障害福祉グループホームのサテライト型住居:設置基準と起業ポイント
記事の概要:
サテライト型住居とは、障害福祉サービスのグループホーム(共同生活援助)における新しい住まいの形態で、本体となるグループホームから少し離れた場所に設置される1人用の住居です。厚生労働省の通知(基準第210条第9項)で定められたサテライト型住居の設置基準には、距離の目安、設置できる数の上限、必要な設備や居室面積などの条件があります。本記事では障害福祉サービスにおけるサテライト型住居の基準について、やさしくシンプルに解説します。
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距離の目安:本体住居から概ね20分以内
サテライト型住居は、本体となるグループホーム(本体住居)からおおむね20分以内で移動できる範囲に設置することが基本です。これは、サテライトの入居者と本体の入居者が日常的に顔を合わせて交流できるようにするための目安です。20分はあくまで目安で、利用する交通手段や地域の事情によって多少長くなっても問題ありません。重要なのは、無理なく日常的に行き来できる距離であることです。
設置できる数の上限:本体1つにサテライト2か所まで
一つのグループホーム(本体住居)につき、併設できるサテライト型住居は最大で2か所までと定められています。ただし、本体グループホームの入居定員が4人以下のような小規模の場合は、サテライト型住居は1か所までに制限されます。また注意点として、複数のグループホームを本体扱いにして、1つの建物に多数のサテライト型住居を集約することは認められていません。例えば、地域内に複数のグループホームを用意し、それぞれのサテライトを同じ建物内に集めるようなケースは基準違反となります。
設備と居室の基準:1人用の設備完備ユニット
サテライト型住居は基本的に1人暮らし用のミニアパートのような設備を備える必要があります。具体的には、各サテライト住居ごとにお風呂、トイレ、洗面所、キッチン(台所)など、日常生活に必要な設備をしっかり設置しなければなりません。グループホーム本体の設備を共用する前提ではなく、各サテライト住居内で生活が完結できることが求められます。また、サテライト型住居は各ユニット1名のみが入居できます(定員1名)。居室の広さについても基準があり、少なくとも7.43㎡(約4.5畳)以上の面積が必要です。ただしこれは最低基準であり、居室には収納スペースや利用者の私物を置く余裕があることが望ましいとされています。狭すぎず、入居者が快適に暮らせる十分な広さを確保することが大切です。
以上のように、サテライト型住居の基準は障害者グループホームを起業・運営する際に必ず押さえておきたい重要ポイントです。利用者が地域でより自立した生活を送りつつ、必要な支援や交流が得られるよう、これらの基準を満たしたサテライト型住居を計画・運営することが求められます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- サテライト型住居の設置場所:サテライト型住居は、本体グループホームから概ね20分以内で行き来できる場所に設置する必要があります。地域の交通事情や地理的条件に応じて、適切な距離を判断することが求められます。
- 設置できるサテライト型住居の数:1つのグループホームには、サテライト型住居を最大2か所まで設置できます。ただし、本体グループホームの入居定員が4人以下の場合は、サテライト型住居の設置数は1か所までに制限されます。
- サテライト型住居の集約設置は禁止:複数の本体グループホームを利用して、1つの建物にサテライト型住居を集約することは認められていません。各サテライト型住居は独立して設置される必要があります。
- サテライト型住居の設備と広さ:サテライト型住居は1人用の完全な生活ユニットであり、風呂、トイレ、洗面所、台所など生活に必要な設備を整えなければなりません。居室の広さは7.43㎡以上(和室の場合は4.5畳以上)で、ゆとりのあるスペースが求められます。
【免責事項】
本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。
