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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 1 事業者指定の単位について ②

害福祉サービスの出張所とは?多機能型事業所や複数事業所の指定の取り扱いを解説


記事の概要: 
障害福祉サービス事業を運営する上で、「出張所」「多機能型事業所」など専門用語が出てきます。本記事では、行政書士の視点から、これらの意味と指定(=行政からの許可)の取り扱いについてやさしく解説します。新たに事業を始める方や事業拡大を考える事業者の方に、複数拠点の設置やサービス多角化に役立つ知識を提供します。読むことで、無駄な手続きの回避や効果的な事業運営につなげられるでしょう。

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出張所等の取扱いについて

まず「出張所」とは、メインの事業所(本体)とは別の場所にある小規模な拠点を指します。障害福祉サービスでは、原則としてサービスを提供する場所ごとに自治体からの「指定」(営業許可)が必要です。しかし例外的に、出張所として扱える拠点であれば、本体の事業所に含めて一括で指定を受けられます。

出張所として認められるには、役割が限定されていることが条件です。具体的には、利用者が作った製品の販売を行う店舗や、利用者がサービス提供前後に待機する場所、作業道具を保管する倉庫、更衣(着替え)を行う場所など、サービス提供を補助する目的の拠点です。こうした出張所では、介護や訓練といった主たるサービスそのものは行いません。そのため、利用者支援の質が落ちない範囲であれば、本体事業所に必要な設備の一部を省略することも可能です。

さらに、本体と出張所が一体的に運営されていることも重要です。例えば職員の勤務管理や苦情対応など運営面が一元化され、運営規程やサービス方針・利用料金といったルールも統一されている必要があります。また、出張所は本体からおおむね30分以内で行き来できる近さが望ましいでしょう。こうした条件を満たせば、出張所は本体事業所の一部として扱われ、別個に指定を取る必要がなくなります。これにより新たな拠点開設時の手続負担を軽減できます。


多機能型事業所について

「多機能型事業所」とは、一つの事業所で複数種類の障害福祉サービスを提供する施設のことです。例えば同じ建物で「生活介護」と「就労継続支援B型」のサービスを行う場合、その事業所は多機能型事業所と呼ばれます。利用者にとっても一箇所で複数の支援を受けられるメリットがあり、事業者側も設備や人員を効率的に活用できる利点があります。

ただし、多機能型だからといって手続が一本化されるわけではありません。サービスの種類ごとに指定が必要であり、それぞれのサービスについて基準を満たす職員配置や設備が求められます。先ほどの例で言えば、生活介護の指定と就労継続支援B型の指定の両方を取得しなければなりません。なお、多機能型事業所に関する詳細な基準や運用ルールは厚生労働省の通知で定められており、運営にあたっては各サービス間の連携も求められます。


同一法人による複数の事業所が指定障害福祉サービスを実施する場合の取扱いについて

一つの法人(会社や社会福祉法人など)が複数の障害福祉サービス事業所を運営するケースもあります。その場合、事業所の場所関係によって指定の扱いが異なります。

まず、同じ敷地内に複数の事業所がある場合です。例えば同法人が一つの建物内で二つのサービス事業所を運営している場合、一つの事業所(または一つの多機能型事業所)としてまとめて扱うことが可能です。物理的に近接して一体運営できるなら、別々に指定を取らず統合できるということです。

一方、異なる場所に複数の事業所がある場合でも、一定の条件を満たせば一つの多機能型事業所として運営することが可能です。条件は出張所の場合と似ており、拠点間が30分程度で行き来でき、運営管理が一元化されていることなどが挙げられます。具体的には各拠点の定員規模が基準以上であること、スタッフ管理や緊急時対応まで組織が一体化していることが求められます。これらを満たせば、離れた複数拠点でも一つの多機能型事業所として一括指定が可能になります。

逆に、条件を満たさない場合はまとめることはできません。距離が離れすぎて日常的な一体運営が難しい、あるいは運営体制が統一されていない場合は、事業所ごとに個別に指定を取得し、それぞれ独立した運営体制を整える必要があります。同一法人でも全てをまとめられるわけではない点に注意しましょう。


事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 出張所はサービス提供の補助拠点として活用できます。利用者の待機場所や製品販売などに限り、本体事業所と一体で指定可能です。本格的なサービス提供を行う場合は別途指定が必要なので注意しましょう。
  • 多機能型事業所では、一つの施設で複数サービスを提供できます。ただしサービス種類ごとに指定申請と基準遵守が必要です。各サービスの人員・設備基準をすべて満たす準備を怠らないようにしましょう。
  • 同一法人で複数事業所を運営する際、敷地内なら統合、離れた拠点でも条件次第で一括運営が可能です。拠点間の距離や運営の一体性を確認し、可能なら多機能型としてまとめて効率化を図りましょう。
  • 条件に当てはまらない場合は、事業所ごとに確実に基準を満たして運営することが重要です。無理に統合せず、それぞれ必要な指定を取得しましょう。
  • 事業展開の計画段階では、行政窓口や専門家(行政書士)に相談することをおすすめします。基準の解釈は地域で異なることもあるため、早めに確認しておくと安心です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。