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独習 地域相談支援 指定基準 | 第二 指定地域移行支援に関する基準 2  運営に関する基準 (27)

域移行支援の「秘密保持等」(基準第32条)をわかりやすく解説


記事の概要:
地域移行支援における「秘密保持等」(基準第32条)の解説です。 地域移行支援とは、障害者支援施設や精神科病院、刑務所などから出て地域生活へ移る障害者を支援するサービスの一つです。その運営基準の中で第32条「秘密保持等」は、利用者の個人情報の取り扱いに関する重要な規定です。本記事では第32条各項のポイント(従業者の守秘義務、退職後の秘密保持、個人情報利用時の同意)について、やさしくシンプルに解説します。

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地域移行支援と秘密保持義務とは

地域移行支援事業所では、支援を行う中で利用者やその家族の個人情報やプライバシーに触れる機会が多くあります。例えば、利用者の障害の状態や生活状況、家族構成や過去の履歴など、第三者には知られたくない情報も取り扱います。こうした「秘密」を守ることはサービス提供者の基本的な責務です。法令上も、指定地域移行支援事業所の従業者(スタッフ)および管理者(事業所の責任者)には、業務で知り得た利用者または家族の秘密を漏らしてはならないという守秘義務が課されています。これは、利用者の信頼を守り、安心してサービスを利用してもらうための絶対的なルールです。

第1項:職員・管理者の守秘義務

基準第32条第1項では、改めて事業所の従業者と管理者それぞれに対し秘密を守る義務を課しています。つまり、現場で利用者支援にあたる職員から事業所管理者まで、全員が等しく「業務上知り得た利用者または家族の秘密を漏らしてはいけない」と定めているのです。ポイントは、「業務上知り得た」情報すべてが対象になる点です。勤務中に知り得たことであれば些細なことでも秘密に当たります。例えば、利用者との面談内容、日常の様子の記録、家族構成や障害の状態に関する情報なども含まれます。

この規定は守秘義務を法律のレベルで明文化したものです。医療や福祉に携わる職員にとって、利用者のプライバシー保護は倫理的にも当然のことですが、地域移行支援においては法的義務でもあります。違反すれば事業所への信頼失墜はもちろん、行政から指導や営業停止など処分を受ける可能性もあります。実際に情報漏えいが起きれば、個人情報保護法等の観点からも問題となり得ます。ですから事業所としては、職員全員に対し守秘義務の重要性を教育し、日頃から意識付けを徹底する必要があります。

第2項:退職後も続く秘密保持と事業者の責務

基準第32条第2項では、事業所を運営する指定地域移行支援事業者(運営法人等)の責務として、元従業者や元管理者による秘密漏えいを防ぐための必要な措置を講ずることが義務付けられています。要は、「以前この事業所で働いていた人」が退職後に知り得た秘密を勝手に喋ってしまうことがないよう、事前に対策しておきなさいという決まりです。

具体的な対策として代表的なのが、雇用時の契約で守秘義務を定めておくことです。例えば、職員を雇う際の労働契約書や誓約書に「在職中および退職後も業務上知り得た利用者等の秘密を保持すること」「違反した場合は責任を負うこと」を明記し、署名させておく方法があります。これにより職員は退職後も法的に守秘義務を負います。また機密情報の取扱い規程を社内に設けておき、退職時に改めて「利用者情報は退職後も漏らしてはいけない」と念押しする運用も有効です。

第3項:計画作成会議での個人情報と包括同意の扱い

基準第32条第3項は、地域移行支援における計画作成会議での個人情報の取り扱いについて定めています。地域移行支援では、利用者ごとに地域移行支援計画を立てます。その際、利用者や家族、そして障害者支援施設・精神科病院・救護施設・矯正施設(刑務所等)・保護観察所・地域生活定着支援センターといった関係機関の担当者が一堂に会する「計画作成会議」が開かれます。この会議では、利用者の今後の生活に向けた支援計画を話し合いますが、当然ながら利用者の経歴や支援ニーズなど個人情報を共有する場面があります。

第3項は、このように他機関の人員も参加する会議で利用者または家族の個人情報を使う場合、事前に文書による本人・家族の同意を得ておかなければならないと規定しています。つまり、利用者の情報を関係者と共有するには書面での同意書が必要ということです。口頭の了承だけでは不十分なので注意しましょう。

とはいえ、毎回の会議のたびに個別に同意書を取るのは非現実的です。そこで厚生労働省の解釈では、サービス提供開始時に包括的な同意を得ておけば足りるとされています。具体的には、利用契約を結ぶ際や初回面談時に「サービス提供にあたり、関係機関との情報共有が必要になった場合にはご本人・ご家族の個人情報を用いることがあります。その際の同意を包括的にお願いします」といった内容の同意書を交わしておく方法が考えられます。この包括同意を利用者および家族から文書でもらっておけば、後日開催される計画作成会議ごとに改めて同意を取らなくても法令上の要件は満たせるわけです。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 契約時の誓約・取決め: 新規採用時に雇用契約書や誓約書で秘密保持義務を明文化して取り交わしておきます。これにより、退職後に至るまで法的拘束力を持たせ、元従業員からの情報漏えいリスクを低減します。
  • 同意書の準備: 利用開始時に包括的な個人情報取り扱い同意書を必ずもらいましょう。にあるようにサービス開始時の包括同意で足りるとされていますが、書面に残しておくことでトラブル防止になります。標準的な様式を用意し、契約手続き時に説明・署名してもらう運用にすると確実です。
  • 秘密保持は信頼の礎: 最後に、秘密保持の徹底は利用者からの信頼を得る上で不可欠です。利用者は不安を抱え相談に来られます。その情報が漏れない安心感があってこそ、心から信頼して相談・支援を受けてもらえます。法律遵守はもちろん、利用者本位のサービスのためにも、常にプライバシー保護を念頭に置いた運営を心がけましょう。 

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。