体を支える包括的な内容にしましょう。
- 計画前には必ず丁寧なアセスメントを実施する – 計画作成に先立ち、お子さんの現在の状況や課題を把握するためのアセスメントを行い、支援の方向性を明確にすることが不可欠です。
- 客観的な方法で課題を分析し記録を徹底する – アセスメントは主観に頼らず客観的な手法で実施し、その結果を記録して5年間保存するなど、法令に沿った適切な対応を心がけましょう。
【免責事項】
