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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十五 共同生活援助 1 人員に関する基準 (1) (2) (3)

害者グループホーム(共同生活援助)の世話人・生活支援員:配置基準と必要な要件をわかりやすく解説


記事の概要:
障害者向けグループホーム(共同生活援助)を運営するには、適切なスタッフ配置が不可欠です。本記事では、グループホームで働く世話人と生活支援員に焦点を当て、それぞれの配置基準(必要な人数)と要件(求められる条件)をやさしくシンプルに解説します。

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世話人の役割と配置基準

世話人とは、障害のある入居者の日常生活をサポートするスタッフです。例えば食事の提供や健康管理・金銭管理の援助など、入居者が安心して生活できるよう日常生活上の相談支援を行います。グループホームでは入居者に対し、世話人が家事全般や生活面の見守りを担うイメージです。

そんな世話人は、入居者数に応じて一定の人数を配置しなければなりません。配置基準はとてもシンプルで、利用者(入居者)の人数を6で割った数以上の世話人を配置する必要があります。これは「利用者6人につき世話人1人以上」という割合です。例えば入居者が12人いるグループホームなら、常勤換算で少なくとも2人(12人 ÷ 6人=2)の世話人が必要です。仮に入居者数が少なくても世話人1人は必要です。なお「常勤換算」とは、非常勤スタッフの労働時間も合わせてフルタイム換算で計算する方法です。例えば非常勤スタッフを組み合わせて合計週40時間勤務させれば、それで1人分の常勤に相当します。計算の結果が端数(はすう)になる場合は、その分を埋めるよう追加で人員を確保する必要があります。つまり、6で割り切れない場合でも不足が出ないよう、必要な時間分の世話人を配置しなければなりません。

生活支援員の役割と配置基準

生活支援員は、入居者に対して食事や入浴、排せつなどの直接的な介護を提供するスタッフです。障害のある方の日常生活上の動作(お風呂に入る、お手洗いに行く、食事をする等)を実際にお手伝いする役割で、介護職員に近いポジションと言えます。

生活支援員の必要人数(配置基準)は、入居者一人ひとりの障害支援区分に応じて計算します。障害支援区分とは、障害のある人がどれくらい支援を必要としているかを示す6段階の指標(数字が大きいほど支援量が多い)です。それぞれの区分ごとに下記の割合で人数を算出し、その合計人数以上を配置します。

  • 区分3の入居者人数を9で割った数
  • 区分4の入居者人数を6で割った数
  • 区分5の入居者人数を4で割った数
  • 区分6の入居者人数を2.5で割った数

上記の計算結果をすべて合計した数が、必要な生活支援員の常勤換算人数です。例えば、入居者12人のグループホームで、その内訳が区分6の方2人・区分5の方4人・区分4の方6人だったとしましょう。この場合、区分6では 2人÷2.5 = 0.8、区分5では 4人÷4 = 1、区分4では 6人÷6 = 1 となり、合計2.8人分となります。常勤換算で2.8人以上の生活支援員が必要という意味です。実際には0.8人という端数は存在しないので、常勤2人と非常勤スタッフ数名を組み合わせるなどして、延べ 2.8人分(112時間以上/週)の勤務時間を確保する必要があります。計算式は少し複雑ですが、「障害の重い入居者が多いほど、より手厚く生活支援員を配置しなければならない」ということです。

※ 補足: 障害支援区分が1や2の入居者については、生活支援員配置基準の計算には含めません(区分3以上が対象)。また、新しくグループホームを開設する場合、実績データがないため、当面は入居定員の90%を利用者数とみなして必要人数を算出するのが一般的です。

世話人および生活支援員に求められる要件

グループホームの世話人・生活支援員になるために特別な資格は必要ありません。法律上は、これらの職員は「障害者の福祉向上に対する熱意があり、日常生活を適切に支援できる能力を有する者」であることが求められています。簡単に言えば、障害者支援への熱い思いと、支援するための基礎的なスキルを持った人であることが条件です。例えば、介護の経験があったり、ヘルパー等の研修を受けている人であれば望ましいですが、必須ではありません。

また、スタッフを配置する時間帯にも注意が必要です。世話人・生活支援員は、それぞれのグループホームで定めた夜間時間帯(例:夜10時~翌朝5時)を除いた時間帯に必要数を配置することとされています。夜間の時間帯は入居者の就寝時間にあたるため、日中ほど手厚い見守りは求められていません。しかし夜間も完全に無人にしてよいわけではなく、多くのグループホームでは夜間帯に宿直や夜勤のスタッフ(夜間支援従事者)を1名程度配置します。夜間帯のスタッフ配置は厳密な人数基準こそありませんが、緊急時に対応できる体制を整えることが大切です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 必要スタッフ数の算出: 上記の基準を踏まえて、自施設に必要な世話人・生活支援員の人数を計画しましょう。特に生活支援員は入居者の障害区分によって必要人数が変動するため、受け入れる方の支援区分を把握しておくことが重要です。
  • 十分な人員確保: 人員基準は最低ラインです。余裕を持った配置を心がけ、スタッフの急な欠勤やシフト調整にも対応できるようにしておきましょう。また、新規開設時には定員の約9割を利用者と想定して人員計画を立てると安全です。
  • スタッフの質: 採用する世話人・生活支援員には、障害者支援への熱意と基礎的なスキルが求められます。資格がなくても働けますが、事前に研修を受けさせる、先輩職員が指導するなどして、安心して任せられる人材育成を行いましょう。
  • 夜間体制の整備: 夜間帯の支援体制も考慮に入れてください。夜間はスタッフ配置基準の計算に含まれませんが、宿直者の配置や緊急連絡体制など、入居者が夜間も安心できる仕組みを準備しましょう。
  • 基準遵守の重要性: 人員配置基準を満たしていないと、行政監査などで人員欠如を指摘され、最悪の場合は報酬の返還や事業停止につながる恐れがあります。基準は必ず守り、定期的に配置状況を見直して不足がないか確認することが肝心です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。