就労定着支援・自立生活援助の前年度平均利用者数の算出方法をわかりやすく解説
記事の概要:
障害福祉サービスの就労定着支援および自立生活援助における職員(従業者)の配置基準の考え方として重要な「前年度の平均利用者数」の算出方法について解説します。特に、新規に事業を開始した場合や前年度の実績が少ない場合に、利用者数をどのように扱えばよいかを わかりやすく説明します。
▶︎ 障害児者福祉サービス 総論記事まとめページはこちら
前年度の平均利用者数とは?
まず、「前年度の平均利用者数」とは何かを押さえておきましょう。これはそのサービス事業所が前の年度(1年間)に利用者を受け入れた延べ人数を、その年度に事業所を開いていた月数で割ったものです。簡単に言えば、1か月あたり平均何人の利用者がいたかという数値になります(就労定着支援および自立生活援助の場合)。この計算で出た数値は、小数点第2位で切り上げる決まりがあります。例えば、計算結果が「15.1人」であればそのまま15.1人ですが、「15.01人」であっても15.1人に切り上げます(小数点第一位の数字がひとつ増える)。
この前年度平均利用者数は、就労定着支援や自立生活援助の必要職員数の算定に使われます。各サービスとも、前年度の平均利用者数に応じて配置すべき職員の人数(常勤換算)が決まる仕組みです。たとえば就労定着支援では、常勤換算で利用者40人につき1人以上の就労定着支援員を配置する、といった基準があります。そのため、前年度の平均利用者数を正しく計算することが重要になります。
前年度の実績が少ない場合の利用者数の扱い
では、事業を新規に開始したばかりで前年度のデータが不足している場合はどうすればよいでしょうか?厚生労働省の基準では、前年度の実績が1年未満(途中から開始した、または前年度は実績ゼロを含む)の場合、以下のように期間に応じて特例的な利用者数の算出方法をとることになっています。
- 新設から6か月未満の場合: この場合はまだ十分な実績がないため、便宜的にあらかじめ見込まれる利用者数の一定割合を利用者数とみなします。具体的には、
- 就労定着支援では、過去3年間に就労移行支援や就労継続支援などの関連サービスを利用した後に一般就労し、6か月間働き続けた人の総数の70%を利用者数とします 。簡単に言えば、新規開設時には「このサービスを利用すると想定される人」の数を推計し、その70%を実際の利用者数とみなすルールです。
(補足:このきまりから分かる通り、就労定着支援事業を起こすことができるのは、実際上は就労移行支援や就労継続支援などの障害福祉サービス事業を行ってきた実績のある方々ということになります。) - 自立生活援助では、新規指定の際に事前に届け出た見込み利用者数の90%を利用者数とします。つまり、開業時に「これくらいの利用者がいるだろう」と計画していた人数がある場合は、その9割を実際の利用者数とみなして計算に使います。
- 新設から6か月以上1年未満の場合: 半年以上経過しある程度実績が出てきた段階です。この場合、直近6か月間の延べ利用者数を6で割って算出した数値を利用者数とします。要は、直近半年の平均利用者数(1か月あたり何人利用しているか)を求め、その値を前年度平均利用者数として扱います。就労定着支援・自立生活援助の両サービスでこの方法は共通です。
- 新設から1年以上経過している場合: この場合、直近1年間の延べ利用者数を12で割った数値、すなわち直近1年の平均利用者数をそのまま利用者数とします。サービス開始から1年経てば、前年のデータが揃うため通常の算定方法に移行できるということです。
上記のように、サービス開始からの期間に応じて利用者数の算定方法が段階的に変わる点が重要です。なお、これらの基準による算定では著しく実態と合わないケースも考えられます。そのような場合には、行政の判断で他の適切な推計方法により利用者数を算定することも認められています。極端な例ですが、地域の特殊事情などで上記ルールに当てはめると不合理な結果になる場合は、柔軟な対応も可能というわけです。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 前年度の平均利用者数の算出方法: 前年度にサービスを利用した延べ人数を、その年度に事業所を開所していた月数で割って求めます(1か月あたりの平均利用者数)。計算結果は小数点第2位以下を切り上げて扱う点も覚えておきましょう。
- 新規開設時(6か月未満)の特例: 前年度のデータがない場合、就労定着支援では関連サービス利用者数の過去3年分の70%を利用者数とみなす、自立生活援助では事前に届け出た推定利用者数の90%を利用者数とみなすという特例があります。
- 6か月~1年未満の場合: 両サービス共通で、直近6か月間の延べ利用者数÷6で得られる半年平均値を利用者数とします。
- 1年以上経過した場合: 両サービス共通で、直近1年間の延べ利用者数÷12で得られる年間平均値を利用者数とします。これが本来の「前年度の平均利用者数」の考え方です。
- 例外的な対応: 上記算定方法では実情に合わない合理的な理由がある場合、行政の判断で別の適切な推計方法による算定も許容されています。特別な事情がある場合は、事前に所轄官庁に相談すると良いでしょう。
【免責事項】
