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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十三 就労定着支援 1 人員に関する基準

労定着支援の人員基準とは?サービス管理責任者配置と兼務のポイントを解説


記事の概要:
就労定着支援とは、一般就労した障害者の職場への定着をサポートする障害福祉サービスです。この記事では就労定着支援の人員基準について、やさしくシンプルに解説します。

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就労定着支援に必要な職員と配置基準

就労定着支援事業所を運営するには、以下のような職員配置の基準を満たす必要があります。それぞれの役割と必要人数を確認しましょう。

  • 管理者:事業所全体を統括する責任者です。必ず1名配置します(他の職務との兼務可)。小規模事業所では、管理者がサービス管理責任者を兼ねることも可能です。
  • サービス管理責任者(就労分野):個別支援計画の作成やモニタリング等を行う要の職員です。原則常勤1名以上配置が必要で、利用者数が増える場合は利用者60人につき1名の割合で追加配置します(例:61人以上なら2名)。サービス管理責任者は他の職種と兼務できず、支援員とは別の人を置く必要があります。利用者支援の客観性を保つため、サービス管理責任者と就労定着支援員は別人物でなければなりません
  • 就労定着支援員(支援スタッフ):利用者の相談対応や企業訪問など直接支援を担うスタッフです。利用者40人につき1人以上の配置(常勤換算)と定められています。これはフルタイム換算で利用者40名あたり1名以上という意味で、たとえば利用者が1~40名なら支援員1人、41~80名なら2人…と段階的に増やす必要があります。最低でも1名は常勤スタッフを確保しましょう。

人員配置のポイントと柔軟な運用

上記の基準は厳格ですが、運用上の工夫も可能です。

  • スタッフ兼務の柔軟性:就労移行支援事業所などと一体的に運営する場合、そちらに配置された職業指導員や生活支援員等の常勤スタッフが就労定着支援員を兼務できるようになりました。ただし、本来のサービス提供に支障がないことが条件です。兼務する時間は就労定着支援員の勤務時間として常勤換算に含めることができます。既存の就労移行支援と併設する形で就労定着支援を始める場合、このルールを活用すれば新たな人員負担を抑えられるでしょう。
  • サービス管理責任者の資格:サービス管理責任者になるには一定の実務経験と研修修了が必要です。就労定着支援の場合は就労分野のサービス管理責任者研修を修了した人を配置します。多くの事業所では管理者がこの資格を取り、サービス管理責任者を兼務しています。
  • 支援員の研修要件:現行では就労定着支援員に特定の資格要件はありませんが、令和7年(2025年)4月1日から新たに「基礎的研修」の受講が義務化されます。この研修は「雇用と福祉の分野横断的な基礎知識・スキル」を身につけるもので、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施します。ただし2028年3月末までは経過措置として未受講でも従事可能ですので、スタッフには計画的に研修を受けさせるようにしましょう。

人員基準を満たすための工夫(図表)

以下の表は、就労定着支援事業所における主な人員基準をまとめたものです。スタッフ計画の参考にしてください。

職種必要人数の目安補足事項・ポイント
管理者1名(常勤が望ましい)他職種との兼務可。小規模事業所ではサービス管理責任者を兼ねることが多い。
サービス管理責任者
(就労分野)
60名の利用者ごとに1名
※60名以下なら1名
常勤職員。利用者61名以上で2名配置。支援員との兼務不可(別の人を配置)。
就労定着支援員40名の利用者ごとに1名
※40名以下でも1名必要
常勤換算で算定。既存事業の職員と兼務する場合は勤務時間を按分。

上記のように、人員基準は利用者数に応じて段階的に定められています。新規開業時には想定利用者数に見合ったスタッフを計画し、不足がないようにしましょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • サービス管理責任者の確保:就労定着支援の指定申請にはサービス管理責任者の配置が必須です。資格要件を満たす人材を早めに確保しましょう。原則他の職務と兼務できないため、この人員計画が起業のカギになります。
  • 人員計画と採用:最低でも常勤のサービス管理責任者1名と支援員1名(計2名)は必要です。事業拡大で利用者が増えたら速やかに追加採用を検討してください。人員基準を満たさないと報酬減算や指定取消のリスクがあります。
  • 兼務の活用:既存の就労移行支援事業などがある場合、スタッフの兼務ルールを上手に活用しましょう。ただし兼務によって支援の質が下がらないように、勤務時間配分や役割分担を明確にすることが大切です。
  • 研修とスキルアップ:支援員への研修義務化など制度改正にも注意が必要です。スタッフの研修計画を立て、サービスの質向上と基準順守を両立させましょう。特に新設事業所ではスタッフ育成にも力を入れることで、利用者の満足度と職場定着率アップにつながります。


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