基準該当生活介護(基準第94条)とは?指定通所介護事業者が押さえる基準を解説
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基準該当生活介護(きじゅんがいとうせいかつかいご)という制度をご存じでしょうか。これは障害福祉サービスの一種で、地域に生活介護の事業所が足りない場合に、高齢者向けのデイサービス等(指定通所介護事業所等)が代わりに障害のある方の日中支援を行う仕組みです 。本記事では、この基準該当生活介護の概要と基準第94条で定められたポイントを、やさしくシンプルに解説します。
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基準該当生活介護とは何か?
基準該当生活介護とは、簡単に言うと「高齢者デイサービスが障害者デイサービスの代わりを果たす制度」です。具体的には、介護保険の指定通所介護事業所等(いわゆるデイサービス等)が、地域に障害者向けの指定生活介護事業所(障害者デイサービス)がほとんどなく、通常の生活介護サービスを受けることが難しい障害のある方に対して、自らのデイサービスを提供した場合に、そのサービスを生活介護相当のサービス(基準該当生活介護)とみなすものです。この制度により、地域に専門の施設が不足している場合でも、高齢者向け施設が障害のある利用者の方の日中活動支援や介助を担うことができます。
たとえば、ある町に障害者の生活介護施設が無い場合、その町の高齢者デイサービス事業者が地域の障害のある方を受け入れてデイサービスを提供すれば、その利用者にとっては生活介護サービスを受けたのと同じ扱いになります。こうすることで、障害のある方は遠くの施設に行かなくても身近なデイサービスで支援を受けられますし、事業者側も地域のニーズに応じたサービス提供が可能になります。
基準該当生活介護の基準(基準第94条の内容)
基準該当生活介護を提供するには、法律で定められた基準(人員や設備など)を満たす必要があります。基準第94条では、指定通所介護事業所が基準該当生活介護事業者として守るべき主な基準が次のように定められています。ポイントは大きく分けて3つあります。
- 十分な居室スペースの確保(3㎡以上/人) – デイサービスで使う食堂や機能訓練室など共有スペースの広さについて、利用者一人あたり最低3平方メートル以上の面積を確保しなければなりません。これはそのデイサービスを利用する高齢者と障害者を合わせた総利用者数で計算します。利用者が増えても一人当たりのスペースが狭くなりすぎないようにするための基準です。例えば普段10人定員のデイサービスに新たに障害のある利用者2人を受け入れる場合、合計12人となります。この場合でも一人あたり3㎡を満たすよう、食堂や訓練室の広さ(または利用人数)を調整する必要があります。ゆったりとした空間を保つことで、車いす利用者の移動や安全確保もしやすくなります。
- 適切な職員配置(必要人数の確保) – 職員の人数についても、障害のある利用者を含めた総利用者数に見合った数を配置しなければなりません。つまり、普段の高齢者デイサービスの基準で求められる職員数に、障害者の利用者分も加えて不足がないようにする必要があります。先ほどの例では、利用者が10人から12人に増えるため、その分スタッフも増員するかたちです。こうした職員配置基準を守ることで、高齢者だけでなく障害のある方にも目が行き届いたケアを提供できます。また、高齢者デイサービスには本来「サービス管理責任者」という資格者(障害福祉サービス計画を作成・管理する担当者)の配置義務はありません。しかし、障害のある利用者を受け入れる場合は、職員の中から経験豊富な管理者等に研修を受けさせ、障害者支援についての専門知識を持ったスタッフを育成することが望ましいとされています。実際に、サービス管理責任者研修等の受講を促し、その修了者が障害のある利用者一人ひとりの個別支援計画(生活介護計画)を作成することが推奨されています。要するに、職員体制の面でも専門性を高め、障害のある方に対する支援内容を計画的に整えることが求められるのです。
- 専門機関からの技術的支援の確保 – 基準該当生活介護を提供するデイサービス事業者は、指定生活介護事業所など障害者支援の専門機関から適切な技術的支援(技術的な助言や協力)を受けていることが求められます。これは、高齢者デイサービスが障害のある方を支援するにあたり、専門的なノウハウをきちんと取り入れるための仕組みです。具体的には、近隣の障害者支援施設や生活介護事業所と連携してスタッフ研修を行ったり、障害のある利用者へのケア方法について助言をもらったりすることが該当します。例えば、知的障害のある方へのコミュニケーション方法について専門職に相談したり、医療的ケアが必要な方への対応について障害者支援施設から指導を受けたりするといった形です。こうした連携により、高齢者施設であっても障害のある利用者に対して質の高いサービス提供が可能になります。
上記の3点が、基準該当生活介護事業者に課せられる主な基準です。まとめると、「施設の広さ」「職員体制」「専門機関との連携」の3つの条件を満たす必要があるということです。以下の表にポイントを整理します。
以上のように、基準該当生活介護では高齢者デイサービスが障害福祉サービスの役割を担うため、通常の介護保険サービスよりも追加の配慮や体制整備が求められます。逆に言えば、これらの基準を満たすことで、高齢者施設であっても障害のある方にとって安心・安全なサービス提供が可能となります。事業者は自施設の設備や人員が条件をクリアしているかを確認し、不足があれば改善していく必要があります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 基準該当生活介護の活用場面を理解する: 基準該当生活介護は、地域に生活介護事業所が不足している場合の受け皿となる制度です。障害福祉サービスで起業を考える人は、自地域におけるサービス提供状況を把握し、必要に応じてこの制度の活用も検討しましょう。
- 施設環境と定員管理: デイサービスの設備面では、一人あたり3㎡以上のスペースを確保することが重要です。受け入れる障害のある利用者が増える場合は、定員オーバーになっていないか、部屋の広さが十分かを必ず確認してください。必要に応じて部屋のレイアウト変更や定員調整を行い、利用者が安全に過ごせる環境を維持しましょう。
- 職員の増員と研修: 障害のある方を受け入れるときは、利用者数に見合ったスタッフ数を確保することが不可欠です。新たに障害者支援の知識が必要になる場合、既存スタッフへの研修実施や、サービス管理責任者研修を修了した人材の配置を検討してください。適切な人員体制はサービスの質の確保につながります。
- 専門機関との連携: 自社だけで障害者支援のノウハウを全てまかなおうとせず、地域の障害者支援施設や専門家と連携しましょう。技術的な支援を受けることで、困難なケースにも適切に対応できます。具体的には、定期的な相談窓口を設けたり、ケア内容についてアドバイスをもらえる関係性を築いておくと安心です。
- 行政との協議・確認: 基準該当生活介護としてサービス提供を行うには、自治体への届出や協議が必要な場合があります。事前に所管行政(市町村や都道府県)に相談し、必要な手続きを確認しておきましょう。
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