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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十五 共同生活援助 3 運営に関する基準 (5)地域との連携等

ループホーム運営に欠かせない地域連携推進会議とは?基準第210条の7をやさしく解説


記事の概要:
障害者グループホーム(共同生活援助)を運営・開業する上で、地域との連携はとても重要です。地域から理解と協力を得ることで、利用者の暮らしやすさが増し、サービス運営の透明性や質の向上にもつながります。厚生労働省は、グループホームが地域に開かれた事業として運営されるよう、「地域連携推進会議」の定期開催などを義務化しました。地域連携推進会議に関する新しいルール①〜⑤をやさしくシンプルに解説します。

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通知文の逐条解説

基準第210条の7で定められた新ルールについて、順番に説明します(①〜⑤は条文の項号に対応)。

  1. 地域との連携・協力義務(第210条の7 第1項) – グループホームの運営主体である指定共同生活援助事業者は、地域の住民やボランティア団体などと連携・協力し、地域交流を積極的に図らなければなりません。簡単に言えば、グループホームは地域社会に溶け込み、近隣の人々や町内会、ボランティア等と交流したり協力したりしながら運営することが求められます。「地域に開かれた事業」として地域住民と利用者をつなぐ架け橋になる姿勢が重要です。
  2. 地域連携推進会議の設置・定期開催(第210条の7 第2項) – グループホームごとに地域連携推進会議という協議の場を設置し、おおむね年に1回以上開催しなければなりません。地域連携推進会議とは、利用者・家族の代表、地域住民代表、福祉・経営分野の有識者、市町村職員などで構成される会議です。会議では事業所(グループホーム)のサービス内容や運営状況を地域に対して開示し、地域からの要望・助言を聞くことで、サービス提供の透明性と質を確保し、利用者の権利を守ることが目的です。なお、会議は対面開催が原則ですが、必要に応じてオンライン会議システムの活用も可能です(個人情報の取扱いに十分配慮すること)。
    開業予定の方へ補足: 新たにグループホームを開設する際には、指定申請時点で地域連携推進会議をすでに設置済み、または確実に設置できる計画があることが求められています。開業要件として事前に地域連携の場を用意し、地域からの理解を得る準備をしておきましょう。
  3. 外部の目による施設見学機会の提供(第210条の7 第3項) – 地域連携推進会議の開催とは別に、会議の構成員(地域連携推進会議のメンバー)に対して、おおむね年1回以上グループホームを見学できる機会を提供することも義務づけられました。地域の方々など外部の人にも施設内部の様子を直接見てもらうことで、事業運営の透明性を高め、地域からの理解と信頼を得る狙いがあります。ただし、居室(入居者の個室)の見学についてはプライバシー保護のため、当該入居者の同意を得た場合に限り行うよう定められています。なお、住居が複数ある場合は、それぞれ年1回以上の見学機会を設ける必要があります。
  4. 会議記録の作成・保存・公表(第210条の7 第4項) – 地域連携推進会議における報告内容や地域からの要望・助言などについては記録を作成し、5年間保存しなければなりません。作成した記録は事業所内外に公表(情報公開)して、地域との情報共有に役立てることが望まれます。
  5. 外部評価の活用による特例(第210条の7 第5項) – 指定共同生活援助事業者が外部の評価機関による第三者評価を実施し、その実施状況(直近の評価年月日、評価機関の名称、評価結果)を公表する場合には、地域連携推進会議の設置・開催および見学機会の提供に代えることができます。この場合、公表した評価に関する記録は5年間保存しなければなりません。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 令和7年度(2025年4月)から完全義務化:地域連携推進会議の開催や施設見学の提供といった基準第210条の7の規定は、2024年度の経過措置期間(努力義務)を経て、2025年4月以降は正式な義務となりました。したがって、新年度からは「地域連携推進会議の開催義務」を確実に履行する必要があります。行政による指導・監査の際もチェック項目となる可能性が高いので注意しましょう。
  • 開業前の準備:新しく障害者グループホームを開業する場合、地域連携推進会議の設置計画は開業前の必須事項です。指定申請時には、会議の開催予定時期や参加メンバー(利用者・家族代表、自治会役員など)、近隣説明会の実施予定など地域交流の計画を事前に示しておくと行政からの信頼も得やすいでしょう。「障害者グループホーム 開業要件」として地域連携の体制整備を掲げ、計画的に準備しておくことが大切です。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。