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独習 障害児相談支援 指定基準 | 第二 指定障害児相談支援に関する基準 2  運営に関する基準 (17) 

定障害児相談支援における勤務体制の確保(基準第20条)とハラスメント防止策


記事の概要:
障害児相談支援事業を行う際には、適切なサービス提供のために職員の勤務体制を整えることが重要です。また、職場でのセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを防ぐ対策も法律で義務付けられています。本記事では、指定障害児相談支援事業者に求められる「勤務体制の確保等(基準第20条)」のポイントをやさしくシンプルに解説します。

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勤務体制の確保とは

基準第20条では、障害児相談支援事業所において適切なサービスを提供するため、職員の勤務体制を整えることが求められています。具体的には、事業所ごとに相談支援専門員をはじめ従業員のシフトや役割分担を決め、常に相談支援ができる体制を定めておかなければなりません。急な欠勤時に他のスタッフで代替できるようにするなど、利用者への支援が途切れない工夫が必要です。また、各事業所には必ず相談支援専門員(計画相談の担当職員)を配置し、その者が実際に障害児相談支援の業務を担当する義務があります(補助スタッフが手伝う分には問題ありません)。さらに、相談支援専門員の能力向上のために研修の機会を確保することも定められています。事業者は専門員が研修を受けやすい環境を用意し、スキルアップを支援しましょう。

職場のハラスメント防止策の義務化

令和3年の制度改正により、障害福祉サービス事業者には職場でのハラスメント防止対策を講じる義務が課されました。指定障害児相談支援事業者も例外ではなく、基準第20条第4項で「職場において行われる性的な言動や優越的な関係を背景とした言動(セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント)によって従業者の就業環境が害されることを防止するため、方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない」と規定されています。簡単に言えば、スタッフが職場でセクハラ・パワハラの被害に遭わないよう、事業者はあらかじめ防止策を取っておかなければならないということです。

この義務は「男女雇用機会均等法」や「労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)」といった法律に基づくもので、事業者の規模にかかわらず求められる全国共通のルールです。具体的に事業所が講ずべき措置(どういった対策を行うべきか)は厚生労働省の指針で定められています。主な対策内容を挙げると次のとおりです。

  • 事業所として「ハラスメント行為は許さない」方針を明文化し、全従業者に周知徹底する
  • セクハラ・パワハラに関する研修や啓発活動を行い、従業者が正しい知識を持つようにする
  • 相談しやすい窓口や担当者を設置し、職員が被害を受けた際に速やかに相談できる体制を整える
  • ハラスメントの訴えがあった場合は事実関係を調査し、必要に応じて加害者への指導・処分等を行う
  • 被害を報告した人や調査に協力した人に不利益な取り扱いをしないよう配慮する

なお、セクシュアルハラスメントには上司や同僚からのものだけでなく、サービス利用者やその家族から受けるもの(いわゆるカスタマーハラスメント)も含まれます。例えば、利用者の保護者が職員に対して不適切な性的発言をした場合も、放置せず事業者として対処しなければなりません。職員が安心して働ける職場環境を守るために、こうしたケースにも目を配りましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 常に適切なサービス提供ができるよう、スタッフの勤務シフト管理や急な欠員時の代替体制を整備しておく
  • 資格を持つ相談支援専門員を各事業所に配置し、研修参加などを通じて専門員のスキルアップを継続的に支援する
  • 職場のセクハラ・パワハラ防止方針を定め、就業規則・運営規程に明記するとともに、相談窓口設置や社員研修の実施など具体的な対策を徹底する


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。