障害児相談支援の掲示義務と秘密保持をわかりやすく解説
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障害児相談支援の事業所には、利用者のために様々な情報を公開・掲示する義務があります。また、児童やご家族の個人情報を扱う際には、厳格な秘密保持と適切な同意手続きが求められます。本記事では、指定障害児相談支援における掲示義務と秘密保持のルールについて、やさしくシンプルに解説します。
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掲示義務とは:事業所に掲示すべき重要事項
障害児相談支援事業所では、法律に基づき、事業所内の見やすい場所に重要事項を掲示しなければなりません。重要事項とは、利用者がサービス内容や事業所の体制を理解し、サービスを選択するのに役立つ情報のことです。具体的には以下のような項目が含まれます。
上記のような情報を掲示することで、ご家族や支援を利用したい方が事業所のサービス内容や強みを理解しやすくなります。掲示場所は、利用者やご家族がすぐ目に付く玄関や待合スペースなどにしましょう。また、掲示方法については、内容をファイルにまとめて自由に閲覧できるようにするなどの工夫も可能です。
ホームページ等での情報公表努力義務
事業所内掲示だけでなく、インターネット上での情報公開にも努めることが求められています。具体的には、ホームページなどに先ほどの重要事項を掲載し、利用を検討している方が遠方からでも情報を得られるようにすることが推奨されます。特に体制整備加算に関する情報は注意が必要です。体制整備加算とは、相談支援の提供体制が整っている事業所に対して報酬上で評価される加算のことです。この加算を算定している事業所は、事業所内の掲示だけでなく、その加算を受けている旨と要件を満たすスタッフ配置状況をホームページ等でも公表することが義務付けられています。
個人情報の秘密保持と同意書について
障害児相談支援では、利用する障害児やそのご家族の個人情報を取り扱います。事業所の職員や相談支援専門員は、業務上知り得た個人情報を適切に管理し、第三者に漏らさない守秘義務(秘密保持義務)があります。この義務は事業所の管理者や従業員すべてに課されており、仮に職員が退職した後や事業所が閉鎖した後であっても、知り得た秘密は漏らしてはならないと定められています。
さらに、サービス担当者会議等(支援に関わる関係者が集まって行う打ち合わせの場)において、障害児又は家族の個人情報を共有する場合には、事前に文書で同意を得る必要があります。ただし、一つ一つの会議のたびに都度同意書をもらう必要はありません。サービス利用開始時に包括的な同意をあらかじめ取得しておけば、それで足りるとされています。多くの事業所では、契約時の重要事項説明の際に、サービス担当者会議で個人情報を共有する可能性があることを伝え、包括的な同意書にサインをもらう対応をしています。
なお、このルールは自治体が設置する協議会(地域のケース検討会議)で個別事例を協議する場合にも適用されます。包括的な同意を得ていれば情報提供できますが、同意なしで個人情報を共有することは禁止されています。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 重要事項の掲示と公開:事業所内の見やすい場所に運営情報やスタッフ体制など重要事項を掲示し、可能であればホームページ等でも情報を公開して、利用者がサービスを比較検討しやすい環境を整えましょう。
- 体制整備加算の公表義務:研修修了者の配置など体制整備加算に関わる事項は、単に事業所内で掲示するだけでなく、対外的にも公表することが義務付けられています。自社が受けている加算要件を明確に示すことで、利用者に安心感を与えることができます。
- 個人情報と包括同意:サービス担当者会議や地域協議会で利用者の個人情報を共有する際には、事前に包括的な同意書を取得しておく必要があります。初回契約時に同意を得ていれば追加の手続きは不要ですが、常に秘密保持を徹底し、同意の範囲を超えた情報共有はしないよう注意しましょう。
【免責事項】
