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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第六(短期入所) 2 人員に関する基準 (1) 従業者の員数 後半

独型事業所における短期入所と生活支援員配置基準をわかりやすく解説


記事の概要:
障害福祉サービスの一つである短期入所(ショートステイ)には、事業所の形態に応じて「併設型」「空床利用型」「単独型」の3種類があります。本記事ではその中の「単独型事業所」の場合について、シンプルにやさしく解説します。単独型事業所とは簡単に言えば「短期入所専用の独立した事業所」のことで、他の入所施設(入所型の施設)に併設されていない形態を指します。たとえば障害者の生活介護事業所などの建物の一部を使って短期入所サービスを提供する場合は、入所施設ではないため単独型として扱われます。本記事ではこの事業類型の要点を整理し、役立つポイントをまとめました。

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日中サービス系の施設に併設して短期入所を行う場合

まず通知の見出し「ア」では、短期入所を実施する場所が「指定生活介護事業所等」とされています。これは、生活介護や自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、グループホームなどの事業所等を指します(法律上は「指定生活介護事業所等」と総称されています)。こうした事業所において短期入所(単独型)を行う場合、必要な生活支援員の数はその提供時間帯によって異なります。

(i) 日中サービス提供時間帯の場合:短期入所の提供が、上記のサービス系事業所のサービス提供時間内で行われている間は、短期入所の利用者もその事業所の利用者に含めて考えます。具体的には、短期入所の利用者と元々の事業所利用者を合わせた合計人数を、その事業所の利用者数とみなしてスタッフを配置します。その合計人数に応じて本来必要とされる生活支援員の数以上を配置することが求められます。つまり、短期入所を受け入れることで利用者が増えた分、その増えた人数に見合った追加の生活支援員を配置しなければならないということです。例えば、もともと10名の利用者に対して2名の生活支援員が必要な生活介護事業所で、短期入所利用者が2名加わり合計12名になった場合は、12名に対して必要な人数(仮に3名なら3名)以上の生活支援員を配置する必要があります。これにより、日中のサービス提供時間中は短期入所の利用者を含めても通常と同じ基準で適切な職員配置が保たれることになります。

(ii) 上記以外の時間帯(夜間など)の場合:短期入所の提供が日中サービス系事業所の提供時間外で行われる時間帯、たとえば夜間や事業所の休業日などの場合は、短期入所の利用者数に応じて次の基準で生活支援員を配置します:

  • 利用者が1~6名の場合:生活支援員1名以上を配置します。
  • 利用者が7名以上の場合:まず6名までに1名を配置し、7人目以降は6人増えるごとにさらに1名追加します。例えば利用者が7~12名であれば2名以上、13~18名であれば3名以上の生活支援員が必要です。同様に19~24名で4名以上…という計算になります。

このように(ii)では、短期入所の利用者だけでサービスが提供される時間帯について、最低でも1人の生活支援員を置き、利用者が増えれば段階的に増員するという基準が示されています。少人数の利用でも必ず職員を1人は配置し、人数が多くなればその分しっかり人手を増やすことで、夜間などでも安心して支援を提供できる体制を整える狙いがあります。

日中サービス系以外の施設で短期入所を行う場合

次に見出し「イ」では、短期入所を実施する場所が上記の「指定生活介護事業所等」以外の場合です。これは、特定の事業所(生活介護等)に併設していない完全に独立した短期入所専用施設などをイメージしてください。こうした場合は、先ほど(ii)で説明した利用者数に応じた配置基準と同じルールが適用されます。つまり、日中サービス系の基礎となる事業所が無い分、常に短期入所の利用者だけで運営されますので、利用者が1~6名なら生活支援員1名以上、7名以上なら6名ごとに+1名といった形で職員を配置することになります。基本的には(ii)の夜間等の場合と同じ計算式で、利用者の人数に見合った生活支援員を配置すると考えればよいでしょう。

重度の障害者を受け入れる場合の特例的な対応

最後に見出し「ウ」では、上記ア・イの基準で必要人数の生活支援員を配置していたとしても、利用者の障害の程度が著しく重度である場合などについて触れられています。利用者の状況によっては、基準上の最少人数の配置だけでは適切な支援が難しいケースがあります。そのため、そうした場合には他の障害福祉サービス事業所などと連携し、医師や看護師を含む必要なスタッフを確保するよう努めることが求められています。簡単に言えば、非常に手厚い支援が必要な利用者を預かるときには、基準上は職員1名配置で足りていたとしても、看護師さんなど専門職の協力を得てより手厚い体制を整えましょう、ということです。この「ウ」の項目は配置基準の例外的な留意事項であり、利用者の安全を最優先に考えて柔軟に対応する姿勢が求められています。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 日中と夜間で異なる配置基準:単独型短期入所を日中サービス提供時間中に行うときは、短期入所利用者も含めた利用者全体数に対して必要な生活支援員を配置します。一方、夜間や休日など日中サービスが動いていない時間帯は、短期入所利用者のみの人数に応じて「1~6名で職員1名、7名以上で6名増すごとに+1名」という基準で配置します。自施設の状況に合わせて、この2通りの計算方法を正しく適用しましょう。
  • 単独型専用施設でも基準は同じ:もし短期入所専用の建物や、日中サービスを行っていない施設で短期入所を運営する場合も、上記と同じ利用者数基準で生活支援員を配置します。日中サービス系施設に併設していないからと言って特別な緩和はなく、最低1名以上の配置を守りつつ、利用者が増えれば適宜増員が必要です。
  • 重度利用者への対応:短期入所を利用する障害者の中には、医療的ケアや高度な見守りが必要な方もいます。その場合、基準上の人数はあくまで最低ラインと考えましょう。必要に応じて他機関と連携し、看護師等の専門職を加えるなど体制強化を図ることが大切です。安全で質の高いサービス提供のため、柔軟に職員配置を見直す姿勢を持ちましょう。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。