障害福祉サービス基準の「常勤」と「専ら従事(専従)」の意味をわかりやすく解説
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障害福祉サービス事業を運営するうえで、人員基準を満たすことはとても重要です。特に職員の勤務形態に関する用語である「常勤」と「専ら従事(専従)」の意味を正しく理解しておく必要があります。これらの言葉は、厚生労働省の令和5年10月改訂版『指定基準の手引き』内で定義されていますが、専門的な表現が多く分かりにくい部分もあります。本記事では、平易な言葉で「常勤」と「専従」の定義をやさしくシンプルに解説します。
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「常勤」とは何か?
「常勤」とは、簡単に言えばフルタイムで勤務している職員のことです。厚生労働省の定義では、事業所で定められた常勤職員の週あたりの勤務時間が基準となります。もし事業所の規定する常勤の勤務時間が週32時間より少ない場合でも、最低32時間の労働が必要とされています。つまり、社内規定がどうであれ週32時間以上の勤務が求められるということです。
ただし例外もあります。産前産後休業や育児・介護、治療のために所定労働時間を短縮している職員について、利用者への支障がない体制が整っていれば、週30時間程度の勤務でも「常勤」として扱うことが認められています。特別な事情がある場合には、基準より少ない時間でも常勤と認められる柔軟な扱いが可能です。
また、一つの法人が同じ敷地内で複数の障害福祉サービス事業所を併設している場合、勤務時間を合算して常勤とみなすこともできます。例えば、生活介護事業所と就労継続支援B型事業所を同じ場所で運営し、一人の管理者が両方を担当しているケースでは、その管理者の両方の勤務時間を合わせて週40時間に達していれば、常勤要件を満たすと判断されます。この場合のポイントは、同時並行でも支障がない業務であることと、合計の勤務時間がフルタイム相当になっていることです。
「専ら従事する」「専ら提供に当たる」「専従」とは何か?
「専ら従事する」や「専ら提供に当たる」、「専従」といった表現は、いずれもその職務に専念することを意味しています。つまり、サービス提供中の勤務時間帯にそれ以外の職務を兼ねないことを指します。言い換えれば、職員が障害福祉サービスの業務にあたっている間は、他の仕事や別の事業所の業務を同時に行わないということです。
ここでいう「サービス提供時間帯」とは、その職員が当該障害福祉サービス事業所で実際に働いている時間のことを指します。たとえば、生活介護事業所で9時から17時まで勤務している職員であれば、その9〜17時がサービス提供時間帯です。常勤か非常勤かは関係なく、勤務中に事業所の仕事だけに従事していれば「専従」とみなされます。
具体例として、居宅介護事業所の管理者は「常勤専従」であることが原則です。この場合、その管理者はフルタイムで勤務し(常勤)、勤務時間中は管理業務以外の仕事をしない(専従)必要があります。もし管理者が他の職務を兼任していたり、別の事業所の業務を同時に行っていたりすると、「専従」とは言えなくなってしまうので注意が必要です。
複数の職務を掛け持ちしている状態は「兼務」と呼ばれ、「専従」と対極にあります。一人の職員が同じ事業所内で生活支援員とサービス管理責任者を両方担っている場合は兼務の例です。このように、サービス提供時間帯に複数の役割を果たしている場合は「専ら従事」とは言えません。人員基準上、専従が求められるポジションには原則として他の業務を兼ねさせないことが求められます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 常勤職員の勤務時間:常勤とは週32時間以上の勤務を指します。自社の就業規則でフルタイムの時間を短く定めている場合でも、基準上は32時間未満にならないよう確認しましょう。
- 時短勤務者の特例:産休・育休や介護等で時短勤務している職員は、週30時間でも常勤扱いできる場合があります。ただし、利用者対応に支障がない体制であることが条件です。
- 併設事業所での兼務:同一敷地内の事業所などで職員が兼務する場合、勤務時間を合算して常勤要件を満たせます。一人の人員で複数サービスを運営する際は、合計労働時間が基準をクリアしているか確認しましょう。
- 専従の徹底:専従(専ら従事)とは勤務時間中に他の職務を行わないことです。専従が求められる職種(管理者など)は、その時間帯に別の役割を持たせないよう人員配置しましょう。
- 「常勤専従」の要件:法律で「常勤かつ専従」が求められる場合、両方の条件を満たす職員を配置する必要があります。例えば管理者は常勤専従が原則ですので、十分な勤務時間を確保し、他業務と兼ねない職員を充てましょう。
- 基準違反のリスク:常勤・専従要件を満たさないままでは人員基準違反となり、指定申請の不認可や監査での指摘といったリスクがあります。計画段階から勤務体制を十分に検討しましょう。
- 専門家への相談:用語の解釈や基準適合に不安がある場合は、障害福祉サービスに詳しい行政書士などの専門家に相談しましょう。適切なアドバイスが得られれば、開業準備もスムーズに進められます。
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