障害者グループホームのサービス管理責任者:配置基準と兼務ルールを解説
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障害者グループホーム(共同生活援助)には、利用者一人ひとりの支援計画作成や職員への指導・連絡調整を担うサービス管理責任者(サビ管)を配置することが義務付けられています。では、このサービス管理責任者は何名配置すれば良いのでしょうか? また、他の職務(スタッフ業務)を兼ねることは可能なのでしょうか? 本記事では、厚生労働省の通知で示された最新の配置基準と兼務ルールについて、やさしくシンプルに解説します。
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サービス管理責任者の配置基準(常勤換算と必要勤務時間)
グループホームにおけるサービス管理責任者は、他の職種のように利用者数に応じた常勤換算(フルタイム換算)での配置人数が細かく定められているわけではありません。法律上は「必要な員数」を常勤換算で配置することまでは求められていないのです。一般的にグループホームではサービス管理責任者は1名以上配置しますが、利用者数〇名につき何人という厳密な基準はありません。ただし、だからといって時間配分が不十分でよいわけではありません。
サービス管理責任者は利用者のアセスメント(評価)や個別支援計画の作成・見直し、他職員への助言やサービス提供の管理など、多岐にわたる重要な業務を担います。そのため、これらの業務を適切に遂行できるだけの「必要な勤務時間」をしっかり確保することが求められます。例えば、サービス管理責任者が非常勤(パートタイム)であっても、担当する業務量に見合った十分な勤務シフトを組み、計画作成やスタッフとの連携に支障がないようにする必要があります。事業規模が大きい場合や利用者が増えて業務量が多い場合には、サービス管理責任者の勤務時間を増やす、あるいは複数名配置するなどして、業務が滞りなく行える体制を整えることが大切です。
サービス管理責任者の他職務との兼務ルール
グループホームでは、サービス管理責任者が他の職種を兼務することも可能です。具体的には、グループホームに配置すべき直接支援スタッフである「世話人」や「生活支援員」の職務を、サービス管理責任者が兼ねることが認められています。小規模なグループホームでは、人員に余裕がない場合に一人のスタッフが複数の役割を担うことも多く、サービス管理責任者が日常的なケア業務(食事や入浴等の介助、見守りなど)を兼ねても差し支えないというわけです。
しかし、入居定員が20人以上といった大規模なグループホームの場合は注意が必要です。厚生労働省の基準では、利用者が多い施設ではできる限りサービス管理責任者を他の業務と兼務させず、専任(専従)で配置するよう努めることとされています。利用者20名を超えるような規模になると、サービス管理責任者の業務量が非常に多くなるため、他の職務を兼ねているとサービス管理業務がおろそかになりかねません。専従のサービス管理責任者を置くことで、利用者支援計画の質の維持向上やスタッフへの指導・連絡調整に十分な時間を充てられるようにする狙いがあります。
以下に、グループホームの規模に応じたサービス管理責任者の兼務可否の目安をまとめます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- サービス管理責任者は必ず配置する:障害福祉サービスの指定基準上、グループホームにはサービス管理責任者を1名以上置くことが義務です。人数は利用者数に応じた明確な割合こそ定められていませんが、業務が回るだけの十分な勤務時間を確保しましょう。
- 小規模施設では兼務可能:サービス管理責任者はグループホーム内で世話人や生活支援員などの直接支援職と兼務可能です。少人数のホーム立ち上げ期など、人員が限られる場合は一人が複数役を担うことも現場ではよくあります。
- 大規模施設では専従を推奨:入居定員20名以上のグループホームでは、サービス管理責任者を他職務と兼務させない専任配置が望ましい点に注意しましょう。利用者数が多い環境ではサービス管理責任者の業務範囲も広がるため、役割を分離することでサービスの質を維持できます。
- 基準遵守と柔軟な対応:上記の基準は厚労省通知による標準的な考え方です。指定権者(自治体)によっては細かな運用ルールや指導がある場合もあります。事業計画時には各自治体の指針も確認しつつ、無理のない人員配置でスタートし、規模拡大時にはサービス管理責任者の増員や専従化を検討しましょう。
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