障害児通所支援における「従たる事業所」の指定要件の解説
記事の概要:
障害のある子どもたちを対象とした通所支援サービス(児童発達支援や放課後等デイサービス)では、事業所ごとに行政から指定を受ける必要があります。しかし一つの法人が複数の拠点でサービスを提供したい場合、毎回別々に指定を取るのは大変です。そこで登場するのが「従たる事業所」という仕組みです。本記事では、従たる事業所とは何か、その設置条件や運営のポイントについて、最新の解釈通知に基づきやさしくシンプルに解説します。
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従たる事業所とは?
「従たる事業所」は、メインとなる「主たる事業所」と一体的に運営されるサテライト型のサービス拠点です。通常、障害児通所支援は原則として拠点(事業所)ごとに指定を受けますが、児童発達支援や放課後等デイサービスについては、条件を満たせば一つの指定で複数拠点を運営できます。例えば、定員オーバーや手狭になった場合に、近隣に新たな小規模拠点を設けて本体と一体運営する、といったケースが考えられます。これにより、一人の管理責任者で複数拠点を管理できるなど、人材資源を有効活用しつつサービス提供の幅を広げることが可能です。なお、異なる種類のサービスを一体で行う場合は「多機能型事業所」と呼ばれますが、同一サービスを複数拠点で行う本記事の従たる事業所とは別の制度です。
人員・設備に関する設置条件
従たる事業所を設置するには、まず人員と設備面の条件をクリアする必要があります。主たる事業所と従たる事業所の利用児童の合計定員に見合った職員数を確保しなければなりません。加えて、各従たる事業所ごとに常勤専従(フルタイムかつ当該事業所専属)の職員を最低1名配置することが求められます。また、従たる事業所一つひとつの利用定員は5名以上と定められています。さらに、主たる事業所と従たる事業所の距離にも注意が必要です。おおむね30分以内で移動可能な近距離に限定されており、距離が離れすぎていると管理者(児童発達支援管理責任者)が両拠点の支援計画管理を適切に行えなくなるためです。
運営に関する条件
もう一つ重要なのが運営面での一体性に関する条件です。具体的には、複数拠点であっても利用申込の受付・調整やスタッフ研修・指導が一元化され、組織としてまとめて行われている必要があります。また、職員の勤務シフトや仕事内容の管理も一括で行われ、どちらかの拠点で人手が足りなくなった際には相互に応援に駆けつけられる体制を整えておくことが求められます(例えば、従たる事業所の職員が急病のとき主たる事業所から代替スタッフを派遣する等)。さらに、苦情処理や事故時の賠償対応など万一の対応についても統一した体制が敷かれていなければなりません。もちろん、事業の目的・運営方針から営業日・営業時間、利用料金に至るまで共通の運営規程を定める必要がありますし、人事・給与・福利厚生等の職員管理や会計処理も一元的に行われていることが条件です。要するに、主たる事業所と従たる事業所が実質一つの事業所として機能していることが求められるのです。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 複数拠点を一体運営できるのは児童発達支援・放課後等デイサービスのみ: 介護保険サービス等とは異なり、障害児通所支援では一定条件下でサテライト拠点を認める特例があります。サービス種別ごとの制度を理解しましょう。
- 人員配置と規模の条件を満たすことが前提: 主従合わせた定員に見合う職員数の確保や、各従たる事業所に常勤専従職員を配置すること、拠点ごとの最低定員5名確保、そして30分以内の距離条件など、ハードルは決して低くありません。計画段階で人員計画・立地条件を綿密にチェックしましょう。
- 運営管理の一元化がカギ: 複数拠点でも実質一つの事業所として動かせるよう、利用者受付からスタッフ管理、緊急時の応援体制、苦情処理、運営ルール、会計・労務管理まで、統一的に行う仕組みが必要です。日頃から主従間の連携を強固にし、どの拠点でも質の揃ったサービス提供ができるように努めましょう。
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