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独習 障害福祉サービス 指定基準 | 第五(生活介護) 3 運営に関する基準 (5) (6)

活介護サービスにおける食事提供と健康管理の基準(第86条・87条)をわかりやすく解説


記事の概要:
生活介護事業では、利用者への食事の提供と健康管理がとても重要です。厚生労働省の定める運営基準では、第86条で「食事の提供」、第87条で「健康管理」について規定されています。本記事では、この基準第86条と87条のポイントをやさしくシンプルに解説します。

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食事の提供に関する基準(第86条)

障害福祉サービス事業所で利用者に食事を提供する場合、その食事内容や提供方法には細かな基準があります。食事は利用者の生活支援において極めて重要であり、提供のしかたにかかわらず「適切な栄養の量と内容」を確保する必要があります。そのため、できれば栄養士など栄養の専門家による栄養管理を行い、利用者が健康に過ごせる食事を用意しましょう。また、基準第86条では食事提供にあたり次のような点に留意することが求められています。

  • 利用者の好みや年齢、障害の特性への配慮: 利用者一人ひとりの好き嫌いや食べやすさに配慮します。例えば、好きな食べ物や苦手な食材を把握し、可能な範囲で取り入れる工夫が大切です。また、年齢や障害の状態に合わせて、できるだけ変化に富んだメニューにし、栄養バランスも考えます。毎日同じような献立にならないよう季節の食材を使うなど、飽きない工夫もポイントです。
  • 献立の計画と記録: 食事の調理はあらかじめ作成した献立表(メニュー計画)に沿って行います。献立を事前に立てておくことで、必要な食材の準備や栄養バランスの調整がしやすくなります。また、実際に提供した食事の内容や日時を記録に残しておきましょう。記録をつけることで、後から「何を提供したか」を確認でき、万が一体調不良者が出た際の原因追跡や、栄養の偏りチェックにも役立ちます。
  • 衛生管理の徹底: 調理や配膳(食事のよそい分け)を行う際は、適切な衛生管理を行うことが求められます。具体的には、調理スタッフの手洗いの徹底、調理場や食器の消毒、食材の十分な加熱、生ものと加熱調理済みのものを分けて保管する等、食中毒を防ぐための対策をしっかり取ります。衛生面に配慮した清潔な環境で、安全な食事提供を心がけましょう。

上述のように、事業所が自前で調理を行う場合は栄養面・献立計画・衛生に注意する必要があります。一方、食事の提供を外部業者に委託する場合もあります。その場合、第86条では外部委託時の注意点も示されています。外部の事業者に給食サービスを委託すること自体は問題ありませんが、委託したからといって任せきりにしてはいけません。委託先の業者と定期的に打ち合わせを行い、利用者の嗜好(好み)や障害の特性が食事内容にきちんと反映されるよう調整する義務があります。例えば、季節の行事食を取り入れたり、嚥下(えんげ:飲み込み)が難しい利用者には柔らかく刻んだ食事にしてもらうなど、定期的な情報共有と調整を行いましょう。

ポイント補足: 「適切な栄養量及び内容の食事を確保」とは、利用者が健康を維持できるようエネルギーや栄養素が足りている食事を用意することです。栄養士など専門家の助言を得ることで、栄養バランスの取れた献立作成が可能になります。また、「その実施状況を明らかにしておく」とは、献立通りに提供した証拠を残すこと、つまり給食日誌のようなものに提供した食事の記録を書き残すことを指します。こうした記録は、行政から指導や監査が入った際にもエビデンス(証拠)となるので重要です。

健康管理に関する基準(第87条)

障害福祉サービス事業所では、利用者の健康管理も重大な責務です。基準第87条では、事業所における利用者の健康管理の方法が定められています。具体的には、地域の保健所などと連携しつつ、医師や看護師など適切な資格を持つ人を「健康管理の責任者」として配置することが求められます。施設内に常勤の医師を置く必要まではありませんが、非常勤医師に定期的に来てもらったり、看護職員をスタッフに加えるなどして、専門的な視点で利用者の体調を見守る体制を作ります。

健康管理の責任者を中心に、利用者一人ひとりの健康状態に応じた適切な措置を講じます。簡単に言えば、利用者が健康を保てるよう日々の体調に気を配り、必要な対応をするということです。例えば、毎朝の体温・血圧測定や、持病の薬の飲み忘れがないかチェックすること、季節ごとの感染症対策(インフルエンザ予防接種の案内や手洗い励行)などが該当します。また、急な体調不良時には速やかに医療機関と連携して対処し、必要に応じて保健所等への報告や指示を仰ぐことも含まれます。こうした健康管理体制を整えることで、利用者が安心してサービスを利用でき、緊急時にも適切な対応が取れるようになります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 栄養管理の専門性確保: 食事提供を行う場合は、可能な限り管理栄養士や栄養士など栄養の専門家をスタッフに迎えるか、外部から助言を受ける仕組みを作りましょう。専門家が関与することで、利用者の栄養状態に適したメニュー作成や調整が行えます。特に高齢の障害者や特別な食事形態が必要な方(刻み食・ミキサー食・アレルギー対応など)がいる場合、専門知識が欠かせません。
  • 利用者本位の献立計画: 食事は栄養面だけでなく利用者の楽しみでもあります。季節感を取り入れたり、郷土料理や行事食を提供するなど、利用者が喜ぶ工夫をしましょう。ただし嗜好に偏りすぎて栄養バランスが崩れないよう、専門家の視点で調整します。また、献立表と給食記録の整備は法令上の義務でもあるため漏れなく行います。
  • 衛生管理と安全対策: 調理を内製化する場合は、スタッフへの食品衛生教育を徹底してください。調理施設についても、保健所の指導に従い衛生基準をクリアする設備と運用が必要です。食中毒や誤嚥(ごえん:飲み込み事故)防止の観点でマニュアルを作成し、定期的に見直すことも大切です。
  • 外部委託時のモニタリング: 食事提供を給食会社などに委託する場合でも、責任は事業者側にあります。提供メニューのチェックや利用者の声のフィードバックを定期的に行い、必要があれば業者に改善を依頼します。契約だけして「任せっぱなし」にならないよう注意しましょう。
  • 健康管理責任者の配置: 小規模な事業所でも、非常勤の提携医師や看護職員と連絡体制を作っておきましょう。定期往診や健康相談が受けられる契約を結ぶことで、利用者の体調悪化時にも迅速に対応できます。起業時には地元の医療機関や保健所と関係を築いておくことをおすすめします。
  • 個別の健康チェックと記録: 利用者ごとの健康ファイルを作成し、バイタルサイン(体温・脈拍・血圧など)や持病、服薬状況を管理します。日々の様子を記録し、少しでも普段と違う変化があればスタッフ間で情報共有しましょう。蓄積した健康情報は、医師の診察時にも役立ちますし、サービス提供計画の見直しにも生かせます。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。