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独習 地域相談支援 指定基準 | 第二 指定地域移行支援に関する基準 2  運営に関する基準 (29)

域移行支援における苦情解決(運営基準第35条)のポイント


記事の概要:
障害福祉サービスの一つである地域移行支援を行う事業所では、利用者からの苦情を適切に解決する仕組みを整えることが求められています。これは法律に基づく運営基準(第35条)で定められた義務です。本記事では、地域移行支援事業所に課せられた苦情解決のルールについて、やさしくシンプルに解説します。苦情対応の体制づくりから記録の方法と保存期間、さらに行政(市町村・都道府県)や第三者機関の関与まで、押さえておくべきポイントを具体的にまとめました。

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苦情解決の体制整備(第35条第1項)

まず、運営基準第35条第1項では、事業所内において苦情を受け付け解決するための体制や手順を整える義務が定められています。具体的には、苦情受付の相談窓口を設け、苦情に対応する担当者や手順を決めておくことです。苦情が起きたときにどのように対処するかをあらかじめ決めて周知しておくことで、利用者も安心できます。なお、こうした苦情対応の仕組みについては、その概要を利用希望者に説明する書面(サービス利用のしおり等)に記載し、さらに事業所内にも掲示して利用者から見えるようにしておくことが望ましいとされています。事前に利用者へ情報提供することで、万一サービスに不満があった場合でも「どこに相談すれば良いか」が分かり、早期解決につながります。

苦情の記録とサービス改善(第35条第2項)

次に、第35条第2項では、苦情があった場合の記録義務について定めています。事業者は、利用者から苦情を受け付けた際には(※提供サービスと無関係な苦情を除きます)、その苦情の受付日や内容を記録しなければなりません。これは、事業所が組織として迅速かつ適切に対応するための基盤となるものです。記録を残すことで、誰がいつどんな苦情に対応したかが把握でき、対応漏れや重複を防げます。記録した苦情の内容は、単に保存するだけではありません。苦情はサービスの質を向上させるための貴重なヒントでもあります。運営基準では、苦情内容を踏まえてサービス改善に取り組むよう求めています。例えば苦情から「スタッフの説明が分かりにくかった」という指摘があれば、説明方法を見直す、といった改善策につなげます。また、記録した苦情内容は5年間保存する義務があります(運営基準第38条第2項に基づく規定)。5年間という長期保存を課すことで、過去の事例を振り返りやすくし、継続的なサービス向上に役立てる意図があります。

行政による苦情対応への関与(第35条第3~6項)

第35条第3項から第6項にかけては、行政(市町村および都道府県)の関与について規定されています。障害福祉サービスの利用者から苦情があったとき、まずは事業所内で解決を図りますが、場合によっては市町村や都道府県が苦情対応に乗り出すこともあるということが明確に示されています。市町村は利用者にとって身近な行政機関であり、苦情解決において重要な役割を担います。また都道府県は市町村を総括する立場として、広域的な視点でサービスの適正運営を監督しています。これら運営基準の規定により、市町村や都道府県は事業所に対し、苦情に関する調査を行ったり、指導・助言をしたり、必要に応じて報告を求めたりできる権限があることが示されています。つまり、苦情が事業所内で解決しない深刻なケースでは、行政が間に入って改善を促す仕組みが用意されているのです。事業者としては、行政から調査や報告の指示があった場合には真摯に対応し、協力する姿勢が大切です。

運営適正化委員会への協力(第35条第7項)

最後に、第35条第7項では、第三者機関である「運営適正化委員会」への協力義務について定めています。運営適正化委員会とは、各都道府県の社会福祉協議会に設置された委員会で、福祉サービスに関する苦情の相談や解決のあっせん等を行う第三者機関です。社会福祉法第85条に基づき、利用者等から苦情の申出があった場合に、運営適正化委員会はその内容を調査したり、事業者と利用者の間に立って解決の仲介(あっせん)をしたりします。運営基準第35条第7項では、事業者はこの運営適正化委員会による調査やあっせんにできるだけ協力することとされています。つまり、苦情解決のために第三者が動いている場合には、事業者も可能な限り協力し円滑な解決に努めなければなりません。具体的には、委員会から問い合わせや調査の依頼があった際には、必要な資料や説明を提供する、調停の場に応じる、といった協力を行うことになります。第三者機関の介入は公正・中立な立場での解決を目指すものですので、事業者にとっても自社のサービスを見直す良い機会になります。前向きに受け止め、改善につなげていく姿勢が重要です。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 苦情対応の仕組み整備: 苦情受付の窓口担当者や対応手順を定め、利用者にもその内容を事前に知らせておきましょう(書面での説明や事業所内掲示)。
  • 苦情の記録と保存: 苦情があったら日付・内容を記録することが義務です。記録は最低5年間保管し、蓄積した苦情情報をサービス改善に活かすようにしましょう。
  • 行政からの調査等への対応: 苦情によっては市町村・都道府県が調査や指導に入ることがあります。行政から問い合わせや報告指示があれば、速やかに応じるようにしてください。
  • 第三者機関への協力: 都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が苦情解決のために調査・仲介する際には、事業者はできる限り協力しましょう。必要な情報提供や話し合いの場への参加など、誠実に対応することが信頼回復につながります。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。