指定障害児相談支援における記録の整備と5年間保存のポイント
記事の概要:
指定障害児相談支援事業を運営・開始する際には、記録の整備に関するルールを正しく理解しておくことが重要です。特に、サービス提供に関する記録のうちいくつかの重要書類は提供日から最低5年間保存する義務があります。本記事では、児童福祉法に基づく指定障害児相談支援の基準第30条で定められた記録管理のポイントを、やさしくシンプルに解説します。
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記録の整備とは?
記録の整備とは、事業運営に関わる様々な事項をきちんと書面に記録しておくことです。指定障害児相談支援事業者は、従業者(スタッフ)や設備、備品、会計などに関する記録を整理し、文書で備えておかなければなりません。これらは事業の基本情報や運営状況をあとから確認するために欠かせない資料となります。
5年間の保存義務がある記録
さらに、指定障害児相談支援の基準第30条第2項では、障害児等(サービス利用児童)に対する支援提供に関する記録のうち、少なくとも以下の項目については提供した日から5年間保存することが義務付けられています。言い換えれば、サービスを実施したら、次に挙げる種類の書類は最低でも5年は保管しておかなければならないということです。
上記のとおり、事業者はサービス提供の節目ごとに様々な記録を残す必要があります。中でも相談支援台帳は重要です。各利用児童について支援開始から終了までの経過を一冊にまとめるもので、計画の策定段階からモニタリングまで一連の情報を記録します。例えば、支援計画を立てる際に作成した障害児支援利用計画案(下書き)とその後の障害児支援利用計画(正式な計画)、事前に行うアセスメント(課題やニーズの評価)の結果、サービス担当者や関係機関と開いたサービス担当者会議の議事録、定期見直し時のモニタリング結果まで、すべてを台帳に記載して管理します。
また、連絡調整の記録とは、他の事業所や支援者と連携してサービス調整を行った際の記録です。支援計画の作成時に関係機関と打ち合わせをした内容や、サービス実施中に他サービス提供者と情報共有・調整した事項など、うっかり記録を残し忘れがちな部分も対象となっていますので注意が必要です。
さらに、苦情や事故に関する記録も、万一そうした事態が発生した場合には必ず書面に残し、5年間保存しなければなりません。苦情受付簿や事故報告書などの形で残しておき、再発防止やサービス改善に活かすことも大切です。
以上の記録類は、提供日から5年間という長期間にわたり保管する必要があります。書類の量が増えて管理が大変に思えるかもしれませんが、法律上の義務であり、適切な記録管理はサービスの質保証にもつながります。これらの記録は行政による指導監査の際にもチェックされるポイントです。日頃から整理・保管を徹底し、記録漏れがないようにしておきましょう。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 記録は書面できちんと整備し、5年間保存する - スタッフや設備、会計など運営に関する記録は整理して文書で残します。特にサービス提供に関する主要な記録は、提供日から最低5年間の保存義務があります。
- 利用者ごとに「相談支援台帳」を作成する - 支援を開始した児童一人ひとりについて、計画案・計画、アセスメント結果、サービス担当者会議の内容、モニタリング結果までをまとめた台帳を整え、支援の経過を記録します。
- 連絡調整・苦情・事故の記録も漏れなく - 他事業所との連絡調整の内容、利用者からの苦情、事業所内での事故状況と対応策なども、忘れずに書面に記録し、所定の期間保存することが求められます。
【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。
