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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第六(短期入所) 2 人員に関する基準 (1) 従業者の員数 前半

期入所サービスの従業者員数基準(基準第115条)をわかりやすく解説


記事の概要:
障害福祉サービス事業の一つである短期入所サービス(障害者のショートステイ)を提供するには、事業所に配置するスタッフの数(従業者の員数)に関するルールを守る必要があります。本記事では、厚生労働省の定める基準第115条にもとづき、この従業者員数のルールをわかりやすく解説します。特に、短期入所を他の施設に併設する場合や空きベッドを活用する場合で必要な職員配置の考え方と、事業運営上の注意点について、シンプルにやさしく解説します。

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従業者員数のルールと具体的ポイントを詳しく解説

短期入所サービス(ショートステイ)は、障害のある方が短期間だけ施設に泊まって支援を受けるサービスです。本記事では、「併設型」と「空床利用型」に絞ってお話をすすめます(単独型については別のブログ記事にて)。それぞれの場合で、配置すべきスタッフの人数に関するルールが定められています。以下で、その内容を具体的に見ていきましょう。

併設事業所の場合の従業者員数ルール

1.障害者支援施設等に併設する場合(ア)

まず、指定障害者支援施設など(ただし指定宿泊型自立訓練事業所は除く)が短期入所サービスを併設するケースでは、短期入所利用者の数を、本体施設の利用者数に合算して考えます。そして、その合算後の人数に対して、本体施設に本来必要とされる基準の人数以上の職員を配置しなければなりません。

ここで言う「本体施設に必要とされる数」とは、その障害者支援施設等について厚生労働省が定めている「指定基準」または「最低基準」に記載された職員数のことを指します。たとえば、ある障害者支援施設で「利用者10人につき職員2人以上必要」という基準がある場合、通常の利用者が20人、短期入所利用者が4人いたとすると、合計24人となります。この場合、基準に沿えば最低でも職員5人(10人あたり2人 → 20人で4人、残り4人でさらに1人追加)が必要ということになります。つまり、単純に短期入所の利用者分だけ職員を増やすのではなく、「合計人数」で改めて基準を確認して、その必要数以上を確保するのがポイントです。

2.宿泊型自立訓練事業所等に併設する場合(イ)

次に、指定宿泊型自立訓練事業所、指定共同生活援助(グループホーム)、または外部サービス利用型の指定共同生活援助事業所が、短期入所サービスを併設するケースです。こちらは、さらに時間帯によって職員配置のルールが細かく分かれています。

(ⅰ)短期入所と同時に宿泊型自立訓練などを提供している時間帯

この時間帯では、宿泊型自立訓練等の通常利用者数と、短期入所利用者数を合算し、合算後の人数をもって、宿泊型自立訓練等に本来必要とされる生活支援員やこれに準ずる職員数以上を確保することが求められます。たとえば、普段の宿泊型自立訓練事業所が利用者10人に対して3人の生活支援員を配置している場合、短期入所利用者が3人増えて合計13人になれば、それに見合う形で支援員の数を見直す必要が出てきます。この場合、単に追加の1人や2人だけでは足りない場合があり、施設基準を確認して正確な配置を行うことが重要です。

(ⅱ)短期入所のみを提供している時間帯

宿泊型自立訓練やグループホームの通常サービスが終わり、短期入所のみを提供する時間帯に入った場合は、さらに別のルールが適用されます。この場合、その日の利用者数が6名以下なら、生活支援員またはこれに準ずる者を1人以上配置すれば足ります。利用者数が7名以上になった場合は、6人を超えるごとに1人ずつ追加配置しなければなりません。たとえば、利用者が8人いる場合、6名を超えた2名分に対して1人追加が必要なので、最低2人の生活支援員を配置する必要があるということになります。つまり、短期入所だけを提供している時間帯は、「人数に応じたシンプルな計算式」で職員数を決める形になります。


空床利用型事業所の場合の従業者員数ルール

空床利用型事業所とは、既存施設の空きベッドを活用して短期入所サービスを行うケースです(例:定員に空きがある障害者支援施設で、その空きをショートステイ利用者に提供する場合など)。この場合も職員配置の考え方は併設の場合と同じです。つまり、短期入所の利用者を受け入れるときは、その利用者数を既存施設の利用者数に含めて考え、その施設で必要とされる職員数以上のスタッフを配置します。実質的に併設型と同じルールで、短期入所利用者の分まで含めてスタッフを用意すればOKです。

なお、空床利用型では特に高齢者向け介護施設のショートステイを障害者の短期入所として活用するケースに注意が必要です。例えば、介護保険サービスである短期入所生活介護(いわゆる高齢者のショートステイ)の空床を障害者支援の短期入所事業に指定する場合、その介護施設側で定められた職員配置基準を満たしていれば足りるとされています。要するに、介護施設のショートステイを転用する場合は、その施設で必要なスタッフ数さえ確保できていれば特別に追加で職員を用意する必要はないということです。

重度障害者を受け入れる場合の留意点

併設型や空床利用型であっても、利用者の障害程度が重い場合には追加の配慮が必要です。基準第115条の解釈通知では、非常に重度の障害者を受け入れるケースについて次のように示されています。

例えば、併設先の本体施設が日中に機能訓練(リハビリ)だけを行っているような施設だとしましょう。そのような施設は通常、医療的ケアを行う前提がないため、配置職員もリハビリ職員中心で医療職(看護師や医師)がいない場合があります。ところが、その施設に重度の障害者の方が短期入所で来れば、食事や排泄の全面介助、場合によっては医療的ケアが必要になるかもしれません。このように通常の職員配置だけでは適切なケアが難しい場合には、先述の基本ルール(併設型や空床型の規定)にかかわらず、他の障害福祉サービス事業所等と連携して必要な職種・人数の職員を確保するよう努めることが求められています。

言い換えると、「重度の利用者を預かるときは、最低基準の人数さえいれば良いというわけではなく、看護師や医師など専門職を含め必要なスタッフを追加でちゃんと確保するように努めましょう」という注意喚起です。事業者として、安全で適切なサービス提供のために柔軟な対応が必要になります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 短期入所を他施設に併設する場合は、短期入所利用者も含めて本体施設の利用者数を数え、その人数に応じた本体施設の基準上必要な職員数以上を配置する。基本は「短期入所の分まで含めて職員を用意する」です。
  • 空床利用型で運営する場合も考え方は同じで、短期入所利用者を含めた利用者数で必要職員数を算出して配置する。高齢者施設の空床を使うケースでは、その施設の職員配置基準を満たしていればOKです。
  • 利用者の障害が重度の場合、最低限の職員数を揃えるだけでは不十分なことがあります。必要に応じて看護職員や医師など専門職を追加で確保し、他事業所とも連携して万全の支援体制を整えるよう努めましょう。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。