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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第五(生活介護) 3 運営に関する基準 (12) 準用 後半

活介護事業所の定員超過に関する運用ルール【基準第93条③】の解説


記事の概要: 
生活介護事業所サービス事業者やこれから同サービスの起業を考えている方にとって、定員超過の運用ルールを理解することはとても重要です。なぜなら、定員を大きく超えて利用者を受け入れると、事業所の収入にペナルティ(減算)が発生し、サービスの質にも影響しかねないからです。本記事では生活介護における定員超過に関する基準(基準第93条③)のポイントをやさしくシンプルに説明します。

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定員超過とは何か?

定員超過とは、事業所が行政に届け出て許可された利用定員(一日に受け入れ可能な利用者数)を上回って利用者を受け入れることです。生活介護事業所では、各施設ごとに「利用定員○○人」という形で定員が定められています。定員は、人員配置や設備の基準に基づいて決められており、この数を超えて利用者を受け入れると、スタッフの手が行き届かなくなったり、安全管理が難しくなったりする可能性があります。そのため、行政は定員超過に対して運営上のペナルティ(減算)を定め、事業者が必要以上に定員を超えてサービス提供しないようにルール化しています。

簡単に言えば、「生活介護の定員は守りましょう。どうしても定員を超えて人を受け入れるときは、一定の範囲内にとどめないと事業所の報酬が減らされてしまいますよ」というルールです。

1日の利用者数が定員を超えた場合のルール

まず、一日単位で見たときの定員超過ルールです。生活介護事業所で1日に受け入れる利用者数が定員を超えた場合、即座に減算(報酬の減額)対象となるラインが決まっています。

  • 定員が50人以下の場合:その日の利用者数が、定員の150%(1.5倍)を超えた場合に減算が適用されます。例えば定員30人の事業所なら、その日に45人(30×1.5=45)までは一応セーフですが、46人以上受け入れるとその日1日分の利用者全員の報酬について減算(減額)が行われます。
  • 定員が51人以上の場合:定員が大きい施設では許容される超過割合が少し低く設定されています。具体的には、「定員から50を引いた人数の125%に75を足した数」を超えると減算となります。分かりづらいので例を挙げます。定員60人の事業所なら、(60-50)=10人の125%は12.5人、それに75人を足して87.5人となります。この場合87人までセーフで、88人以上受け入れると減算です。定員100人なら計算上の閾値は137.5人(≒137人までセーフ、138人からアウト)という具合です。要するに、大規模な事業所ほど1日に受け入れられる上限は定員の125%に近づくよう設定されています。

上記をまとめると、小規模施設は1日に最大で定員の約1.5倍、大規模施設はそれより少ない超過までは減算を避けられるということです。ただし、この数字は「減算が科されない上限」であって、これ以上入れて良いという推奨ではありません。繰り返しになりますが、定員超過は本来望ましくないので、150%ギリギリまで人を入れるのは非常時以外控えることが大切です。

3か月間の利用者数(延べ人数)が定員を超えた場合のルール

次に、3か月間の累計で見たときの定員超過ルールです。短期間だけでなく、継続的に定員超過が行われていないかを見るための基準です。直近3か月の延べ利用者数(各日ごとの利用者数を合計した数)が基準を超えると、そのひと月分について減算が適用されます。基準となる延べ人数は以下の通りです。

  • 定員が12人以上の場合:3か月間の延べ利用者数が、「定員 × 開所日数(3か月間) × 125%」を超えたらアウトです。平たく言えば、平均して定員の1.25倍を超える利用が続いたら減算となります。例として、定員30人の施設で1か月の開所日数が22日なら、3か月(約66日)の延べ定員は30×66=1,980人です。その125%は1,980×1.25=2,475人です。もし3か月間で利用者延べ数が2,475人を超えると、その該当月は利用者全員の報酬について減算が行われます(2,476人目からアウトというイメージ)。この2,475人というのは、1日平均にすると約37.5人です。つまり定員30人に対し平均38人以上利用している状態が続くとペナルティということになります。
  • 定員が11人以下の場合:小規模事業所には少し異なる基準が設けられています。3か月間の延べ利用者数が、「(定員 + 3人) × 開所日数(3か月間)」を超えたらアウトです。これは定員が極端に少ない場合に125%ルールでは厳しすぎるため、1日あたり+3人までの余裕を認めるイメージです。例えば定員5人・1か月開所22日なら、3か月で(5+3)×66=528人が上限となります。定員10人なら(10+3)×66=858人が3か月の延べ利用者数の上限です。小さい施設では3人分の追加枠が与えられているわけですね。

要約すると、平均的な利用人数が定員を大きく上回る状況が3か月続くと減算されます。常に定員いっぱいどころかそれ以上に利用者を受け入れているような場合は、このルールに抵触してしまうのです。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 定員管理は経営管理:定員超過をすると報酬減算で収入が減ります。利用者をたくさん受け入れても、一定ラインを超えるとかえって利益が減る可能性がある点に注意しましょう。
  • 日々の利用者数を把握する:毎日の利用者数をしっかり記録し、定員の何%に当たるか意識しましょう。特に定員の150%に近づく日は要注意です。一日単位でオーバーしそうな場合は、振替利用の調整などで事前に人数を抑制する工夫が必要です。
  • 定員いっぱいの状態が続くなら見直し:平均利用者数が定員を大幅に上回る状態が続くなら、事業計画の見直しを検討しましょう。例えば、定員増の申請を行い正式に定員を引き上げる、あるいは新たに事業所を開所するなどです。定員超過の常態化は減算だけでなく行政指導の対象にもなりかねません。
  • 小規模事業所でも油断禁物:定員が少ないからといって安心せず、+3人程度までの猶予しかないことを認識しましょう。逆に言えば、小規模でも+3人を超える超過はすぐ減算対象になるため、家族や関係者からの急な依頼でも物理的に難しい場合は断る勇気も必要です。
  • サービス品質を最優先に:定員超過の基準内だからといって、人手不足で目が行き届かないほど詰め込めば本末転倒です。減算ルールはあくまで緊急時や一時的な受け入れ調整の緩衝措置と考え、障害者への適正なサービス提供を常に最優先してください。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。