指定生活介護 基準第93条(準用規定①②)をわかりやすく解説
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この記事では、「指定生活介護」に関する基準第93条(準用規定)を解説します。難しい法律用語もできるだけかみくだいて、やさしくシンプルに説明します。特に「準用とは何か」や「どの条文が準用されるのか」を整理し、第10条(契約支給量等)のポイント(受給者証への記載事項や契約支給量の上限)について実務的に詳しく述べます。
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準用とは何か?
まず「準用」という言葉の意味をやさしく説明します。法律用語で「準用」とは、ある決まり(規定)を別の場面でも適用することです。ただし、そのままコピーするのではなく、新しい場面に合わせて必要な調整(読み替え)をした上で当てはめます。
噛み砕いて言えば、他の場所に書いてあるルールをコピーしてこちらでも使うイメージです。例えば、本来Aというケース向けに作られたルールがあるとします。それと似たケースBにも同じルールを適用したいとき、法律では「Aの場合のルールをBの場合にも準用する」と表現して、条文を重複して書かずに同じ決まりを使います。これにより法律の条文を繰り返し書く必要がなくなり、ルールの整合性も保ちやすくなります。
指定生活介護で準用される条文
指定生活介護における基準第93条(準用規定)では指定生活介護の事業者は他の障害福祉サービスの基準のうち決められた条文をそのまま守らなければならないことが、ここで定められています。とはいえ、条文番号が飛び飛びになっている部分もあるため、どれが含まれどれが除かれているかを注意深く読む必要があります。
なぜ条文が飛んでいるのか? それは、除外された条文が指定生活介護の事業には当てはまらない内容だからです。たとえば第18条(身分証の携行と提示)や第21条(追加的に交通費が発生した場合などを含む利用者負担額の規定)などは、他のサービス固有の取り決めであり、生活介護には不要なので準用の対象から外されています。事業を運営する際は、これらの条文の内容(利用者の人権擁護や運営規程、設備基準、安全確保など様々な項目)をしっかり踏まえておく必要があります。
第10条(契約支給量等)の取り扱い
数ある準用条文の中でも、第10条「契約支給量等」は指定生活介護を提供する上で特に実務上重要なポイントです。基準第93条②項では、この第10条の取り扱いについて特に詳しく指示しています。ここでは、第10条で定められている受給者証への記載事項と契約支給量の上限の2点についてわかりやすく説明します。
受給者証に記載すべき内容
指定生活介護事業所が利用者とサービス利用の契約を結んだ際には、受給者証(障害福祉サービス受給者証)に契約内容を記載する決まりがあります。受給者証とは、障害福祉サービスを利用するために市町村から交付される証明書のことです。契約が成立したら、事業者はその利用者の受給者証に以下の事項を記入します。
- 事業者および事業所の名称 – 契約を結んだ指定生活介護事業者の名前と事業所(施設)の名前
- サービスの内容 – 提供する指定生活介護の具体的な内容(どんなサービスを行うか)
- 契約支給量(月あたりの提供量) – 当該事業者がその利用者に1か月あたり提供することにしたサービス量(※後述)
- 契約日 – サービス利用契約を結んだ日付
- その他必要な事項 – 上記以外で必要とされる情報(市町村が指定する項目など)
記載する内容を一言でいうと、「誰とどんなサービスの契約をし、月にどれくらい利用するか」という情報です。さらに取り決めとして、契約したサービス提供が終了した場合には、その終了年月日を受給者証に書き込むことになっています。もし月の途中でサービス提供が終了した場合は、その月に実際提供した量も記載しておきます。こうした記録を受給者証に残すことで、利用者ごとに契約状況や利用実績が一目で分かるようになり、サービスの提供量を適切に管理できます。
契約支給量の上限
契約支給量とは、先ほど受給者証に記載する「月あたりの指定生活介護の提供量」のことです。簡単に言えば、「この利用者にこの事業所が月に○回サービスを提供する」という契約上の約束量です。第10条第2項の規定では、この契約支給量の総量は利用者ごとに支給決定された支給量を超えてはならないと定められています。
ここでいう「支給量」とは、市町村がその利用者に対して支給決定(支給証明)しているサービス利用量の上限です。障害福祉サービスでは、支給決定障害者ごとに「月○○回まで利用できる」といった上限(例:生活介護なら週〇日まで等)が定められており、その範囲内でサービス提供が行われます。事業者は契約を結ぶ際に、利用者の受給者証に記載された支給量を確認し、その範囲内で契約支給量を設定しなければなりません。支給量を超える契約はルール違反となるためです。
例えば、利用者Aさんの受給者証に「生活介護:月12日まで利用可(支給量=12日)」と書かれているとします。この場合、事業所との契約支給量の合計が12日を超えないようにします。仮にAさんが二つの事業所と契約する場合でも、各契約の月利用日数を足して12日以内に収める必要があります。一つの事業所だけで契約する場合も同様で、その事業所と「月に○日利用」の約束が支給量の上限を上回ってはいけません。これは利用者が行政から認められた範囲を超えてサービスを受けすぎることのないようにするための規定です。また事業者側も、公的給付の範囲を超えたサービス提供を契約しないよう注意が求められます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 準用条文を正確に把握する:指定生活介護においては、基準第9条~第75条のうち一部の条文が準用されています。全条文ではなく飛び飛びになっているため、どの規定が準用され、どの規定が除外されているかを正確に押さえておきましょう。これは運営規程の作成、体制整備、施設運営など実務に直結します。
- 受給者証への記載漏れは絶対にNG:利用者との契約を結んだら、必ず速やかに受給者証へ必要事項を記載します。特に「事業者名・サービス内容・契約支給量・契約日」の記載漏れは大問題になります。また、サービス提供が終了した場合も、必ず終了日や提供実績を追記しなければなりません。
- 契約支給量は支給決定量を絶対に超えない:利用者ごとに市町村が決めた「支給決定量」を超えて契約することは禁止されています。超過契約をしてしまうと、給付費の返還や行政処分の対象になる可能性もあります。支給量の範囲内で、正確に契約支給量を設定・管理しましょう。
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