児童発達支援事業所の看護職員配置と人員基準をわかりやすく解説
記事の概要:
本記事では、児童発達支援の指定基準に関する解釈通知から、「看護職員の配置」および「児童指導員等としての配置」という2つのポイントを解説します。医療的ケアが必要な障害児への対応で看護職員の配置が必要となる条件や、看護職員・機能訓練担当職員を児童指導員や保育士の必要人数に算入できるケースなど人員配置のルールをやさしくシンプルにまとめました。
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医療的ケアが必要な子どもへの対応:看護職員の配置要件
児童発達支援事業所で医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養など、日常生活に必要な医療行為)を提供する場合、原則として看護職員を配置する必要があります。医療的ケアが必要な障害児(いわゆる「医療的ケア児」)を安全に預かるには、看護師など医療の専門資格を持つスタッフが常駐していることが求められるためです。しかし、以下のように必要な体制を整えている場合は、例外的に常勤の看護職員を置かなくても良いとされています。
- ケースA: 医療機関や訪問看護との連携により、看護師資格を持つスタッフが事業所に訪問して医療的ケアを行う場合。
- ケースB: 事業所が「登録喀痰吸引等事業者」に登録済みで、子どもが必要とする医療的ケアが喀痰吸引等のみ(たんの吸引や経管栄養のみ)に限られる場合。この場合、介護福祉士など適切な訓練を受けたスタッフが喀痰吸引等を実施すれば、看護職員を常勤配置しなくても対応可能です。
- ケースC: 事業所が「登録特定行為事業者」に登録済みで、子どもが必要とする医療的ケアが特定行為(法律で定める特定の医療行為)のみである場合。この場合、特別な研修を受け資格を取得した認定特定行為業務従事者がその特定行為を提供することで、常勤の看護職員を置かずに対応できます。
上記A〜Cのケースでは、それぞれ外部の医療専門職との連携や特別な資格を持つスタッフによる対応が可能なため、例外的に看護職員の配置義務が免除されます。しかし、これらはあくまで例外条件です。対象となる障害児の状態や必要とする医療ケアの範囲をしっかり見極め、基準を満たす体制を事前に整えておくことが重要です。
機能訓練担当職員・看護職員を児童指導員等の人数に含める場合
児童発達支援事業所では、サービス提供時間帯ごとに児童指導員または保育士を一定数配置することが法律で義務付けられています(例えば定員10名なら2名以上の配置が必要)。しかし、現場では理学療法士や作業療法士等の機能訓練担当職員や、看護職員が子どもの支援にあたる場面も多々あります。そこで、条件を満たす場合に限り、機能訓練担当職員や看護職員を「児童指導員等」の必要人数に含めてカウントすることが認められています。
その条件とは、当該スタッフがサービス提供の時間帯を通じて専ら児童発達支援の業務に従事していることです。簡単に言えば、機能訓練担当職員や看護職員がその時間帯には他の業務を兼ねず子どもの支援に専念している場合には、児童指導員や保育士と同様に扱ってよいということです。
ただし、重要な制約があります。それは、児童指導員または保育士が必要数の「半数以上」を占めていなければならないというルールです。必要人数ぎりぎりを全て看護職員や機能訓練担当職員で埋めることはできず、半分以上は必ず児童指導員または保育士を配置する必要があります。ここで言う「半数」とは、基準で定められた必要人数に対する半数です。例: 定員10名の事業所では、児童指導員または保育士を2名以上配置する義務があります。この場合半数は1名なので、少なくとも1名は児童指導員または保育士でなければなりません。例えばスタッフ構成が「児童指導員1名+看護職員3名」の場合でも、必要な2名中1名が児童指導員(半数)であれば基準をクリアできます。
以上のように、児童発達支援の人員配置基準には一定の柔軟性があります。看護職員や機能訓練担当職員を活用すれば、子どものニーズに応じた体制を整えつつ配置基準を満たすことも可能です。ただし、単に人数を揃えるだけでなく、スタッフの専門性を活かし、安全で適切な支援環境を整備することが大切です。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 医療的ケア児を受け入れる場合は看護職員が原則必須: 児童発達支援で医療的ケアを提供する際は、基本的に看護職員(看護師等)の配置が必要です。ただし、医療機関との連携や登録事業者制度の活用によって例外的に配置しないケースもあります。
- 看護職員や機能訓練担当職員も人員に算入可能: 条件を満たせば、機能訓練担当職員(PT・OT・STなど)や看護職員を児童指導員・保育士の必要人数に含めることができます。サービス提供時間中に子どもの支援に専念している場合は、これら専門職も児童指導員等としてカウント可能です。
- 「必要人数の半数以上」は児童指導員または保育士で確保: 上記の算入を行う場合でも、基準で求められる人数の半分以上は児童指導員または保育士を配置する必要があります。この半数ルールを守ってはじめて、人員配置基準を満たしたと言えます。
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