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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十五 共同生活援助 5 外部サービス利用型 (3)運営に関する基準 ② ③

託居宅介護サービスの提供と運営規程のポイント(基準第213条の18・19)


記事の概要:
近年、グループホーム(共同生活援助)の形態として外部サービス利用型グループホームが導入され、他事業者による居宅介護サービスの提供(受託居宅介護サービス)が可能になりました。本記事では、この受託居宅介護サービスの提供(基準第213条の18)と運営規程(基準第213条の19)に関するルールについて、制度の背景と実務上のポイントをやさしくシンプルに解説します。

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外部サービス利用型グループホームと受託居宅介護サービスとは

外部サービス利用型共同生活援助(いわゆる外部サービス利用型グループホーム)とは、グループホームの入居者に対し、一部の介護サービスを外部の事業者に委託して提供する形態のことです。例えば入浴や排せつ、食事の介助などの居宅介護サービスを、グループホームを運営する事業者が外部の指定居宅介護事業者(ホームヘルパー事業所等)に委託して提供します。この委託されたサービスが「受託居宅介護サービス」です。

外部サービス利用型グループホームでは、入居者の日常生活上の支援の一部を外部事業者に任せるため、事業者間の綿密な連携と明確な取り決めが必要となります。こうした背景から、厚生労働省の定める指定基準省令において受託居宅介護サービスの提供方法や運営規程の内容が詳細に規定されました。

基準第213条の18:受託居宅介護サービスの提供に関する規定

基準第213条の18では、外部サービス利用型グループホーム事業者(以下、GH事業者)が受託居宅介護サービスを適切に提供させるための具体的な措置が定められています。ポイントは次の2点です。

  • 事業者間の連携(情報共有と計画の調整):GH事業者は、受託先の居宅介護サービス事業者と定期的に会議を開き、利用者へのサービス内容について情報共有・協議します。具体的には、グループホーム側の支援計画(外部サービス利用型共同生活援助計画)と居宅介護事業者側の居宅介護計画が食い違わないように整合性を図りながら作成する必要があります。このように事前に十分な打ち合わせを行うことで、利用者に対するサービスが途切れず円滑に提供されます。
  • サービス提供内容の文書報告:受託居宅介護サービスを実施した際には、居宅介護事業者に対して提供日時や時間、具体的なサービス内容を記録した文書をGH事業者へ報告させる義務があります。これにより、GH事業者は利用者が受けた支援の内容を把握し、サービスの質を管理できます。文書による報告は介護記録の共有とも言え、万一のトラブル対応やサービス改善に役立ちます。

以上のように、受託居宅介護サービスの提供においては「事前の連携体制」と「事後の報告徹底」が鍵となります。実務上は、契約時に事業者間で打合せの頻度や報告書の書式を取り決めておき、サービス開始後も定期的な連絡会議を開催すると良いでしょう。

基準第213条の19:運営規程に関する規定

運営規程とは、事業所ごとの運営上の重要事項を定めたルールブックです。障害福祉サービス事業者は指定申請時などに運営規程を整備し、事業所に備え付けておかなければなりません。運営規程には通常、事業の目的・方針、従業者の職種と員数、入居定員、サービス提供内容と利用者負担費用、入居時の留意事項、緊急時対応、非常災害対策、虐待防止策など、事業運営に関する幅広い項目を定めます。

基準第213条の19では、外部サービス利用型グループホームに特有の項目として、運営規程に受託居宅介護サービスの委託先を明記することが求められています。具体的には、運営規程に受託居宅介護サービス事業者およびその事業所の名称と所在地を記載しておく必要があります。通常のグループホーム運営規程にこの情報を追加する形です。

この規定により、どの事業者に居宅介護を委託しているかが利用者や監督機関にも明らかになります。運営規程は利用申込者への説明資料にもなりますので、委託先情報を含め最新の内容にアップデートし、事業所内に掲示・閲覧可能にしておきましょう(運営規程の概要は事業所の見やすい場所に掲示する義務があります)。

以上が基準第213条の18および19の概要です。要約すると、「外部サービス利用型」のグループホーム運営では、委託先との綿密な協力体制と情報共有を行い、その取り決めを運営規程にも反映させること」が法律上の求められるルールとなっています。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 委託先との連携体制構築: 外部サービス利用型GHでは、委託する居宅介護事業者との間で定期的な打合せ(サービス担当者会議)を行い、利用者支援の方針や計画をすり合わせましょう。情報共有が不足するとサービスに齟齬が生じる恐れがあるため注意が必要です。
  • サービス提供記録の管理: 居宅介護事業者からのサービス提供報告書を必ず受け取り、内容を確認・保管してください。報告を怠ると利用者がどんな支援を受けたか把握できず、事故対応や監査時に問題となります。
  • 運営規程への明記: 運営規程には委託する居宅介護事業者の名称・所在地を忘れずに記載します。委託先を変更した場合も速やかに運営規程を改訂しましょう。また運営規程全体を最新の法令に適合させ、利用希望者にも開示できるよう整備しておくことが大切です。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。