指定医療型障害児入所施設の人員基準・設備基準をわかりやすく解説
記事の概要:
2024年の法改正では、指定医療型障害児入所施設に関する基準が明確化されました。本記事では、その人員に関する基準(職員配置のルール)と設備に関する基準(施設に備えるべき設備のルール)について、原文を追いながらやさしくシンプルに解説します。特に、福祉型との違いや、新しい基準で追加・変更されたポイントにも触れていきます。
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指定医療型障害児入所施設とは
指定医療型障害児入所施設とは、簡単に言うと医療的なケアが必要な障害のある子どもが入所できる施設です。障害児入所施設には「福祉型」と「医療型」があり、医療型では日常生活のサポートに加えて医師による治療や看護師による医療ケアを提供します。一方、福祉型は医療行為のない生活支援が中心です。つまり、治療や医療処置が必要なお子さんは医療型へ, そうでないお子さんは福祉型へ入所する形です。この医療型障害児入所施設が設けられた目的は、障害の重いお子さんや医療的ケアの必要なお子さんにも、適切な医療と生活支援を一体的に提供し、その健康の維持と生活能力の向上を図ることにあります。
人員に関する基準(基準第52条)
指定医療型障害児入所施設では、必要な数の職員を配置しなければなりません。基準第52条では、厚生労働省令である「設備及び運営の基準」の該当条項に基づき、医療型障害児入所施設に求められる職員配置を規定しています。簡単に言うと、病院並みの医療スタッフと児童の世話をするスタッフを十分に揃える必要があるということです。例えば、医療型では医師や看護師などの医療専門職の配置が求められ、さらに障害児の日常生活を支える児童指導員や保育士も、児童の人数に応じた人数を置かなければなりません。こうした手厚い人員配置によって、医療型ではお子さんの治療とケアを万全の体制で提供できるようにしています。
さらに職員の兼務に関するルールも定められています。基準第52条第3項では、「障害児の保護に直接従事する従業者」を除き、併せて設置する社会福祉施設との兼務が認められると規定されています。これはどういう意味でしょうか。簡単に言えば、子どもたちのケアを直接担当する職員以外は、同じ敷地内などにある他の社会福祉施設と掛け持ち(兼務)できるということです。例えば、事務担当者や調理員、栄養士といった職員は、医療型施設と他の施設を兼務できます。一方で、子どもと日常的に接する保育士や看護師などは、子どもの安全確保のため兼務が認められません。このルールによって、運営する側は効率よく人員配置を行える一方、子どものケア担当職員は専任となるため支援の質を確保できる仕組みです。
設備に関する基準(基準第53条)
次に、指定医療型障害児入所施設に求められる設備についてです。基準第53条では、医療型の入所施設に備える設備基準が定められています。医療型施設では、まず医療法上必要とされる設備を整えておくことが求められます。これは言い換えると「ミニ病院」としての機能を持つ設備を備えるということです。具体的には、診察や治療に必要な医療機器や療養スペースなどをきちんと設置しなければなりません。また、リハビリや日常生活動作の訓練を行うための訓練室、重症心身障害児のための静養室、入浴設備(浴室)や手すり付きトイレなど、対象となる子どもの障害特性に応じた設備も必要になります。これらの設備を整えることで、医療型施設では医療ケアと生活支援を一体的に提供できる環境が実現します。
一方で、設備の共有(兼用)に関する規定もあります。基準第53条第4項では、同条第1項第1号に掲げる設備(=必須の基礎的設備)を除き、併せて設置する社会福祉施設の設備に兼ねる(共有する)ことができるとされています。平たく言えば、欠かせない設備以外は併設する他の施設と共用しても良いということです。例えば、同じ建物内で福祉型障害児入所施設を併設している場合、訓練室や食堂、浴室などを両方の施設で共用することが可能です。その代わり、医療型にとって絶対に必要な医療機器や専用療養室などの設備は、自施設としてしっかり備えておく必要があります。他施設と共有できるものは上手に共有しつつ、必要な部分には確実に投資を行う——こうしたメリハリのある設備運用が認められているのです。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 福祉型との違いを理解する: 医療型障害児入所施設は、医療ケアが必要な障害児のための施設です。福祉型が生活支援中心であるのに対し、医療型では日常支援に加え医師の治療や看護師のケアを提供します。重度の障害や医療的ケア児を受け入れるための施設であることを念頭に置きましょう。
- 手厚い人員配置と兼務ルール: 医療型を運営するには、医師・看護師から児童指導員・保育士まで法令で定められた必要数の職員を配置しなければなりません。また、子どもの直接支援に当たらない職員については、他の社会福祉施設と兼務させて効率化できる点も覚えておきましょう(ただし保育士や看護師等の直接支援スタッフは兼務不可)。
- 医療設備の整備と設備共有: 医療型施設には、ミニ病院級の医療設備や各種訓練設備が求められます。必須の設備はしっかり整備する一方で、それ以外の設備やスペースは併設施設と共用して運用することも可能です。必要な投資と資源の有効活用を両立させ、質の高い支援環境を整えましょう。
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