自立生活援助の指定基準を解説:兼務の特例とポイント
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自立生活援助は、障害のある方が一人暮らしなど地域で自立した生活を続けられるよう支援する障害福祉サービスです。厚生労働省からは、特にスタッフの兼務に関するルールについて、以下の3点が示されています。本記事では、これら(3) 一般相談支援事業所との兼務の特例、(4) サービス管理責任者と地域生活支援員との兼務、(5) 他の事業所との兼務について、ポイントをやさしくシンプルに解説します。
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一般相談支援事業所との兼務の特例
自立生活援助の事業所が、一般相談支援事業所(地域移行支援や地域定着支援を行う相談支援事業所)と同じ場所で一体的に運営されている場合、そこに配置された相談支援専門員が自立生活援助事業所のサービス管理責任者を兼ねることが特別に認められています。簡単に言えば、地域移行・定着支援のスタッフ(相談支援専門員)が、そのまま自立生活援助の「サービス管理責任者」という責任者役割も兼任できるということです。この特例のおかげで、事業者は別々に人員を配置しなくてもよくなり、人件費や人材確保の負担を減らすことができます。ただし、当然ながら利用者への支援がおろそかにならないことが前提です。
サービス管理責任者と地域生活支援員との兼務
自立生活援助では、事業所ごとにサービス管理責任者(サビ管とも呼ばれます)と地域生活支援員を配置する決まりがあります。しかし、サービス管理責任者が自立生活援助の地域生活支援員を兼ねることも認められています。つまり、一人の職員が「サービス管理責任者」と「地域生活支援員」の二つの役割を担うことができるのです。これによって、小規模な事業所でも少ないスタッフで運営しやすくなります。ただし、この場合もサービス管理責任者としての計画作成やモニタリング業務に支障がないように、勤務時間を調整する必要があります。
他の事業所との兼務
原則として、自立生活援助のスタッフは専従(その事業所の業務に専念)であることが求められます。しかし、利用者への支障がなければ他の事業所や施設の職務を兼務することも可能です。兼務をする際は、自立生活援助で働いた時間を他の事業所での常勤換算(フルタイム換算)に含めることはできません。言い換えると、一人の職員を二つの事業所で「フルタイム」扱いにすることは不可ということです。また、厚労省の解釈では、例えば自立生活援助の支援員が相談支援事業所(計画相談支援や地域相談支援など)の業務を兼ねたり、併設する他の障害福祉サービス事業所(例:グループホーム等)の管理者やサービス管理責任者を兼務したりするケースは、「利用者へのサービス提供に支障がない場合」に当たるとされています。現場では、こうした兼務によってスタッフが不足しがちな地方や小規模事業者でも柔軟に人員配置できるメリットがあります。一方で、常に利用者からの連絡や相談に迅速に対応できるよう勤務シフトや連絡体制を整えておくことが大切です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- スタッフ兼務の特例を活用:自立生活援助は一般相談支援事業所と連携運営することで、相談支援専門員がサービス管理責任者を兼任でき、人員配置の負担を減らせます。
- 一人二役での運営:サービス管理責任者が地域生活支援員も兼ねれば、少人数の職員で事業開始が可能です。ただし、役割ごとの業務がおろそかにならないよう注意しましょう。
- 兼務時の注意:他事業との掛け持ちをする際は、利用者支援に支障がないことが絶対条件です。同じ時間に二つの役割を果たす「二重カウント」はできないため、勤務時間配分を明確にしておきます。
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