スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第七(重度障害者等包括支援) 3 運営に関する基準 (6) 運営規程

定重度障害者等包括支援事業の運営規程(基準第135条)のポイントを解説


記事の概要:
指定重度障害者等包括支援事業とは、常に介護が必要な重度の障害者の方に、生活全般にわたる包括的な支援を提供する障害福祉サービスです。このサービスを提供するには、運営規程(うんえいきてい)というルールブックを作成する必要があります。運営規程の内容は法令で決められており、基準第135条で9項目が定められています。

  • 1号: 事業の目的および運営の方針
  • 2号: 従業者の職種・員数および職務の内容
  • 3号: 提供できる利用者の数(定員)
  • 4号: 支援の内容および利用者から受け取る費用の種類・金額
  • 5号: 通常の事業の実施地域
  • 6号: 緊急時等における対応方法
  • 7号: 主たる対象とする利用者の範囲
  • 8号: 虐待の防止のための措置
  • 9号: その他運営に関する重要事項

本記事では、これら9項目のうち特に解釈通知で取り上げられている3号・4号・7号・9号に絞って、実務的なポイントをやさしくシンプルに解説します。

▶︎ 重度障害者等包括支援 関連記事まとめページはこちら

第3号: 提供できる利用者の数(定員)

運営規程の第3号では、その事業所でサービスを提供できる利用者の数、つまり定員を定めます。これは「この事業所では何人の利用者さんを受け入れられるか」という上限人数を指します。定員は事業所のスタッフ数や設備状況に見合った現実的な数を設定する必要があります。たとえば、常勤スタッフが少人数であれば、受け入れられる利用者も適切にケアできる範囲内にするのが望ましいでしょう。定員を決めておけば、サービスの質を保ちながら無理のない運営ができます。なお、定めた定員を超えてサービス提供を行うことはできないため、定員管理を徹底しましょう。

第4号: 支援の内容

第4号では、事業所が提供する「指定重度障害者等包括支援の内容」と、利用者から受け取る費用(利用者負担)の種類・金額を定めます。

解釈通知が特に言及している「指定重度障害者等包括支援の内容」とは、事業所が自ら提供するか、または他の事業者等に委託して提供できる障害福祉サービスのすべてを指します。たとえば、入浴や排せつの介助、外出支援、医療的ケアにかかわる支援など、包括支援の一環として実施可能なサービスがこれに該当します。つまり、「この事業所では、どのようなサービスが“包括支援”として提供され得るのか」を具体的に記載することが求められるのです。

第7号: 主たる対象利用者の範囲

第7号では、事業所が主にサービスを提供する対象利用者の範囲を定めることが求められています。対象者は、厚生労働省通知に基づき、以下の3つの類型に分類されています。

  • Ⅰ類型:四肢麻痺などにより寝たきり状態にあり、かつ人工呼吸器を使用している者
  • Ⅱ類型:寝たきりかつ最重度の知的障害がある者
  • Ⅲ類型:行動関連項目の評価点数が10点以上の者

これらはいずれも、常時の介護や高度な支援を必要とする重度の障害者です。ただし、類型ごとに支援ニーズの性質が大きく異なるため、サービス提供責任者に求められる専門性も異なります。そのため、職員体制や対応可能な支援内容に応じて、あらかじめ特定の類型に対象を絞って事業を行うことも差し支えないとされています。この記載により、事業所の専門性や支援方針が明確になり、計画相談や行政との連携も円滑になります。

第9号: その他運営に関する重要事項

第9号では、運営規程において「その他の重要事項」として定めるべき内容がある場合に、それを記載することが求められています。特に留意すべき点として、指定重度障害者等包括支援事業所が、市町村により地域生活支援拠点等として位置付けられている場合には、その旨を明記する必要があります。

地域生活支援拠点とは、重度障害者が地域で安心して暮らし続けるための支援体制整備の一環として市町村が整備するもので、役割や期待される機能は通常の事業所よりも高いものになります。そのため、拠点として位置付けられている事業所であるかどうかは、関係機関との連携や支援体制の整合性にも大きく関わるため、運営規程上に明記しておくことが求められているのです。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 運営規程の作成義務: 指定重度障害者等包括支援事業所は、基準第135条に基づき、9項目の重要事項を記載した運営規程を整備することが義務付けられています。
  • 提供できる利用者の数: 実際の人員体制やサービス提供能力に応じて、無理のない定員数を設定し、運営規程に明記する必要があります。
  • 支援内容の明示: 事業所が自ら、または委託により提供可能な障害福祉サービスの内容を明確にし、包括支援として何が実施できるかを示すことが求められます。
  • 主たる対象利用者の特定: I〜III類型のうち、事業所の体制や専門性に応じて対応可能な類型を選定し、運営規程に主たる対象者として記載することで、現場との整合性を確保します。
  • 地域生活支援拠点等の位置付け: 自治体から地域生活支援拠点としての役割を担っている場合は、その旨を運営規程に明記する必要があります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。