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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十五 共同生活援助 4 日中サービス支援型 (2) 設備に関する基準

中サービス支援型共同生活援助の設備基準をわかりやすく解説


記事の概要:
重度の障害がある方や高齢の障害者が地域で安心して暮らせるように、日中も介護などの支援を受けられる新しいタイプのグループホームが「日中サービス支援型共同生活援助」です。本記事では、このグループホームを開設・運営する事業者や起業希望者向けに、共同生活住居の場所や構造、必要な設備、短期入所施設の併設など設備基準のポイントをやさしくシンプルにまとめます。特に通常のグループホーム(共同生活援助)との違いや、厚生労働省通知で強調されたポイントに焦点を当てて解説します。

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事業所の立地と単位

まず、日中サービス支援型共同生活援助とは何かを簡単に説明します。これは障害者総合支援法にもとづくグループホームの新しい類型で、重度化・高齢化した障害者の方が日中の時間帯も自宅的な住まい(共同生活住居)で介護や支援を受けられるように作られました。通常のグループホームは夜間の支援が中心で、昼間は利用者が別の施設に通うケースが一般的でした。それに対し日中サービス支援型では、スタッフが昼間も配置され、入居者が日中もグループホームで生活できる体制になっています。そのため、昼夜を通じた生活の場としての設備基準にも独自の工夫や追加要件があります。
  • 立地(共同生活住居の場所)
    グループホームの建物は、地域に開かれた住宅地などに位置し、入所施設や病院の敷地内には設置できません。家族や地域住民との交流が保てる環境にあることが求められます。要するに、障害者の方が地域の一員として暮らせるよう、普通の民家やアパートのような環境にグループホームを構える必要があります。
  • 事業所と共同生活住居の単位
    一つのグループホーム事業所(運営単位)には、少なくとも1か所の共同生活住居が必要です。複数の住居を持つことも可能ですが、同一敷地内や近隣エリアにまとめる際は、立地環境・プライバシー・避難経路などの要件に支障が生じないよう十分留意してください。また、日中サービス支援型では「サテライト型住居」(本体とは離れた小規模住居)の基準は適用されません。つまり、遠隔地の別拠点を設けることはできず、原則としてスタッフが常駐する拠点に入居者を集約します。

共同生活住居の独立性と定員

  • 定員と建物の規模
    1つの共同生活住居あたりの入居定員は2人以上10人以下とされています(これは従来型GHと同じ基準です)。さらに日中サービス支援型では、1つの建物内に複数の共同生活住居を設置することが可能で、その場合でも建物全体で入居者合計20人以下に収める必要があります。例えば、10人定員の住居を2ユニット同じ建物に作って、計20人が暮らすような運用が可能です。その際は各住居ごとに独立性(玄関や生活空間の分離)が確保され、家庭的な雰囲気が保てることが条件です。20人という大人数でも、一つ屋根の下で寄宿舎のように暮らすのではなく、あくまで別々のグループに分かれて生活するイメージです。
  • 共同生活住居の内部設備
    入居者が日常生活を営むために必要な設備を整えることが求められます。具体的には、入居者それぞれの個室、みんなで使う居間・食堂(リビングダイニング)、台所、浴室、トイレ、洗面所などです。個室は原則1人部屋で、面積は収納スペースを除いて7.43㎡以上確保する必要があります。7.43㎡とは畳で言うと4.5畳程度の広さで、入居者のプライバシーを守りつつ私物を置くのにも十分なゆとりのある広さです。居室同士は壁や扉で仕切られ、カーテンだけで間仕切りしたような形態は認められません。居間・食堂については、日中も介護や支援を行う特性に配慮してできるだけゆとりある広さを確保することが望ましいとされています。利用者が車椅子で生活する場合は、段差の解消や通路幅の確保などバリアフリー改修も必要に応じて行います。また夜間スタッフが宿直できるスペースや、事務作業・面談に使う職員室なども用意しておくと望ましいでしょう(職員用の設備は各住居ごとになくても共用で構いません)。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 地域に開かれた住まいであること: グループホームは障がいのある方の「暮らしの場」です。住宅街など地域社会の中に立地し、近隣住民との交流や理解を得られる環境が重要です。物件選びの段階で、病院敷地内や辺ぴな場所は避け、できるだけ生活利便性の高いエリアを選びましょう。また、ご近所への説明や協力も円滑な運営に欠かせません。
  • 少人数ユニットと建物規模: 1ユニット当たりの入居者は最大10名までですが、家庭的な雰囲気を保つためには5〜6名程度の小規模ユニットが望ましいとも言われます。日中サービス支援型の場合、一つの建物に複数ユニットをまとめることができますが、合計20名以下に制限されています。複数ユニットを設置する場合は、それぞれのユニットに独立した玄関や居間を用意し、スタッフ用以外の設備を共有しないよう心がけましょう。
  • 個室の確保と設備の充実: 入居者のプライバシーに配慮し、全員に個室を提供することが原則です。各居室は7.43㎡以上の広さを確保し、エアコンや収納など必要な設備も整えます。居室以外に共有スペースとして明るく広いリビング・ダイニングを設け、日中アクティビティやくつろぎの場にします。バリアフリー対応(スロープ、手すり、段差解消等)や緊急通報装置の設置も、入居者の障害特性に応じて検討しましょう。さらに、調理設備の衛生管理(厨房の清潔さや防虫対策)、トイレ・浴室の安全性(滑り止めや温度調節器具)など、細かな設備面の配慮が利用者の安心・満足につながります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。