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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第十四 自立生活援助 1 人員に関する基準 (1) (2)

立生活援助における人員配置の基準とその実務的ポイント


記事の概要:
自立生活援助を提供するには、「地域生活支援員」と「サービス管理責任者」という2つの重要な役割のスタッフを配置する必要があります。本記事では、この2つの職種について、人員配置基準(何人配置すべきか)をやさしくシンプルに解説します。障害福祉サービス事業者やこれから障害福祉サービスを起業しようと考えている方に向けて、法律で定められた最低限の配置基準から実務上のポイントまで、「なるほど!」と思える内容をまとめました。

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自立生活援助とは?

まず背景として自立生活援助(じりつせいかつえんじょ)サービスについて簡単に説明します。自立生活援助とは、グループホームや施設を出て一人暮らしなど地域で生活する障害のある方に対し、専門スタッフが定期的に自宅を訪問したり随時の相談に応じたりして、生活全般のサポートを行う障害福祉サービスです。1年間など一定の期間にわたり、利用者さんの日常生活上の困りごとを一緒に確認し、必要なアドバイスや関係機関との調整を行うことで、地域での安定した暮らしを支援します。そんな自立生活援助を提供する事業所では、法律により「地域生活支援員」と「サービス管理責任者」の配置が義務づけられているのです。

地域生活支援員とは?その配置基準

地域生活支援員とは、自立生活援助の現場で利用者を直接サポートするスタッフです。利用者さんの自宅を定期的に訪問して様子を把握したり、生活上の相談に乗ったり、必要に応じて医療機関や他の障害福祉サービス事業者との連絡調整を行ったりします。言わば「地域での生活を支える伴走者」のような存在で、利用者が困ったときには電話や訪問で駆けつける頼れる役割です。

配置基準(何人配置すべきか)は、法律上「事業所ごとに必ず1人以上」と定められています。最低でも1人は地域生活支援員を置かなければ、自立生活援助の事業所として成り立ちません。また標準的な目安としては「利用者25人につき1人の配置」が望ましいとされています。例えば利用者が25人を超えるようなら、2人目の地域生活支援員を配置するのが望ましいというイメージです。逆に言えば、利用者が少ないうちは1人の支援員で兼務しながら対応することも可能です。

ここでポイントなのは、地域生活支援員の配置数は他のサービスのような機械的な常勤換算(フルタイム何人分)による計算でガチガチに決められてはいないということです。極端に言えばパートタイムの職員でも構いません。ただし、利用者支援をきちんと行えるように「必要な勤務時間がちゃんと確保されていること」が求められます。要は、週○日・○時間という決まりこそありませんが、利用者のニーズに応じて十分に動けるだけの時間はその支援員さんに確保しておいてね、ということです。利用者からの緊急の電話相談に対応したり、自宅訪問で状況確認をしたりといった業務に差し支えない範囲であれば、地域生活支援員は他の業務を兼ねることも可能です。実際、事業所によっては地域生活支援員が他の福祉サービスの仕事と掛け持ちしているケースもあります。ただし掛け持ちする場合でも、利用者支援に支障が出ないことが大前提です。

まとめると、地域生活支援員は「最低1人~利用者25人に1人程度」を配置し、フルタイムでなくても利用者対応に十分な時間を確保しましょうという柔軟な基準になっています。

サービス管理責任者とは?その配置基準

サービス管理責任者(サビ管)とは、障害福祉サービス事業所に必ず置かなければならない管理者の一種です。自立生活援助事業所においてサービス管理責任者は、利用者一人ひとりの「支援計画(自立生活援助計画)」を作成し、その計画に沿ってサービスが適切に提供されているかをモニタリング(継続的なチェック)する役割を担います。また、提供した支援の内容を客観的に評価することや、支援の質を向上させるための会議を運営するといった重要な業務も担当します。簡単にいえば、自立生活援助サービス全体の「質を管理する責任者」がサービス管理責任者です。サービス管理責任者になるには一定の実務経験と国が定めた研修の修了が必要で、グループホーム(共同生活援助)など他の障害福祉サービスにおけるサビ管と同様の資格要件が定められています。

配置基準としては、法律上『事業所ごとに1人以上』サービス管理責任者を置く必要があります。さらに、サービス管理責任者を常勤で配置する場合には、指定療養介護・指定生活介護と同様の基準が適用され、利用者60人につき1人が標準的な配置割合です。言い換えると、利用者が60人を超えるごとにサビ管を1人増員する必要があります(例:利用者61~120人でサビ管2人程度が目安)。このように、サービス管理責任者は担当する利用者数が多くなりすぎないように配置し、支援計画の作成やモニタリングが行き届く体制を整えることが大切です。

かつて自立生活援助が始まった当初は、「サービス管理責任者」と「地域生活支援員」は別の人を配置する決まりでした。サービスを客観的に評価するサビ管が、利用者支援を直接行う支援員と同一人物だと公平な視点が保てないのではという考えからです。しかし2021年(令和3年度)から規制が緩和され、両者を兼任することが認められました。つまり、資格要件を満たした1人のスタッフが「サービス管理責任者」と「地域生活支援員」の両方を兼ねることも可能になったのです。この変更により、特に小規模で始める事業所では最低1人の有資格者がいればサービス提供を開始できるようになり、事業立ち上げのハードルが下がりました。「サビ管と支援員を別々に採用する余裕がない…」というケースでも、一人二役でスタートできるのは大きなメリットでしょう。

以上をまとめると、サービス管理責任者は「最低1人~利用者60人に1人程度」を配置し、場合によっては地域生活支援員と兼務も可能だけれども、サービスの質を落とさないよう十分配慮が必要、ということになります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 最低必要なスタッフ数:自立生活援助事業所を開設するには、サービス管理責任者1名と地域生活支援員1名が必須です(※兼任も可)。極端に言えば有資格者1人でもスタート可能ですが、この場合でも両職種それぞれ「1人配置」とみなされます。開業時にはまずこの要件を満たしているか確認しましょう。
  • 配置人数の目安:運営にあたっては、利用者おおよそ25人につき地域生活支援員1人、60人につきサービス管理責任者1人を配置するのが標準的で望ましいです。利用者が増えてきたら、それに応じてスタッフも増員する計画を立てましょう。特にサビ管は60人超えたら2人目を検討する必要があります。
  • 兼任の活用と注意点:2021年以降、サービス管理責任者と地域生活支援員の兼任が認められています。小規模事業所では一人二役で効率的に運用できますが、その場合でも利用者支援に支障が出ないことが最優先です。兼任者の勤務時間配分や業務量を調整し、無理のない体制を整えてください。必要に応じて非常勤スタッフの協力を得るなどして、サービスの質を保つ工夫も大切です。
  • 資格要件の確認:サービス管理責任者には一定の実務経験と研修修了が求められるため、該当する人材を用意しましょう。地域生活支援員については特定の資格要件はありませんが、障害者支援の経験がある人だと望ましいでしょう。起業時には人材要件も含めて指定申請の基準を行政機関に確認し、不明点は専門家に相談することをおすすめします。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。