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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十六 多機能型に関する特例 1 従業員の員数等に関する特例

活介護+就労継続支援B型の多機能型事業所とは?人員配置基準の特例をわかりやすく解説


記事の概要:
この記事では、生活介護と就労継続支援B型を組み合わせた「多機能型事業所」を例に取り、スタッフの配置基準の特例についてやさしくシンプルに解説します。

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多機能型事業所とは?

まず多機能型事業所とは、一つの事業所で複数種類の障害福祉サービスを一体的に提供する施設のことです。例えば生活介護(日中活動の支援サービス)と就労継続支援B型(障害者の方の就労機会を提供する支援サービス)を同じ事業所で行うケースがこれに当たります。このように異なる2つ以上のサービスをまとめて提供することで、スタッフや設備を共有できるなど運営上のメリットがあります。

常勤職員数の特例:全体で1名いればOK?

通常、生活介護事業所や就労継続支援B型事業所を別々に開設する場合、それぞれに一定数の常勤(フルタイム)職員を配置しなければなりません。常勤職員とは、その施設でフルタイム勤務し主にそのサービス提供に従事するスタッフのことです。たとえば一般的には、各事業所ごとに少なくとも1名以上の常勤職員が必要とされています。

しかし、多機能型事業所の場合、利用定員の合計が20人未満であれば特例が適用されます。生活介護とB型の利用者を合わせて20人に満たない小規模な事業所では、各サービスごとに常勤職員を配置する代わりに、事業所全体で最低1名の常勤職員がいれば基準を満たすとされています。つまり、「生活介護に常勤1名+B型に常勤1名」のように二重に配置しなくても、1名の常勤スタッフで両サービス分の要件をクリアできるわけです。

例えば、生活介護の定員10人・B型の定員8人の多機能型事業所(合計定員18人)を考えてみましょう。別々に事業所を用意する場合、それぞれに常勤職員を1名ずつ置く必要があるため合計2名の常勤が必要です。しかし多機能型事業所として一体運営する場合、合計定員が20未満なので常勤職員は1名いればOKとなり、人件費負担を減らすことができます。

サービス管理責任者の配置特例:利用者60人まで1名で対応可能

サービス管理責任者(サビ管)とは、個々の利用者の支援計画を作成したりサービス提供の質を管理したりする役割の責任者です。通常、生活介護事業所とB型事業所を別々に運営するなら、それぞれにサービス管理責任者を1名以上配置する必要があります。つまり別々なら2名必要です。

しかし多機能型事業所では、サービス管理責任者も人数要件が緩和されます。利用者の合計数が60人以下の場合、サービス管理責任者は全体で1名配置すれば足ります。生活介護+B型の利用者合計が60名を超えない規模であれば、サビ管を一人が兼任する形で両サービス分担当できるということです。もし利用者が61人以上になるような大規模事業所では、60人を超えるごとに40人増すごとに1名のサビ管を追加配置するルールになっています。例えば合計利用者が100人規模ならサビ管は2名以上、140人規模なら3名以上…という計算です。多機能型であっても非常に大規模になれば、その分サービス管理責任者も増やす必要がある点に注意してください。

以上を整理すると、生活介護+B型の多機能型事業所では利用者60名まではサービス管理責任者は1名でOKとなり、別々に配置する必要がないため人員を効率化できます。

スタッフ兼務のルール:原則兼務NG、ただし19人以下は例外あり

多機能型では管理者やサビ管の人数要件が統合されるメリットがありますが、現場のスタッフについては注意が必要です。生活介護とB型、それぞれのサービス提供に必要な支援員や職業指導員などのスタッフは、サービス間で兼務(かけもち)できないのが原則です。これは「各指定障害福祉サービスごとに必要な従業者の員数を確保すること」と通知にも明記されており、管理者およびサビ管以外の職員は一人の職員が両サービス分を担うことは認められないという意味です。要するに、生活介護用の職員は生活介護の定員に応じて確保し、B型用の職員はB型の利用者数に応じて別途確保する必要があるということです。同じ人が同時間帯に両方の利用者を見るような配置はできないので注意しましょう。

しかし、この兼務ルールにも例外があります。多機能型事業所の利用定員合計が19人以下のような小規模ケースでは、サービス管理責任者が他の職務(現場スタッフなど)を兼務することが可能とされています。先ほどの例で言えば、合計定員18人の事業所ではサビ管の方が日中は生活介護の支援員として直接支援にあたりながら、サービス管理責任者としての業務も兼ねる、といった柔軟な働き方が認められるということです。これは人員に余裕のない小規模事業所でも回しやすくするための配慮と言えます。

ポイント: 管理者とサービス管理責任者については、多機能型事業所でも基本的に一人ずつ配置します(それぞれが全サービスを管轄)。管理者やサビ管は他の職員とは別枠で配置するのが原則ですが、小規模ならサビ管は現場も兼ねられるという特例です。ただしスタッフの負担が過度にならないよう、実際の運営では人員体制にゆとりを持たせることも大切です。

生活介護+B型の多機能型での人員配置比較まとめ

最後に、生活介護とB型を別々に運営する場合と、多機能型として一体運営する場合での人員配置要件の違いを簡単に比較しましょう(定員や利用者数は仮の例です):

配置すべき職種・要件別々の事業所を2つ運営する場合多機能型で一体運営する場合 (例: 生活介護10人 + B型8人 = 合計18人)
管理者(施設管理責任者)2名(各事業所に1名ずつ配置)1名(事業所全体で1名)
サービス管理責任者2名(各サービスに1名ずつ)1名(利用者合計60人以下のため1名で対応可)
常勤職員(フルタイム職員)2名以上(各事業所ごとに最低1名)1名以上(合計定員20人未満のため1名で基準クリア)
直接支援スタッフ
(生活介護の支援員、B型の職業指導員等)
各サービスの利用者数に応じて配置(兼務不可)各サービスの利用者数に応じて配置(兼務不可
サービス管理責任者の兼務原則不可(各事業所で専任が望ましい)可能(合計定員19人以下の場合、他職務との兼務可)

このように、多機能型事業所にすることで管理者やサビ管、常勤職員の数を減らせるため、人件費や人員確保の負担を抑えられるメリットがあります。ただしその反面、直接支援にあたるスタッフについては従来通りきちんと揃える必要があり、一人の職員で二役分のカウントをすることはできません。特例部分と通常どおり求められる部分を混同しないようにしましょう。

事業者・起業希望者が押さえておきたいポイント

  • 小規模ならではの特例を活用:利用定員の合計が20人未満であれば常勤職員1名でよい、19人以下であればサビ管の兼務も可能など、小規模多機能型には優遇措置があります。開設当初の利用者が少ない場合や人員確保が難しい場合は、これらの特例を上手に活用しましょう。
  • スタッフ配置基準はサービスごとに遵守:多機能型でも各サービスごとの最低スタッフ配置基準は免除されません。支援員や職業指導員など直接支援スタッフはサービスごとに必要人数を満たすよう配置し、利用者に支障が出ない体制を整えることが重要です。「多機能型だからスタッフをまとめて少人数で回せる」という誤解は禁物です。
  • 事前に指定権者と協議を:多機能型事業所の指定申請はやや複雑で自治体による運用の違いもあり得ます。開設を検討する際は、事前に所轄の自治体担当者(指定権者)に計画を相談し、基準の解釈や必要書類を確認することをおすすめします。通知の内容を踏まえていても実際の指定審査で疑問が出る場合がありますので、丁寧な事前協議が安心です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。