指定就労定着支援事業の設備基準をやさしく解説(基準第206条の5)
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本記事では、障害者総合支援法にもとづく指定就労定着支援事業の「設備に関する基準」(厚生労働省通知・基準第206条の5)について、やさしくシンプルに解説します。必要な事務室や受付スペース、設備・備品のポイントをわかりやすくまとめました。
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1. 事務室の基準(専用オフィススペース)
指定就労定着支援事業を行うには、事業運営に必要な広さの事務所スペースが求められます。法律上は「専用の事務室」を設けることが望ましいとされていますが、他の事業と同じ事務室でもOKです。ただし条件があって、仕切りやレイアウトで用途をはっきり分け、就労定着支援のエリアがきちんと区分されていることが必要です。要するに、他の業務と混ざらず「ここからここまでが就労定着支援のスペース」とわかれば、別室でなくても構いません。例えば、同じ部屋を他の障害福祉サービスと共有する場合でも、パーティションなどでエリアを区切っていれば問題ないということです。
2. 受付・相談スペースの基準
事務室内、または事務室に隣接した受付や相談のためのスペースも必要です。ここでは利用希望者の受付対応をしたり、支援計画を作るための相談や会議を行ったりします。そのため、適切な広さを確保し、利用者が直接入りやすい作りにしなければなりません。例えば、車いす利用者でもスムーズに出入りできるよう段差をなくした玄関にしたり、プライバシーに配慮した相談コーナーを設けたりと、誰もが使いやすいレイアウトにすることが求められます。要は、利用者が遠慮なく訪れて相談できるようなスペースづくりがポイントです。
3. 設備および備品の基準
サービス提供にあたって必要な設備や備品もきちんと揃えましょう。就労定着支援を行うために欠かせない机・椅子、電話やパソコン、書類保管棚などはもちろん準備が必要です。ただし安心してください。他の事業所と同じ敷地内にある場合は、そちらに備えている設備や備品を共用しても構いません。たとえば、同じ建物内の別の福祉サービス事業所が使っている相談室の机や応接セットを、一緒に使うことも可能です。また、設備や備品は自前で購入する必要はなく、レンタル品でもOKと明確にされています。大切なのは「必要なものがきちんと確保されているか」という点なので、所有形態にはこだわらず、安全に使えるのであれば借りている物でも問題ないということです。
以上のように、基準第206条の5では事務所のスペースから備品の調達方法まで、柔軟性を持たせつつも利用者支援に支障が出ない環境を整えることが求められています。では最後に、事業者の皆さんが押さえておくべき要点をまとめましょう。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 事務室:できれば専用の事務室を用意するのが望ましいですが、パーティションなどで明確に区切れば他の事業と同じ部屋でも問題ありません。要は、就労定着支援のためのスペースがちゃんと確保されていればOKです。
- 受付・相談スペース:利用申し込みの受付や相談、打ち合わせができるだけの十分な広さのスペースを用意しましょう。利用者が直接出入りしやすい構造にしておくことも重要です(バリアフリー対応だとなお良いです)。
- 設備・備品:サービス提供に必要な机・椅子・パソコンなどの設備や備品を揃えます。同じ敷地内の他事業所のものを兼用することも可能ですし、自社で持っていなくてもレンタル品で構いません。大事なのは必要なものが使える状態にあることです。
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